愛を知ってしまった君は

梅雨の人

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ルビーの気持ち

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「なぁ、ルビー。こんなことを俺が聞くのもどうかと思うけど。ルビーはマクアベル伯爵のことをどう思ってるんだ?」 

突然そんなことを聞いてきたジョーンズを見つめたルビーは、ふっと笑いをこぼした。

「ふふふ、突然ね、ジョー。 

どう思ってるか、ねぇ。

そうね…これまで夫婦として過ごしてきた情はあるわ。ずっと大事にされてきたと感じていたし、それならこちらも気持ちをノアに返していかなければと感じていたの。 

それって義務だったのかしら…それともそうやって私は愛を育んでいこうとしたのかしらね…。 

ショックだったわ。親友だと思っていたカミラとノアの交わりを目の当たりにした時。しかも夫婦の寝室でよ?あり得ないでしょ? 

でも…怒りとか、絶望とかいう当たり前にもっていい感情よりも感じたのは....戸惑いだった…。 

今まで夫婦として確実に育んでいたものは何だったのかって。私の中では上手くいってると思っていたけど、あれ?実は勘違いしたのかしら?って。 

それなら別にノアと私が一緒にいる必要なんてないでしょ? 

貴族の結婚に愛なんて必要ないでしょうけど、夫婦になったからには始まりはどうであれ、やっぱり仲のいい夫婦が理想じゃない? 

でもそれももう無理となると、なんだかもうどうでもよくなったの。 

一応、理由が理由だし、離縁してもこれなら実家に損はないと思うの。 

離縁しましょうってノアに提案したのにまさか拒否されるなんて思わなかったわ。 

…みんな愛してるとかなんとかいうけど、愛してるってどんな気持ちなのかしらね…。 

ノアみたいに誰かを愛していても、その人以外に肌を許せるものなの?

娼館で働く人はそれで稼ぐことが出来るけど、ノアはそれで何を得ることが出来るのかしら。

そう考えてたら、どうして私はノアを愛そうとしていたのかどうなのか馬鹿らしくなったの… 
おかしいでしょ? ふふふっ」 

つまるところ何が愛なのかわからないと、遠い目をしてつぶやいた。
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