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セーレと無人島の屋敷に帰って来てから半年が過ぎました。 

毒の作用でしびれて動かなくなっていた左足も、セーレが手に入れてくれた薬のおかげで今では無事に何の支障もなく歩くことが出来ています。 

「おう、ジュリア、狩りにいこーぜ。」 

「狩りですか?する必要あります?」 

「まあ、ねえわな。まだまだ王宮からくすねた食材もあるし、俺は魔法で食い物くらいだせるからなー。」 

「ではなぜ?」 

「暇つぶしだよ、行くぞ。狩って食うのもうまそうだろ?」 

セーレに片手で持ち上げられた瞬間空にぶわっと体が浮き上がりました。 

「はー人間界の空気ってのは本当に澄んでんのな!」 

「セーレ、空でどうやって狩りなんてするんです?!」

ギャッツ!! 

「お、でっけー鳥獲得っと。上出来上出来ー。よっしゃ次は海中に潜るか!」 

「かっ海中ですかっ…きゃああっ!!」 

ザプンッ! 

「ごぼぼぼぼっああ、ああ?息がしづれーな。よっしゃ、これでどうだジュリア。」 

海中に勢いよく飛び込んだ衝撃で海水を思いっきり飲み込んでしまったようです。 

「ごほごほごほっ!!はっ…息が…できますね。こんな魔法も使えるのですね。」 

まるで顔の周りに膜が出来たかのように息をしても海水さえ入ってきません。 

「おいジュリア、よく見てみろよ。」 

ゆっくりと周囲を見渡すと目の前で海水が太陽の光できらきら反射しておりました。 

魚の群れが少し先で円を描くようにしていたり、色とりどりの魚たちが忙しそうに行きかっております。

「これはすごく綺麗ですね、セーレ…圧巻とはこういうことを言うのでしょうか。」 

「ジュリアつかまれ!」

びゅんっびゅんっ!!

「なんだこいつらすっげー頭いいじゃねえかよ!でっけー魚だな!」

「いるかっ!!です!!きゃああああっ!!」

大きなジャンプを繰り返すイルカにつかまってセーレと私は大空に投げ出されました。

「なっ…何が…はっはっはっ…」

「ぶははははっ!ジュリア!お前すっげーキョトンとしてるぞ!今何が起こったか分かってねえなこりゃ。お前でもこんな顔するんだなー。へぇ、悪くねえな……っジュリア、屋敷に戻るぞ。なんでわかったんだあいつ…」 

ヒュンッと瞬間移動で屋敷に戻ってきたと同時に洗浄魔法を私にかけ、指を鳴らして先ほど獲った鳥の丸焼きと城から持って帰った果物を瞬時にテーブルの上に並べてくれました。 

「...良いか、絶対に屋敷から出るな。飯食って待ってろ。」 

「分かりましたセーレ。」 

「絶対だぞ、何があっても絶対に屋敷から出るなよ。」

何度かそう言って瞬間移動で消えたセーレが真剣な顔をしていたのが引っかかります。

ただ私がお世話になっているだけの分際で、何があったのかなんて、セーレに聞くのが憚れたのでした。
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