出来損ないの王妃と成り損ないの悪魔

梅雨の人

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突然屋敷の周辺が光り、晴れ渡っていた空が今では太陽の光が届かなくなるくらいの雲で覆われました。 

ドーンドーンっと、海に向けて雷が幾重にも落ち、この無人島を囲む海原のいたるところで雷鳴が轟いています。 

 

不思議と風も雨も屋敷にまで届くことはないのですが、セーレ様が大きな羽を広げて女性と向かい合っているのをカーテンの隙間から見つけました。 

女性は黒い革のきわどいぴっちりとした服と、同じく膝まであるブーツを身に纏っています。私などでは恥ずかしくて絶対に着ることがないような下半身と胸部をわずかに隠すだけのもので、同じ女性ですのに直視してみるとあまりにも艶っぽくて視線をそらしておりました。

ーーー

「セーレ様ったらこんなところに結界張っちゃって…私をもちろん中に入れてくれますわよね?…やっぱりあんなところに人間の女が…セーレ様、なんであんな人間の女がセーレ様の屋敷にいるのです?暇つぶしに痛めつけるのだったら私も一緒に「ジュリア、飯食ってろっつっただろ?」」 

私に気が付いたのかセーレ様が窓の外から声をかけてきます。 
外からなのに声がよく聞こえてきます。

「…人間の女ごときにセーレ様がそんなことを…セーレ様、セーレ様が愛してしてるのが誰か思い出して。ああ、セーレ様。よくわかりました。つまりそこにいる人間の女を不幸にしてお楽しみになりたいのよね?恐怖を存分に味合わせてなぶり殺します?半殺しにしてあえて生かしときます?ああ、それとも私たちの交わる様子を見せつけてやりましょうか?」 

「殺しもしねえし痛めつけもしねえ。ちなみにお前と交わることは死んでもしねえし、お前とそんな仲になりてえとか死んでも思えねえ。」 

「そう…ようくわかりましたわ。」 

「ジュリア、早く飯食えよ。冷めちまうだろ?すぐに戻るからな。」
 

ドォン!!!!!ドォン!!!!!! 

激しい地響きの音が外で何度も聞こえてきます。 

この屋敷以外の島の周りの海原に、稲妻が何度も落ちると同時に地響きと不思議な色閃光が屋敷を取り囲みます。 

視線で追うことなど到底できないほど高速で移動する力強い何かが空中で何度も何度も衝突し、何度も女性の声が聞こえてきます。 

「セーレ様、やめて!やめてっそれ以上したら死んでしまうっ。…うぅっ」 

「なぶり殺されたかったんだろ?俺がそうしてやってるのにもうやめてほしいのか?」 

「やめて…やめて下さいセーレ様っぐぅっ…」 

 

「なぜだ?恐怖を味合わせるんじゃなかったのか?なら俺がそうしてやるよ。」 

激しい雨と風、そしてセーレ達の衝突の激しさからか外は真っ黒に染め上げられセーレと女性の声がしばらく聞こえておりましたが急にこわいくらいに静かになりました。 
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