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「へぇ……ジュリア、ちょっとまってて?少し出てくる。」 

「ええ、珍しいですね。セーレが一人で出かけるだなんて。」 

「すぐ帰ってくる。屋敷からは出ないでくれよ?じゃあ行ってくる。」 

「行ってらっしゃいセーレ。気を付けて下さいね。」 

「心配すんなよ。この世界で生きてる奴ら全員より俺は強いからな。」 

そう言ってセーレはふわっと姿を消してしまいました。 

 
◇◇
 

「よお、よく場所が分かったな。」 

「ジュリアに会わせて頂きたい。貴殿にジュリアはついて行ったがあの状況ではジュリアもそうせざるをえなかったはずだ。辛い思いをさせてしまった。ジュリアに会って謝りたい。未だにジュリアは私の妻だ。返してもらおう。」 

「お前の妻だと?はっ!ジュリアは俺の妻になったんだよ。お前の言ってるのは書類上での話だろう?俺とジュリアは心でつながってるんだよ。式も挙げたし毎晩一緒に寝てる。何なら風呂にも一緒に入るし、飯の時も昼寝も散歩も何をするときにも一緒だよ。お前じゃあできねえだろうな。しかもなんだ、お前ジュリアのほかにもあのくっせえ不細工な側妃とかいうもう一人の妻がいるじゃねえか。ジュリアがいなくてもいいじゃねえかよ。今更だ。話にならねえ。」 

「貴殿の妻だと…ジュリアは私だけの妻だ。ジュリアをこれ以上他の者と共有することは許さない。彼女を返してくれ。」 

「…お前国王だろ?国王っつったら頭がいいんだろ?じゃあなんでわからなかったんだよ。お前が側妃とかいう女も妻にするって言ったときジュリアはどんな顔してた?今お前が言ったことと同じことを思ったんだろうな。ジュリアは情が厚くてそれなのに感情をなかなか表にだせなかったんだぜ。そんなジュリアがやっと腹の底から笑うようになったんだ。今更ジュリアを返せだあ?ジュリアはお前となんかぜってー帰らないだろうし、帰るというならそれはお前のとこじゃねえ。俺のところだ。」 

「気の迷いだったのだ。私が愚かだったことは認めよう。しかし話せばジュリアも分かってくれるはずだ。 

 まっすぐにセーレを見つめて来るエラルドの顔は真剣そのものです。

「だってよ、ジュリア。」 

突然現れた私に驚きと期待が入り混じった表情をしたエラルドをよそに、呆れた顔で私を振り返ったセーレは、「心配すんな」と言って私を抱き寄せてくれました。
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