出来損ないの王妃と成り損ないの悪魔

梅雨の人

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「それでよ、まあ、なんていうか家族ってのも悪くねーなとか柄でもねーけど思ったんだ。その時からお前のことしか考えられなくなった。」 

「家族…ですか?」 

「ああ。なあ、ジュリア。俺と家族にならねーか?お前と一緒だと心がすげー穏やかになるのにすげー気にもなって、お前がひで―目に合うのをもう見たくねーと思うし、幸せにしてーってすげー感じるんだよな。それって、お前がこの前呼んでた恋愛小説?の中に出てくる奴らみてーじゃねーかって気が付いたんだよ。愛?っていうのか?魔界じゃあそんなこと言う奴、気がくるってるんじゃねーかとか言われるんだけどな。だからジュリア、俺と家族になろうぜ。俺がジュリアの夫でジュリアが俺の妻だ。どうだ、ジュリア。返事は?…ん?どうした、ジュリア?」 

「ふっ……」 


「なんで泣くんだジュリア、どっか苦しいのか?」 

「胸が…」 

「っ胸?!」 

「いっぱいで…」 

「胸がいっぱい?ジュリア、すまねえが意味が分からねえ。」 

「幸せすぎて涙が出てきたのですよ、セーレ…ふふふっ」 

「しっ幸せすぎて?つまり俺がお前を幸せいっぱいにしたってことか?」 

「ええ、ええ!セーレが私を幸せいっぱいにしたのですよ!ふふふっ!」 

ボンっと耳まで一気に真っ赤にさせてしまったセーレガブルブルと震えてうろたえております。 

「はっはははっ、そうか、そうか…そうなのか…はははははっ!は?」 

ふわりとセーレの胸の中に飛び込んだ私は、とくとくっというセーレの鼓動にしばらく耳を傾けていたのでした。 

 

「なあ、ジュリア、人間は夫婦になるとき何をするんだ?」 

私はそう問いかけてきたセーレに包まれるように膝の上で抱かれております。 

こうするのが当たりまえかのようにセーレに抱き込まれた私も、ずっとここが私の落ち着ける場所だったのだと当たり前のようにセーレに体を預けています。 

 

「そうですね…結婚式を挙げるのが一般的なのでしょうけれども、特に絶対にそうしなければいけないということでもないと思いますが。あと、籍を入れますが…私もセーレもそれはむずかしいのでしょうね。」 

「へえ、そういうものなのか?」 

私の長い髪をセーレの長い指ででくるくると巻き付けながら思案顔をしています。 

「ええ、だからこのままで…私とセーレが妻と夫としてお互いに認識するだけではいけませんか?」 

「まあ、それでもいいけどなあ。ジュリア、寒くねえか?」 

「いいえ、セーレがこうしてくれていますのでとても暖かいです。セーレは寒くないですか?」 

「俺か?俺はこうしてお前が暖かいから心配いらねえよ。」 

そう言ってセーレは私の唇をついばむように口づけを何度も振らせてきました。 
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