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エラルド
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私の側近達はそのまま新国王カストにつくよう手配した。
『陛下、我々はどこまでも陛下について参ります。』
『気持ちはありがたいが、カストを助けてやってくれ。優秀な側近がいたらカストも心強いだろう。私もこれで心置きなく行ける。』
こんな情けない私についてくると言ってくれた彼らの懐の深さに感謝した。しかし、彼らはこれからのこの国に必要な者たちなのだ。カストを頼んだぞ、と告げてジュリアを探す旅に一人静かに出発しようとする前に、腕が立つとはいえ単独での旅はやめてくれとカストや側近に押し切られて、精鋭3名が私についてくることになった。
出発してまず最初に、以前最後にジュリアを発見した湖畔のある森林へ向かった。
『エラルド様、確かここらへんだったはずですが…」
私についてきた精鋭三名は以前、ジュリアに会いに私について来てくれた者たちだったので、難なくジュリアが以前暮らしていた湖畔にたどり着いた。
改めてみると、人里からかなり離れた場所にあり、空気は澄んで小鳥のさえずりが耳に優しく響き、美しい湖畔が見事に周囲の自然を映し出していてそれはそれは美しい場所だった。
ジュリアの住んでいたらしき屋敷は跡形もなくなくなっていて、もちろん周辺をいくら探してもジュリアは見つからなかった。
「エラルド様、ジュリア様はここにはもういらっしゃらないでしょう。また別の場所を探すしかないですね。…しかしここにジュリア様がお住まいになっていたんだと思うと…とても感慨深いものがありますね…」
「ああ、懐かしいな。ここにジュリアがいたんだ。王妃として私の側にいた時のジュリアは…私が間違いを犯す前までは忙しいながらも私に微笑んでくれていたな…そうだ、その時はまだ『エラルド』と名前を呼んでくれていたんだった…この湖畔で見つけたジュリアのあんなおだやかな顔、ロレッタが現れてからは私には一度も見せてくれたことはなかったな…」
「エラルド様…少し休憩しましょう。ここで一晩野宿してから次に向かいますか?」
「ああ、そうしよう。」
予定もない旅はゆったりしたもので、こうして湖畔のほとりに座っているだけで思考も視界も急に開けたような気がするのは気のせいだろうか。
そよ風がこのように気持ちがよくて、鳥のさえずりを聞きながら横たわると勝手に体の力が抜けて行くのを感じた。
ジュリアもきっと同じことを感じたのではないだろうか。
そんなことを想いながら、湖畔の周辺を歩いていると、かつて屋敷があった場所に生えている木の幹に光る何かを見つけた気がした。近づいてみると、それは私がジュリアに贈った婚姻した日に贈った指輪であった。
『ジュリア、これは私が君のために特別に作らせたんだ。ジュリア、私は君を一生幸せにする。だからどうかこれから私のそばを離れないでくれよな。』
そういった私にジュリアは大輪の花のような笑顔を見せ指輪を受け取ってくれたんだった。
「ざまあないな。なにが一生幸せにするだ。全てをあきらめた顔にさせていたくせにな…」
ジュリアを思い出せば思い出すほど、辛い思いをさせていたのだと理解できるのに、あの時の私はそんなジュリアを救うことはできなかった。自分自身があまりにも情けなくてその指輪を握り締め一人しばらく時間を過ごした。
『陛下、我々はどこまでも陛下について参ります。』
『気持ちはありがたいが、カストを助けてやってくれ。優秀な側近がいたらカストも心強いだろう。私もこれで心置きなく行ける。』
こんな情けない私についてくると言ってくれた彼らの懐の深さに感謝した。しかし、彼らはこれからのこの国に必要な者たちなのだ。カストを頼んだぞ、と告げてジュリアを探す旅に一人静かに出発しようとする前に、腕が立つとはいえ単独での旅はやめてくれとカストや側近に押し切られて、精鋭3名が私についてくることになった。
出発してまず最初に、以前最後にジュリアを発見した湖畔のある森林へ向かった。
『エラルド様、確かここらへんだったはずですが…」
私についてきた精鋭三名は以前、ジュリアに会いに私について来てくれた者たちだったので、難なくジュリアが以前暮らしていた湖畔にたどり着いた。
改めてみると、人里からかなり離れた場所にあり、空気は澄んで小鳥のさえずりが耳に優しく響き、美しい湖畔が見事に周囲の自然を映し出していてそれはそれは美しい場所だった。
ジュリアの住んでいたらしき屋敷は跡形もなくなくなっていて、もちろん周辺をいくら探してもジュリアは見つからなかった。
「エラルド様、ジュリア様はここにはもういらっしゃらないでしょう。また別の場所を探すしかないですね。…しかしここにジュリア様がお住まいになっていたんだと思うと…とても感慨深いものがありますね…」
「ああ、懐かしいな。ここにジュリアがいたんだ。王妃として私の側にいた時のジュリアは…私が間違いを犯す前までは忙しいながらも私に微笑んでくれていたな…そうだ、その時はまだ『エラルド』と名前を呼んでくれていたんだった…この湖畔で見つけたジュリアのあんなおだやかな顔、ロレッタが現れてからは私には一度も見せてくれたことはなかったな…」
「エラルド様…少し休憩しましょう。ここで一晩野宿してから次に向かいますか?」
「ああ、そうしよう。」
予定もない旅はゆったりしたもので、こうして湖畔のほとりに座っているだけで思考も視界も急に開けたような気がするのは気のせいだろうか。
そよ風がこのように気持ちがよくて、鳥のさえずりを聞きながら横たわると勝手に体の力が抜けて行くのを感じた。
ジュリアもきっと同じことを感じたのではないだろうか。
そんなことを想いながら、湖畔の周辺を歩いていると、かつて屋敷があった場所に生えている木の幹に光る何かを見つけた気がした。近づいてみると、それは私がジュリアに贈った婚姻した日に贈った指輪であった。
『ジュリア、これは私が君のために特別に作らせたんだ。ジュリア、私は君を一生幸せにする。だからどうかこれから私のそばを離れないでくれよな。』
そういった私にジュリアは大輪の花のような笑顔を見せ指輪を受け取ってくれたんだった。
「ざまあないな。なにが一生幸せにするだ。全てをあきらめた顔にさせていたくせにな…」
ジュリアを思い出せば思い出すほど、辛い思いをさせていたのだと理解できるのに、あの時の私はそんなジュリアを救うことはできなかった。自分自身があまりにも情けなくてその指輪を握り締め一人しばらく時間を過ごした。
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