見捨てられたのは私

梅雨の人

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「俺は義姉さんを愛しているわけではない。過去も現在も未来もそれは変わらない。確かに憧れているときもあったが過去のことだ。…そろそろいいか義姉さん。小雪が震えてる。…小雪、もうすぐに終わるから待っててくれ。…義姉さん。頼むから部屋から出て行ってくれ。他の者たちもだ。一緒に義姉さんを連れて出ていくんだ。」 


「そんな…亮真さん…」 

「義姉さんもう俺に会いに来ないでくれ。」 

「そんなっ…うぅっ…亮真さんっ!じゃあ…じゃあっ!私はこれからどうしたらいいの??!!待って…待ってよ!亮真さん!!!やめて!私に触れないで!!!」 

「琴葉様、行きましょう。」 

パタン… 

 嫌がる琴葉お義姉様は亮真様の一言で、使用人たちにより無理やり担がれるようにして出ていかれました。
何とも後味の悪い気分でございます。

琴葉お義姉様のおっしゃるように、私から見ても亮真様は琴葉お義姉様をお慕いしてらしたのだと思っておりました。亮真様のこれまでの言動全てが…証明していらしたのですから。
ですからそれを亮真様ご本人が否定なさるだなんて…お義姉様ご自身もまさか亮真様に否定されるだなんて青天の霹靂だったのでございましょう。

これまでの亮真様でしたら絶対に…ここでお義姉様を抱きしめて宥めて差し上げてらしたのでしょうに…急な亮真様の心変わりに私も気持ちが追いつきません。

「騒がしくなった…すまなかった小雪。…ん?なんだ?」 

「いえ…その…亮真様は琴葉お義姉様をお慕いしていたのではないのですか?」 

「俺が義姉さんを慕っていた?…つまり?」 

「特別な女性として…」 

「特別な…というのはあっているのかもしれないが女性としてというのは違う。義姉さんの存在があったからこそ優秀な兄さんの陰に隠れることもなく捻くれずに成長できた。だから昔は義姉さんは俺の憧れる存在だった。大きな恩を感じていたので義姉さんには幸せになってもらいたかった。が、どうやら俺はやりすぎてしまったらしい。違うか小雪?」 

言葉に詰まってしまい視線を背けると、再び亮真様に後ろから抱きしめられておりました。
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