45 / 49
ノア:君が去った後で
しおりを挟む
ルビーが去っていった。
◇
最初は私たちの恋愛感情など必要なかった。自分の婚約者だと初めて紹介されたのは14の時だった。
一つ年下の彼女は物静かで、一見大人しいだけかと思ったが真のあるしっかりした女性だとすぐに気が付いた。
長いまつげが大きな綺麗な瞳に影を作り、神秘的で物憂げで、いつの間にかその瞳に吸い寄せられたように目が離せなくなっていた。
他の奴らの目に触れさせたくない、自分だけを見てほしい。その透き通るような声も、甘く爽やかに香るしなやかな肢体も全て自分のものに出来たのだと結婚後は浮かれていた。
甘やかせてずっと閉じ込めておきたかった。それほどまでにルビーを愛していたのに。
突然ルビーの親友だったカミラからルビーの誕生日に贈るものを一緒に選んでほしいのだと手紙を貰い、何も考えずに買い物に共に出かけた。
何かと身体を寄せてくるその女にこんな女だったのかと不快感を抱いたがルビーの親友だと思いぐっとこらえた。
でも、愚かな私はずっと自分のことを想っていた、ルビーと出来ないことでも何でもするからと懇願され流されるままに関係を持ってしまった。
ルビーには絶対に出来ないことをしても歓喜に震える女は、それから次第に自分にとって都合の良い存在となっていた。だが、そんな日々も長続きせず、ルビーにばらすと脅された。
結婚記念日にルビーがずっと行きたいと願っていた街へ女を連れていく羽目になった。
そしてついには、屋敷の夫婦の寝室で過ごしたいと押し切られた。
そして夫婦の寝室であの女とやけくそな気持ちで交わっていたのをルビーに目撃された。心臓がえぐられる思いがした。
それからというもの、必死にルビーを自分につなぎ留めたくてあの誓約書にサインをした直後、あの男がルビーの前に現れるようになった。
二人で出かけるようになり、しまいには、私がいつかルビーを連れていきたかったソルトー街に二人で行ってしまった。
ソルト-街から帰って来てからルビーはジョーンズと距離を置いていた。
ホッとしたのもつかの間、ジョーンズを見つめるルビーの表情を見て遂に愛を知ってしまったのだと悟った。
彼女を手放すのは身を切られるほどつらかった。
こんなはずではなかった。
ルビーのいない世界は白黒の世界のようだ。
◇
養子となった息子が屋敷で生活するようになった。
非常に優秀な子で、あとを継がせることに何の問題もなさそうで安堵している。
母親がいないことに申し訳なさを感じるが。
それでも私はこれからもルビーの幸せを祈って、この子と二人で生きてく。
◇
最初は私たちの恋愛感情など必要なかった。自分の婚約者だと初めて紹介されたのは14の時だった。
一つ年下の彼女は物静かで、一見大人しいだけかと思ったが真のあるしっかりした女性だとすぐに気が付いた。
長いまつげが大きな綺麗な瞳に影を作り、神秘的で物憂げで、いつの間にかその瞳に吸い寄せられたように目が離せなくなっていた。
他の奴らの目に触れさせたくない、自分だけを見てほしい。その透き通るような声も、甘く爽やかに香るしなやかな肢体も全て自分のものに出来たのだと結婚後は浮かれていた。
甘やかせてずっと閉じ込めておきたかった。それほどまでにルビーを愛していたのに。
突然ルビーの親友だったカミラからルビーの誕生日に贈るものを一緒に選んでほしいのだと手紙を貰い、何も考えずに買い物に共に出かけた。
何かと身体を寄せてくるその女にこんな女だったのかと不快感を抱いたがルビーの親友だと思いぐっとこらえた。
でも、愚かな私はずっと自分のことを想っていた、ルビーと出来ないことでも何でもするからと懇願され流されるままに関係を持ってしまった。
ルビーには絶対に出来ないことをしても歓喜に震える女は、それから次第に自分にとって都合の良い存在となっていた。だが、そんな日々も長続きせず、ルビーにばらすと脅された。
結婚記念日にルビーがずっと行きたいと願っていた街へ女を連れていく羽目になった。
そしてついには、屋敷の夫婦の寝室で過ごしたいと押し切られた。
そして夫婦の寝室であの女とやけくそな気持ちで交わっていたのをルビーに目撃された。心臓がえぐられる思いがした。
それからというもの、必死にルビーを自分につなぎ留めたくてあの誓約書にサインをした直後、あの男がルビーの前に現れるようになった。
二人で出かけるようになり、しまいには、私がいつかルビーを連れていきたかったソルトー街に二人で行ってしまった。
ソルト-街から帰って来てからルビーはジョーンズと距離を置いていた。
ホッとしたのもつかの間、ジョーンズを見つめるルビーの表情を見て遂に愛を知ってしまったのだと悟った。
彼女を手放すのは身を切られるほどつらかった。
こんなはずではなかった。
ルビーのいない世界は白黒の世界のようだ。
◇
養子となった息子が屋敷で生活するようになった。
非常に優秀な子で、あとを継がせることに何の問題もなさそうで安堵している。
母親がいないことに申し訳なさを感じるが。
それでも私はこれからもルビーの幸せを祈って、この子と二人で生きてく。
443
お気に入りに追加
2,591
あなたにおすすめの小説
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
真実の愛は素晴らしい、そう仰ったのはあなたですよ元旦那様?
わらびもち
恋愛
王女様と結婚したいからと私に離婚を迫る旦那様。
分かりました、お望み通り離婚してさしあげます。
真実の愛を選んだ貴方の未来は明るくありませんけど、精々頑張ってくださいませ。
永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……
矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。
『もう君はいりません、アリスミ・カロック』
恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。
恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。
『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』
『えっ……』
任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。
私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。
それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。
――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。
※このお話の設定は架空のものです。
※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)
だから言ったでしょう?
わらびもち
恋愛
ロザリンドの夫は職場で若い女性から手製の菓子を貰っている。
その行為がどれだけ妻を傷つけるのか、そしてどれだけ危険なのかを理解しない夫。
ロザリンドはそんな夫に失望したーーー。
アリシアの恋は終わったのです【完結】
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる