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「とても背徳的です。初めて麦酒を頂きました。病みつきになりそうな味ですね。本当にこんな明るいうちから頂いても大丈夫でしょうか?」 

「いいんじゃねえか?文句言う奴なんてここにはいねえだろ?」 

「確かに。」 

「そうそう、忘れてたけどよ、お前の家族。既視感がすごかったぜ。一瞬魔族かと思っちまった。なあ、お前の両親と妹でちょびっと楽しみたいんだけどやっていいか?」 

「楽しみたい…のですか?まあ、よろしいのではないでしょうか?」 

「即断じゃねえかよ。よっしゃそれじゃあお前の父親には、朝から晩まで外出先では急に厚化粧が取れなくなる呪いをかけてやる。本人だけ気が付かねえ奴な。

母親の方には人に会うたびに鼻毛が出てくる呪いだな。相手の身分が高くなるにつれて毛が長くて濃くなるようにしよう。これも本人は気が付かないようにして、それからあの妹。あいつは、足が常に臭くなる魔法をかけてやろう。匂いは魚が腐った匂いにしよう。広範囲に匂いが一瞬でこびりつく位強烈な奴な。ああ、これも本人が気が付かないようにして…と。…よし。かけてやったぜ。ざっまーみろってんだ。」 

「ざまーみろ…ですか。」 

「ああ、ざまーみろだ。ひでー奴らだったな。でもよ、俺も含めてだけどよ、ひで―奴ってまともな人間よりも多いんじゃねーんじゃねーかって思うときがあるんだよな。で、そんな奴らに振り回されてる奴らも一定数いるってわけだ。つまり何がいいたいかってーと、苦しんでるのは世界中でお前だけじゃねーってこった。お前は一人じゃねーんだよ。あー柄でもねーこと言っちまったからのど乾いちまった。」 

「一人じゃない…。そうですね。セーレ。ありがとうございます。父の顔に厚化粧で、母は鼻毛、妹は足が臭くなる魔法ですか…ふふふっ。最高ですね。でも.…お兄様は…それとジョルジョたちには何もしないで頂けますか?お願いいたします…」「あたりめーだろ。おっと、ジョッキが空になっちまった。おっジュリアのももう空になってるじゃねーか。」 

ゆっくりとビールを飲みながら、溢れてきそうなくらいに空に敷き詰められた星々で彩ろられた綺麗な夜景を眺めているまました。いつの間にかうつらうつらしてきた私をセーレが魔法で私室の寝台の上に瞬間移動で寝かせてくれたようです。 

目が醒めた時に窓から見える景色が海ではなく山頂から見る雪景色と雄大な空なのを見て、昨日の突然な引っ越しは夢ではなかったのだと改めて実感したのでした。 
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