愛を知ってしまった君は

梅雨の人

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戻ってきたルビー2

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「そんなの決まってるじゃない。気持ち悪いからよ。あんな場面を見せつけられて、夫婦の寝室どころかその隣にある私の部屋を使うなんて考えただけで吐きそうだわ。

とりあえず今のところこの部屋を使うけど、準備が出来たらそこの離れに私一人で移るから。」 

「離れに?一人で??…そ…そんな…ルビー。」 

「何をそんな泣きそうな顔をしているの?私たち夫婦のベッドであんなことをしておいて、なぜあなたがそんな顔をするの?泣きたいのはこっちよ。本当にこの頃は私には理解できないことばかり起きるわね。」 

ノアの絶望した表情を一切気にも留めず、ノアを部屋から追い出したルビーは窓から空を眺めた。 
ふぅっと息を吐きだしたルビーは、本当に、分からないことばかりだわ、とつぶやいた。

なぜノアが傷ついた顔をするのか、傷ついたのは自分の方だ。しかし今、こんなに気持ちが落ち着いているのはなぜなのか。 

大きく息をついて考えることを止めたルビーは、侍女に言いつけて自分の部屋の荷物をとりあえずこの客室に全て移動させるよう頼み、執事に離れの準備が整い次第、居を移動することを告げたのだった。 

部屋の外に追い出されたノアはふらふらと自分の部屋へ足を向けた。 

取り返しのつかない間違いを犯してしまったと後悔するも時すでに遅く、ルビーの部屋から使用人らがせっせと荷物を移動させているのを止めることも出来なかった。

カミラを招き入れた夫婦の寝室の内装も家具もあれからすべて一新したことを告げたら、少しはルビーの機嫌が戻るかもと期待していた。しかしルビーは、それさえ告げる間を与えてはくれなかった。 

誠心誠意謝ったらルビーが機嫌を直してくれるかもとか、出来たらルビーとあの甘く惚けるような時間を再び過ごせたらと期待していた自分が愚かだったと気がついても後の祭りだった。 
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