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離縁しましょう
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それから10日間毎日のように謝罪に訪れるノアをアボット伯爵は門前払いし続けた。
門の前でルビーの名前を叫び続けるノアを、アボット伯爵と護衛らが門から遠ざけるのを、部屋の窓の片隅でルビーはそっと目にしていた。
「お父様、お母様。ノアが連日押しかけてきて申し訳ございません。」
「いいんだ、ルビー心配しなくていい。」
「お父様、お母さま。ずっとどうしたいのか考えていたのですが、もう私はノアと夫婦でいることは出来ません。
どうしてもあの時の出来事が頭の中から離れてくれない…今更、ノアと跡継ぎを作るなんて考えただけで…。私はノアと離縁して、後妻でも修道院でもどこかで穏やかに残りの人生を過ごしていきたいのです。」
「ルビー、離縁したいという話は分かった。ルビーがそうしたいというのなら、そうすればいい。ただし、お前はまだ若い。修道院なんてとんでもない。前にも伝えたはずだ。このまま、私たちの元で一緒に暮らそう。なに、前にも言ったがお前ひとりくらいどうとでもなるんだ。お前が幸せになれるように今度こそ見守らせてくれ。」
「よろしいのですか?」
「ああもちろんだ。」
ホッとしたのかやっと笑顔を見せてくれた娘に夫妻も安堵の笑みを漏らした。
そして、その日の夕方、再びノアがやって来た。
「旦那様、またいらしておりますが…」
「ああ、通してやってくれ。」
ようやく客間へ通されたノアは、やつれきっていた。
部屋へアボット夫人とやって来たルビーを見るなり駆けつけていこうとするノアを護衛騎士らが難なく止めた。
「ルビー!すまなかった!お願いだ、お願いだから私の所に帰って来てくれ!」
そう叫んだノアは頭を床に擦り付けてルビーに許しを請うた。
「ノア…お願いだから頭をあげて?」
「ルビー…。だめだ、ルビーが帰って来てくれるというまで私は頭をあげない!」
「ノア、私はもう屋敷には戻りません。離縁しましょう。」
門の前でルビーの名前を叫び続けるノアを、アボット伯爵と護衛らが門から遠ざけるのを、部屋の窓の片隅でルビーはそっと目にしていた。
「お父様、お母様。ノアが連日押しかけてきて申し訳ございません。」
「いいんだ、ルビー心配しなくていい。」
「お父様、お母さま。ずっとどうしたいのか考えていたのですが、もう私はノアと夫婦でいることは出来ません。
どうしてもあの時の出来事が頭の中から離れてくれない…今更、ノアと跡継ぎを作るなんて考えただけで…。私はノアと離縁して、後妻でも修道院でもどこかで穏やかに残りの人生を過ごしていきたいのです。」
「ルビー、離縁したいという話は分かった。ルビーがそうしたいというのなら、そうすればいい。ただし、お前はまだ若い。修道院なんてとんでもない。前にも伝えたはずだ。このまま、私たちの元で一緒に暮らそう。なに、前にも言ったがお前ひとりくらいどうとでもなるんだ。お前が幸せになれるように今度こそ見守らせてくれ。」
「よろしいのですか?」
「ああもちろんだ。」
ホッとしたのかやっと笑顔を見せてくれた娘に夫妻も安堵の笑みを漏らした。
そして、その日の夕方、再びノアがやって来た。
「旦那様、またいらしておりますが…」
「ああ、通してやってくれ。」
ようやく客間へ通されたノアは、やつれきっていた。
部屋へアボット夫人とやって来たルビーを見るなり駆けつけていこうとするノアを護衛騎士らが難なく止めた。
「ルビー!すまなかった!お願いだ、お願いだから私の所に帰って来てくれ!」
そう叫んだノアは頭を床に擦り付けてルビーに許しを請うた。
「ノア…お願いだから頭をあげて?」
「ルビー…。だめだ、ルビーが帰って来てくれるというまで私は頭をあげない!」
「ノア、私はもう屋敷には戻りません。離縁しましょう。」
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