26 / 49
提案
しおりを挟む
大変だったねとか中途半端な励ましや慰めの言葉ではなく、お茶を飲むつかの間でも、ジョーンズが隣にいてくれて感じた暖かさがルビーには心地よかった。
次の日、伯爵夫人としての執務中だあというのに、先日の帰り際のジョーンズとの会話を思い出していた。
『ルビー、どうだろう。何かやってみたいこととか、行きたいところとかないか?気分転換に、いつもと違うことをして楽しむのもいいと思うんだが。』
『やってみたいことや、行きたいところ…ねぇ。一か所だけ行ってみたかったところはあったのだけれど。夫のノアがそこに私以外の女性を連れて行ったって知ってしまったら、なんだか複雑な気持ちになってしまったわ。もしそこへ行ったとして、せっかくの楽しい時間が嫌なことを思い出してしまって残念なことにならないか心配なの。』
行きたかったところ…、そこには夫のノアが自分以外の女性を伴ってわざわざ自分たちの結婚記念日の日に訪れていたのだと思うと、胸の奥がツキンと痛む。
愛してたからなのか、夫婦として愛せるように自分なりに頑張っていたからなのか何だか知らないけども、ノアのことを考えるといつも最近は胸が痛むと苦笑した。
『なあ、ルビー。いいんじゃないか、別にあの二人が行ったからってそれでルビーが諦めたり、それが理由でその街に行きたくなくなるなんてもったいないだろ?
ルビーが行きたければ行けばいいしやりたければやればいいんだ。俺が全力でお前を守ってやる。
それに嫌なことは楽しい思い出に塗り替えてしまえばいいじゃないか。
まあ、考えおいてくれ。』
お休みと告げて、見送りに行くというルビーが扉から一歩でも外に出ないようにさっと身を翻して颯爽と帰っていった。
次の日、伯爵夫人としての執務中だあというのに、先日の帰り際のジョーンズとの会話を思い出していた。
『ルビー、どうだろう。何かやってみたいこととか、行きたいところとかないか?気分転換に、いつもと違うことをして楽しむのもいいと思うんだが。』
『やってみたいことや、行きたいところ…ねぇ。一か所だけ行ってみたかったところはあったのだけれど。夫のノアがそこに私以外の女性を連れて行ったって知ってしまったら、なんだか複雑な気持ちになってしまったわ。もしそこへ行ったとして、せっかくの楽しい時間が嫌なことを思い出してしまって残念なことにならないか心配なの。』
行きたかったところ…、そこには夫のノアが自分以外の女性を伴ってわざわざ自分たちの結婚記念日の日に訪れていたのだと思うと、胸の奥がツキンと痛む。
愛してたからなのか、夫婦として愛せるように自分なりに頑張っていたからなのか何だか知らないけども、ノアのことを考えるといつも最近は胸が痛むと苦笑した。
『なあ、ルビー。いいんじゃないか、別にあの二人が行ったからってそれでルビーが諦めたり、それが理由でその街に行きたくなくなるなんてもったいないだろ?
ルビーが行きたければ行けばいいしやりたければやればいいんだ。俺が全力でお前を守ってやる。
それに嫌なことは楽しい思い出に塗り替えてしまえばいいじゃないか。
まあ、考えおいてくれ。』
お休みと告げて、見送りに行くというルビーが扉から一歩でも外に出ないようにさっと身を翻して颯爽と帰っていった。
341
お気に入りに追加
2,590
あなたにおすすめの小説
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

真実の愛は素晴らしい、そう仰ったのはあなたですよ元旦那様?
わらびもち
恋愛
王女様と結婚したいからと私に離婚を迫る旦那様。
分かりました、お望み通り離婚してさしあげます。
真実の愛を選んだ貴方の未来は明るくありませんけど、精々頑張ってくださいませ。

比べないでください
わらびもち
恋愛
「ビクトリアはこうだった」
「ビクトリアならそんなことは言わない」
前の婚約者、ビクトリア様と比べて私のことを否定する王太子殿下。
もう、うんざりです。
そんなにビクトリア様がいいなら私と婚約解消なさってください――――……

【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています

初恋が綺麗に終わらない
わらびもち
恋愛
婚約者のエーミールにいつも放置され、蔑ろにされるベロニカ。
そんな彼の態度にウンザリし、婚約を破棄しようと行動をおこす。
今後、一度でもエーミールがベロニカ以外の女を優先することがあれば即座に婚約は破棄。
そういった契約を両家で交わすも、馬鹿なエーミールはよりにもよって夜会でやらかす。
もう呆れるしかないベロニカ。そしてそんな彼女に手を差し伸べた意外な人物。
ベロニカはこの人物に、人生で初の恋に落ちる…………。

婚約解消したら後悔しました
せいめ
恋愛
別に好きな人ができた私は、幼い頃からの婚約者と婚約解消した。
婚約解消したことで、ずっと後悔し続ける令息の話。
ご都合主義です。ゆるい設定です。
誤字脱字お許しください。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる