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エラルド

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やることが莫大すぎて最近はずっと執務室で寝泊まりをするようになった。ジュリアがどれだけ私を親身になって手伝ってくれていたのかが身に染みる毎日を過ごすことになった。 

瞳を閉じるとまるでジュリアが、『エラルド、風邪をひくわ。無理をしすぎね。部屋に戻りましょう?』とふわりと私に微笑んでいるのが聞こえるようでそれだけでつかの間の幸せに浸れた。 

夜、どうしても寝付けないと私の足は自然とジュリアの部屋に進むようになった。 

ジュリアの部屋はあまりり物がなく寂しいものだ。 

ロレッタの部屋は所せましにドレスや装飾品が並べたてられているというのに。 

飾りっ気のない簡素な空間だというのにジュリアの部屋で過ごすと息が楽になる気分がして、いつしかジュリアの寝台で寝るようになっていた。 

 
夢を見た。 


『エラルド』 

私を振り返ったジュリアが私を呼んでふわりと微笑んだ。

いつからだろう、ジュリアが私のことを『陛下』と温度のこもらない表情で呼ぶようになったのは。

やっと私の名前をジュリアが呼んでくれたと、喜びで全身が浮きだった私を振り返ったジュリアがふわりと微笑んだ。

私は急いでジュリアのもとに駆け付ける。ジュリアも私の方に歩み寄ってくる。互いに近づくと、幼いジュリアの表情に隠されている疲れや悲しみがよく見えるような気がしてジュリアの頬を両手で優しく包み込んだ。 

『どうしてそんな泣きそうな顔してるの?大丈夫よ、ずっとエラルドの側には私がいるんだから。ずっとよ。エラルドが辛いなら私も一緒に頑張るから、ね?泣かないで、エラルド?』 

ジュリアが心配なのに、そんなときでもジュリアは私を心配してくれた。ああ、そういえはいつもそうだったじゃないか。優しいジュリア、愛おしいジュリア…なぜ忘れていたんだろう…。

ハンカチで私の頬を拭うジュリアに何か言いたいのにうまく言葉が出てこない。 

『ご…ごめ…ごめん…ジュリア…』 

うずくまる私をずっと抱きしめてくれるジュリアは本当に暖かかった。

その後、夢から覚めた私はしばらく呆然として動くことが出来なかった。 

 

 

「兄上、お加減はいかがですか?」 

「カスト、いいところに来た。」 

 

そして私は意を決しに立ち上がった。 

去っていった側近に当て至急手紙をしたためた後、そのまま執務室に向かい、これまで自分に意見してきていた者たちを思い浮かべていた。 

ジュリアの公爵家、宰相の侯爵家以外、派閥に属していない家の者で優秀なものを頭に思い浮かべる。 

三日後、私のもとに元の側近たちがやってきた。
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