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部屋に戻る途中、少し息苦しくなって参りました。
(早く横になりたい…)
「タカさん、料理人方にとてもおいしかったのに残してしまってごめんなさいと伝えてもらえるかしら。あとはだいじょうぶだから、おやすみなさい。タカさんもゆっくり休んでね。」
「奥様、承知いたしました。でも本当に大丈夫ですか?顔色がよろしくありませんよ?せめてお着換えだけでもお手伝いしますから。」
「大丈夫よ。それにいつも私に付き添ってもらってしまって休憩できないのではないかしら?たまには早く休んでくれると嬉しいの。」
「奥様私なぞに恐れ多いです。それに奥様のお世話をさせてもらえるなんて鼻が高いんですからね?でもそこまでおっしゃられるのなら…今日はお言葉に甘えて早く休ませて頂きます。奥様、お休みなさいませ。」
用があればいつでもたたき起こしてくださいと何度も繰り返すタカさんが引き返すのを見送ってようやく部屋で一人になりました。
ジワリと背中を冷たい汗が流れております。
喉も急に乾いてしまいました。
「はぁっ、はぁっ…」
薄れゆく意識の中で床に倒れこんでしまった私はそのまま意識を失っていきました。
◇◇◇◇
チュンチュンと鳴く鳥の声で目をかすかに開けると真っ暗な部屋にわずかに外のまぶしい光が零れていていつの間にか朝になったのだと気が付きました。
あれからずっと床の上に転がったままだったようです。
「っ痛!」
固まってしまった体の節々が悲鳴を上げるのと同時に、頭と肩がズクンズクンと痛みます。
どうにか起き上がって呼び鈴を鳴らすとタカさんではない女性の使用人が顔を見せました。
「まぁ奥様…」
「朝早くに悪いのだけれど、お医者様を手配してくれないかしら。」
「はあ、かしこまりました奥様。」
部屋を出て行ったその使用人は廊下で他の使用人とこそこそと話しておりますが扉を中途半端にしめて行きましたので、声が丸聞こえになっております。
「ひどい恰好なのよ!いくら一人でお休みになるのに慣れたからと言って、着替えもせずに寝ていただなんて。どうせ旦那様の気を引きたいだけなんじゃないの?本邸の琴葉奥様だったらこんなこと絶対になさらないのに。ねぇ!」
初夜以降、亮真様にほとんど相手にされていない私をこうして表立ってあざ笑う使用人が増えてまいりました。私へ仕えることが億劫だと言わんばかりにすでに扱いがおざなりになってきております。
亮真様と特に会話もなく夫婦としての時間もない私はこうなることは必然なのでしょう。
使用人にさえおざなりに扱われる私が朝まで無様に床に倒れてけがをしていたなんて、皆ますます私のことを哀れな女だと陰で笑うのでしょうか…。
惨めすぎて誰も相談できません。
膝からも腕からも血が滲みだしております。時間がたつにつれて痛みがひどくなってきます。
「痛いわ…」
思わずつぶやいた本音は空しく響きました。
(早く横になりたい…)
「タカさん、料理人方にとてもおいしかったのに残してしまってごめんなさいと伝えてもらえるかしら。あとはだいじょうぶだから、おやすみなさい。タカさんもゆっくり休んでね。」
「奥様、承知いたしました。でも本当に大丈夫ですか?顔色がよろしくありませんよ?せめてお着換えだけでもお手伝いしますから。」
「大丈夫よ。それにいつも私に付き添ってもらってしまって休憩できないのではないかしら?たまには早く休んでくれると嬉しいの。」
「奥様私なぞに恐れ多いです。それに奥様のお世話をさせてもらえるなんて鼻が高いんですからね?でもそこまでおっしゃられるのなら…今日はお言葉に甘えて早く休ませて頂きます。奥様、お休みなさいませ。」
用があればいつでもたたき起こしてくださいと何度も繰り返すタカさんが引き返すのを見送ってようやく部屋で一人になりました。
ジワリと背中を冷たい汗が流れております。
喉も急に乾いてしまいました。
「はぁっ、はぁっ…」
薄れゆく意識の中で床に倒れこんでしまった私はそのまま意識を失っていきました。
◇◇◇◇
チュンチュンと鳴く鳥の声で目をかすかに開けると真っ暗な部屋にわずかに外のまぶしい光が零れていていつの間にか朝になったのだと気が付きました。
あれからずっと床の上に転がったままだったようです。
「っ痛!」
固まってしまった体の節々が悲鳴を上げるのと同時に、頭と肩がズクンズクンと痛みます。
どうにか起き上がって呼び鈴を鳴らすとタカさんではない女性の使用人が顔を見せました。
「まぁ奥様…」
「朝早くに悪いのだけれど、お医者様を手配してくれないかしら。」
「はあ、かしこまりました奥様。」
部屋を出て行ったその使用人は廊下で他の使用人とこそこそと話しておりますが扉を中途半端にしめて行きましたので、声が丸聞こえになっております。
「ひどい恰好なのよ!いくら一人でお休みになるのに慣れたからと言って、着替えもせずに寝ていただなんて。どうせ旦那様の気を引きたいだけなんじゃないの?本邸の琴葉奥様だったらこんなこと絶対になさらないのに。ねぇ!」
初夜以降、亮真様にほとんど相手にされていない私をこうして表立ってあざ笑う使用人が増えてまいりました。私へ仕えることが億劫だと言わんばかりにすでに扱いがおざなりになってきております。
亮真様と特に会話もなく夫婦としての時間もない私はこうなることは必然なのでしょう。
使用人にさえおざなりに扱われる私が朝まで無様に床に倒れてけがをしていたなんて、皆ますます私のことを哀れな女だと陰で笑うのでしょうか…。
惨めすぎて誰も相談できません。
膝からも腕からも血が滲みだしております。時間がたつにつれて痛みがひどくなってきます。
「痛いわ…」
思わずつぶやいた本音は空しく響きました。
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