見捨てられたのは私

梅雨の人

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太賀お義兄様と琴葉様が夫婦となられ琴葉様が大河内家で生活を始められました。 

いろいろと慣れないことで大変なのでしょう。 
亮真様もお義姉様が大河内家で生活を始めるからにはお心を配られるとおっしゃっておりました。 

大河内家の皆様とお義姉様とならうまく生活がしていけると思うのですがそれでも色々と大変なこともあるのでしょう。 
 

それにしてもこの四年間ずっと続けられていた亮真様と私の交流が、太賀お義兄様と琴葉お義姉様の結婚式以来途絶えております。 

忙しくなったので落ち着いたらゆっくりと時間をとるので少し待っていてほしいと、お手紙を亮真様に頂きました。

それにしても来年夫婦となるというのに春から夏へ夏から秋へ入っても交流がないというのはどうしたことでしょう。

時折亮真様にお手紙を送らせていただきましたが、返信はいつも、落ち着いたら時間をとるというものでした。そんなにお忙しいのかと亮真様のお体がとても心配です。 

幸太郎お兄さまはそんな私を心配してくださって何かと以前に増して私を甘やかせてくれております。 

◇◇◇◇

それから時間はさらに過ぎて秋から冬になりました。 

小雪という名前の通り、私は雪のちらつく12月生まれでございます。 

そして今日は私の誕生日。
どうにか都合が取れたのでしょう、亮真様がお食事に誘って下さいました。 

18歳になり亮真様に誕生日にお食事に誘っていただけるなんて嬉しい限りです。 

亮真様に一緒にお食事をとお誘いいただいた時から、何を着て行こうかしら、髪型はどうしようかしら、など悩みに悩んで今日を迎えました。 

亮真様は学園を卒業されて以来、私との結婚後に受け継ぐことになる大河内家の一部の商会の経営を引き継がれてからというもの忙しくされておるのは承知しておりましたが、この半年ほどはこれまで以上に忙しくしていたのだと誕生日のお誘いの手紙に書いておりました。 

そんなお忙しい中わざわざ私にこうやって気を使って下さったことを素直にうれしく思います。 

昨日の夕暮れ時に、迎えに行けなくなってしまったことを詫びる手紙が亮真様から届きましたので、今日はお兄様が代わりに送って下さるというのをどうにかお断りするのはとても大変でした。 

『こんなにきれいな小雪を一人にするなんてできない』など、真顔でおっしゃるお兄様がなんだかおかしくて笑ってしまいましたが。 

いつもどちらかの屋敷で落ち合わせてから一緒に外出しておりましたので、今日のように外で待ち合わせなど初めてのことで本当に大人扱いされているようで胸が高鳴ります。 

お忙しい亮真様をお待たせしてしまっては申し訳ないので少しだけ早く屋敷を出ることに致しました。 
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