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「セーレ、海もとても綺麗でしたが、この壮大な山々の頂が雲の合間から漏れ見える雪景色もとても素晴らしいです。同じ雪でも見る場所が違うとこんなに変わるものなのですね。知りませんでした。」 

「そうなのか?魔界では雪なんか降らねーから初めて見るし。そんなもんなのか、へぇ。」 

ひゅんっと一瞬で目の前の景色が変わってセーレの瞬間移動で外に出てきたのだと気が付きました。 

今は風が穏やかで青空が広がっています。 

「なんだお前震えてるじゃねーか。なんか怖えーことでもあんのか?」 

「くっっしゅっ…」 

「なんだどうした…もしかして寒いのか…」 

セーレのつぶやきと共に頭からふわっと何かに包まれました。 

「そうだよな、あの無人島は太陽がギラギラして暑かったからな。俺ら魔界の奴らはあんまり寒いとか暑いとかいう感覚がねーからな。これからは早く俺に言うんだぞ。じゃねーと分かんねーからな。」 

「はい、そうさせて頂き…くしゅっ…」 

「中に戻ろう。」 

ひゅんッと目の前の景色が変わり屋敷の中に戻ってきました。 

居室のような空間でセーレガどうすりゃいいんだ…とつぶやいています。 

「おい、ジュリア。部屋を暖かくするにはどうすりゃいい?俺が思うようなことしたら絶対に全焼しちまうからな。」 

「そうですね。暖炉をつけて薪を置いて、それからふかふかの絨毯を床に敷いて…暖炉の周辺にいすを並べて毛布で包まって…えっ?」 

突然チョンとセーレの指が私の額に触れたとたん、目の前には私の頭の中に描いていた光景が広がっていました。 

「こんな感じでいいのか?」 

「素晴らしいですね、セーレの魔法は…」 

「そうか?それで、こんな時は何を食うんだ?」 

「何を…?私は一度もこのように暖かな場所でくつろいだことがないので、実をいうと今目の前に広がっている光景も、全て昔読んだ物語の受け売りなのです。だから私には寒い日に何を食べるのかは分からなくて…お役に立てなくて申し訳ございません。」 

「あー…いや…違う。違わねえか?…いや、知らねーだけで別に謝るほどのことでもねーだろ?そういやお前があの城にいた時、風呂とかいうのがあったよな。お前が冷水でガタガタ言わせてる間、ほかの奴らは何とも気持ちよさそーに湯に浸かってたがあれは気持ちいいのか?」 

「そうですね、体も温まりますし。」 

「へえ、じゃあやってみるか。」 

ボンっと暖炉の前に猫足のバスタブが現れました。 

「えーとこの中に湯を入れて、それから泡がすげー入ってたよな。…よし。ジュリア良いぞ。」 

セーレが目の前に現れた浴槽を指さしました。
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