愛を知ってしまった君は

梅雨の人

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再会

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その数日後の朝、ルビーに客人が訪れた。客人はルビーの実家のアボット伯爵家と領地を隣接するノースベスト侯爵家の次男ジョーンズだった。 

ジョーンズは学友の王太子より、かねてより側近にと声がかかっていた男だったが、大国ブルノワ帝国の第二王子と父の外交について行った際に意気投合した為、しばらくブルノワ帝国に滞在していた。

頭脳明晰、武術に優れ、王太子の覚えめでたく、眉目秀麗で、近々、実家が持つ伯爵位を与えられることになっている。 

そのため、ジョーンズがようやく国に戻って来たらしいと噂を聞きつけた多くの女性たちが今か今かと待ち構えていた。 


「やあ、ルビー!」 

「ジョー!おかえりなさい!」 

「ああ、只今ルビー。久しぶりだな。」 


ルビーとジョーンズは久しぶりに再会できたことを心から喜び合った。 

使用人一同はルビーが屋敷に戻ってきたときに、ルビーもこれから夫以外の異性と交流を深める可能性を説明されていた為、多少驚きはしたものの皆ルビーの久しぶりに見せる柔らかな笑顔をみて安堵していた。 

 
「ルビー。また会えて嬉しいよ。ルビーはあまりかわってないみたいだな。安心した。」 

「そうかしら?でもそうね。ジョーがそういうのならそうなのかもしれないわ。」 

「ああ。一目見てすぐにわかるくらいには…。さあ、話の続きは後で。さっそく出かけようか。」 

そういって、腕を差し出してきたジョーンズに笑顔を向けたルビーは小さなその手を置いた。 

 ルビーの夫であるノアの美貌もさることながら、ジョーンズの黒髪にサファイアブルーのどこまでも見通すような瞳は、男の色気をだだ溢れさせており、女性の使用人一同の頬は真っ赤に染め上がっていた。 


「では、行ってきます。帰りは…」 

「帰りはレストランを予約したから少し遅くなるがいいか?」 

「そうなの?じゃあ、夕餉はシェフに伝えて今日はいらないって伝えておいてね。」 

執事にそう告げたルビーはジョーンズに伴われて扉の向こうに歩を進めていった。 
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