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先月、琴葉お姉さまから誕生日を祝う夕食会の招待状を頂きました。
頻繁に屋敷に訪れる琴葉お義姉様を避けることも出来ず、出席することに致しました。
「琴葉お義姉様へのお祝いの贈り物は何がいいのかしら。琴葉お義姉様の好まれそうなものって何か御存じかしらタカさん?それにしても勝手に私が選んでいいものなのかしら…。」
「そうですねぇ、小雪奥様。そういうことでしたら亮真様と一緒に出掛けて選んでみてはどうでしょうか。」
「亮真様と?」
「ええ、旦那様と。お二人はこちらでご夫婦となられてから一度も街歩きなどされていらっしゃらないのですから。」
「そうね…」
初夜から相変わらず夫婦の寝室を使っておりません。
月に数度、肌を合わせますが、亮真様はその後ご自身の部屋へ戻られておりますので私も同様に致しております。
寂しくないと言えばうそになりますが、一人で夫婦の寝室を使い続ける勇気もないのです。そのうえ食事の時間も会いませんので、忙しくしている亮真様とは会話らしい会話もないのです。
今晩、亮真様が帰ってきたときどうにかしてお時間をとってもらえるとよいのですが。
亮真様は本日遅くにご帰宅されました。
「おかえりなさいませ亮真様。あの、お疲れのところ申し訳ないのですがお話があるので少しお時間を頂けませんでしょうか。」
「ああ、それなら今聞こう。」
「琴葉義姉様のお誕生日のことですが、お祝いの品をもしよければ一緒に選びに出かけて頂けないでしょうか。」
「…」
少しの沈黙が私たちを包みます。
「…その件に関しては小雪は何もしなくていい。もう用意してある。」
当たり前のように亮真様はそうおっしゃるとすぐに踵を返し自室に戻っていかれました。
『何もしなくていい。もう用意してあるー。 』
つい今しがた亮真様のおっしゃられたことを頭の中で復唱します。
「なんだか一人で悩んでしまってバカみたいね…」
一人戻った私室でぽつりとつぶやくことしかできませんでした。
頻繁に屋敷に訪れる琴葉お義姉様を避けることも出来ず、出席することに致しました。
「琴葉お義姉様へのお祝いの贈り物は何がいいのかしら。琴葉お義姉様の好まれそうなものって何か御存じかしらタカさん?それにしても勝手に私が選んでいいものなのかしら…。」
「そうですねぇ、小雪奥様。そういうことでしたら亮真様と一緒に出掛けて選んでみてはどうでしょうか。」
「亮真様と?」
「ええ、旦那様と。お二人はこちらでご夫婦となられてから一度も街歩きなどされていらっしゃらないのですから。」
「そうね…」
初夜から相変わらず夫婦の寝室を使っておりません。
月に数度、肌を合わせますが、亮真様はその後ご自身の部屋へ戻られておりますので私も同様に致しております。
寂しくないと言えばうそになりますが、一人で夫婦の寝室を使い続ける勇気もないのです。そのうえ食事の時間も会いませんので、忙しくしている亮真様とは会話らしい会話もないのです。
今晩、亮真様が帰ってきたときどうにかしてお時間をとってもらえるとよいのですが。
亮真様は本日遅くにご帰宅されました。
「おかえりなさいませ亮真様。あの、お疲れのところ申し訳ないのですがお話があるので少しお時間を頂けませんでしょうか。」
「ああ、それなら今聞こう。」
「琴葉義姉様のお誕生日のことですが、お祝いの品をもしよければ一緒に選びに出かけて頂けないでしょうか。」
「…」
少しの沈黙が私たちを包みます。
「…その件に関しては小雪は何もしなくていい。もう用意してある。」
当たり前のように亮真様はそうおっしゃるとすぐに踵を返し自室に戻っていかれました。
『何もしなくていい。もう用意してあるー。 』
つい今しがた亮真様のおっしゃられたことを頭の中で復唱します。
「なんだか一人で悩んでしまってバカみたいね…」
一人戻った私室でぽつりとつぶやくことしかできませんでした。
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