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夢の中で誰かが私の頭を撫でております。そおっと、壊れ物を撫でるかのように…。

頭を撫でられるのがこんなに気持ちのいいものだなんて知りませんでした。 

産まれてこの方誰にも頭など撫でてもらったことなどなかったのですから。 

小さなころの私が一人で寂しくて一人膝を抱えて泣いています。

ああ、もう大丈夫、あなたには頭を撫でてくれる優しい人がいるのだから…そう微笑むと小さなジュリアは安心して眠りにつきました。

もう…寂しくないのよ…これからはきっと幸せ…とても楽しい時間が待っているから…そう眠ってしまった小さなジュリアに教えてあげます。



いつものふかふかの枕が今日はとても硬くて暖かくて、全然感触が違うのにこれまで使ったどの枕よりも安心感を覚えます。 

とても硬くて頑丈な上掛けが私を抱き込むように包んでくれているのがとても気持ちよくて、思わず頬を擦り付けてしまいます。 

夢の中なのに心の底から落ち着けて安心できて、もうずっと夢から覚めたくないなと思いながら再び深い眠りに落ちてしまいました。 

 目が醒めた時にはセーレガ私を抱きしめて並んでめむっておりました。びっくりして寝台から降りようとしますがセーレの腕の力が強くて抜け出すことが出来ませんでした。しばらくすると諦めに似た心境になってしまった私は気が付いたら再び眠りに落ちておりました。

「くっくっくっ…ジュリア、くすぐったいじゃねーか。」 

「…せーれ?」 

「ああ、…まだ眠ってろジュリア。」 

「はいセーレ…」 

「お?おお…」

再び大きな胸板に頬ずりしてすぐに寝入ってしまった私が、同じく再び寝入ってしまったセーレに抱きしめられていたことに気が付くのはまだまだ後のことでした。 




「お前が床でピクリともしねーで倒れてるからびっくりするだろーが。慌てて抱き起したら寝てんだからよ。床で寝るなっても起きねーしな。

二人で寝たほうがあったかかっただろ?俺の上掛けをかけたらお前にっこり笑わらってよ、くっそ、反則だ。それですぐにまた眠っちまうんだからよ。」

目が醒めたセーレにそう言われてしまっては何も言い返す言葉も見つかるわけもありませんでした。
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