愛を知ってしまった君は

梅雨の人

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誓約書2

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「---、以上が今回ノアと私で交わす誓約内容ね。確認したら早速、サインをよろしくお願いします。」 

「ちょっ…ちょっと待ってくれルビー。」 

「どうしたのノア?サインしないの?」 

「いや…その…。この、互いに恋人を作ろうが、夫婦以外の人物と恋人になろうが体の関係を持とうが子供さえ作らなければ互いに一切干渉しないことって、つまり、あれか?

…ルビーはこれから私以外の奴と体の関係を持つかもってこと…?しかも一切干渉しないだなんて…。

ルビーが他の奴となんて耐えられない…耐えられない…耐えられない…っ!

ルビー!お願いだから私以外の奴と関係を持つだなんていわないでくれ!」 

「ノア、耐えられないなんて言ってるけど、私たちの夫婦の寝室で私以外の女と体をつなげていたのは誰だったかしら?

自分は良くて私はダメだなんて…やっぱり離縁した方が良さそうね。そもそも、あなたが言ったのよ?私が恋人を持とうが好きにしていいって。」 

さらりとそう言い切ったルビーに更に顔を青褪めたノアは、ズルリと椅子から転げ落ちたかと思うとそのまま額を床につけて謝罪の言葉を繰り返した。 

「ノア、あなたの謝罪の言葉なんて私には何の意味もないのよ。サインするのしないの?それとも離婚してくれるの?してくれないの?なんかもうどっちでもいいから早く決めてくれない?」 

 そのルビーのどうでもいいといった態度に心臓を抉られそうになったノアだったが、見かねた弁護士がノアに肩を貸しとりあえずソファに座らせた。

そのままちゃっかりと弁護士にペンを握らされたノアはやけくそになって誓約書にサインを記入したあと項垂れてしばらく微動だにしなくなった。 

ルビーの両親はせっかくのルビーを離縁させるチャンスを逃してしまったことに渋い顔をしたが、当のルビーは何か考え事をしているのか、心ここにあらずになっていた。 
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