25 / 147
25
しおりを挟む
あれから一宮様に屋敷に使いを出して頂きました。すぐに亮真様がいらっしゃってくれるのではと期待してしまいましたが、次の日になってようやく屋敷から迎えがよこされて屋敷に帰りました。
数日後、妙子さまの旦那様がわざわざ私を訪ねて屋敷にいらっしゃいました。
役者にしても一躍大人気になりそうなほど美丈夫な妙子さまの旦那様の突然の来訪に屋敷中の女性の使用人たちは色めきだっておりました。
「その、この前は恥ずかしいところを見せてしまったね。申し訳ない。私を助けてくれて本当にありがとう。夢の中で妙子に叱られたよ。私の後を追ってきたら許しませんからねっ。てさ。」
泣き笑いの表情でそうおっしゃる妙子さまの旦那様は、これを、と言って何かを差し出してきました。差し出されたのは私達がまだ幼かった時に一緒に買い物に出かけた時に妙子様が購入したガラスでできた繊細なつくりをした置物でした。
女の子二人が手をつないで楽し気に寄り添う可愛らしいもので、ずっと私達も仲の良いお友達でいましょうねと言って笑いあったのを想いだしてしまいました。
「ああ、やっぱりこれだけはあなたに持っていてもらえたらと思って持参したけれど、うん。これでよかったんだろうな。妙子がね、よくこの置物を眺めては小雪さんの話を楽しそうにしていたんだ。」
うんうん、と満足そうな顔をした妙子さまの旦那様は少し吹っ切れた表情をされておられました。二人でしばらく妙子さまの思い出話をしながらお互いの瞳からは涙が流れておりました。
その夜月明かりに照らされたそのがガラス細工を眺めていると突然亮真様が私の部屋に入ってこられました。
「ものすごい美丈夫が堂々と君に会いに来たんだって?」と突然亮真様に言われてしまった私は亮真様のおっしゃられた意味を理解するまで少し時間がかかってしまいました。
「…そんなにその男からもらったガラス細工が大切なのか?」
そうつぶやかれた旦那様は静かに私に近づかれます。そして突然ガラス細工をつかむとガタンッと無造作に倒されてから部屋を出ていかれました。
「どうして…亮真様。どうして…」
ガラス細工は幸いにも頑丈だったようで少し傷が入っただけで砕けることはありませんでした。
数日後、妙子さまの旦那様がわざわざ私を訪ねて屋敷にいらっしゃいました。
役者にしても一躍大人気になりそうなほど美丈夫な妙子さまの旦那様の突然の来訪に屋敷中の女性の使用人たちは色めきだっておりました。
「その、この前は恥ずかしいところを見せてしまったね。申し訳ない。私を助けてくれて本当にありがとう。夢の中で妙子に叱られたよ。私の後を追ってきたら許しませんからねっ。てさ。」
泣き笑いの表情でそうおっしゃる妙子さまの旦那様は、これを、と言って何かを差し出してきました。差し出されたのは私達がまだ幼かった時に一緒に買い物に出かけた時に妙子様が購入したガラスでできた繊細なつくりをした置物でした。
女の子二人が手をつないで楽し気に寄り添う可愛らしいもので、ずっと私達も仲の良いお友達でいましょうねと言って笑いあったのを想いだしてしまいました。
「ああ、やっぱりこれだけはあなたに持っていてもらえたらと思って持参したけれど、うん。これでよかったんだろうな。妙子がね、よくこの置物を眺めては小雪さんの話を楽しそうにしていたんだ。」
うんうん、と満足そうな顔をした妙子さまの旦那様は少し吹っ切れた表情をされておられました。二人でしばらく妙子さまの思い出話をしながらお互いの瞳からは涙が流れておりました。
その夜月明かりに照らされたそのがガラス細工を眺めていると突然亮真様が私の部屋に入ってこられました。
「ものすごい美丈夫が堂々と君に会いに来たんだって?」と突然亮真様に言われてしまった私は亮真様のおっしゃられた意味を理解するまで少し時間がかかってしまいました。
「…そんなにその男からもらったガラス細工が大切なのか?」
そうつぶやかれた旦那様は静かに私に近づかれます。そして突然ガラス細工をつかむとガタンッと無造作に倒されてから部屋を出ていかれました。
「どうして…亮真様。どうして…」
ガラス細工は幸いにも頑丈だったようで少し傷が入っただけで砕けることはありませんでした。
1,780
お気に入りに追加
4,046
あなたにおすすめの小説
業腹
ごろごろみかん。
恋愛
夫に蔑ろにされていた妻、テレスティアはある日夜会で突然の爆発事故に巻き込まれる。唯一頼れるはずの夫はそんな時でさえテレスティアを置いて、自分の大切な主君の元に向かってしまった。
置いていかれたテレスティアはそのまま階段から落ちてしまい、頭をうってしまう。テレスティアはそのまま意識を失いーーー
気がつくと自室のベッドの上だった。
先程のことは夢ではない。実際あったことだと感じたテレスティアはそうそうに夫への見切りをつけた
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
アリシアの恋は終わったのです。
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる