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エラルド
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再びジュリアが連れ去られてからどれくらいたっただろう。
全ての執務や政が滞り、今更だが今回の件でジュリアのありがたみに気が付いた者たちが増えて行った。
皮肉なものに、今となってジュリアが再び王宮に戻って来るよう皆が祈るようになった。
しかし願いむなしくジュリアが帰ってくることはなかった。
アデルモ殿が一人残らず復讐すると残していった言葉で多くの侍女、護衛騎士、料理人、貴族、つまりほとんどの王宮に出入りしている者たちがアデルモ殿から報復をされるのではと恐れているのが伝わってくる。
あの日、ジュリアが消えてから城の食糧庫が空になっていた。何らかの不思議な力を使ってあの男が根こそぎ持って行ったのだろうと思った。しかしジュリアのために使われるのであれば文句はない。
それから理由は分からないが多くの城仕えの者が食事を前に怯え窶れていき、あからさまに寝不足になって目に隈をこしらえていった。
宰相の部屋からは絶え間なく絶叫する声が漏れ聞こえていると報告があったが、絶対に扉を開けようとしない宰相がかたくなに大丈夫だと言っているのでどうすることも出来ない。
そういえばしばらく宰相の顔を見ていない気がする。
加えて、急遽行われているロレッタの妃教育は一向に進まず、本当にあの腹黒いが頭の切れる宰相の娘なのかと疑うしかなかった。
ロレッタが口を開くたびになんとも耐えられない匂いが襲ってくるようになったがなぜか本人は気が付いていない。ロレッタが近づくだけで皆が一様に蜘蛛の子を散らすように逃げて行くようになった。
ジュリアがいなくなってからロレッタはあからさまに態度を豹変させた。脳が足りないのも女の武器だと言わんばかりに吹っ切れて、茶会に夜会にと明け暮れている。
これでもかというほどドレスに装飾品や絵画を買いあさり、大口を開けて笑い、怒りに任せて使用人らを罵るような品のない女に変貌した。
以前は慎ましやかで、甘え上手で私に静かに寄り添うような娘だったというのにすごい変わりようだ。
これならどこかの金持ちの平民か、あまりしきたりや格式ばったことを重要視しない下位貴族の嫁だったらもしかしたらどうになったのではないかというレベルだ。
そんな女が私の選んだ側妃で、もしかしたら近い将来、国王の私と並んで王妃と成る可能性が万が一にもあることを考えるだけで胃がキリキリしてこみ上げてくるものを感じるようになった。
ジュリアと死ぬ物狂いで長い時間をかけてやっとの思いで築き上げた大切ななにかが、ガラガラと崩れ落ちて行くのを感じ絶望感に苛まれる。私はいつからか日に日にすべてから逃げるように執務に没頭するようになっていた。
全ての執務や政が滞り、今更だが今回の件でジュリアのありがたみに気が付いた者たちが増えて行った。
皮肉なものに、今となってジュリアが再び王宮に戻って来るよう皆が祈るようになった。
しかし願いむなしくジュリアが帰ってくることはなかった。
アデルモ殿が一人残らず復讐すると残していった言葉で多くの侍女、護衛騎士、料理人、貴族、つまりほとんどの王宮に出入りしている者たちがアデルモ殿から報復をされるのではと恐れているのが伝わってくる。
あの日、ジュリアが消えてから城の食糧庫が空になっていた。何らかの不思議な力を使ってあの男が根こそぎ持って行ったのだろうと思った。しかしジュリアのために使われるのであれば文句はない。
それから理由は分からないが多くの城仕えの者が食事を前に怯え窶れていき、あからさまに寝不足になって目に隈をこしらえていった。
宰相の部屋からは絶え間なく絶叫する声が漏れ聞こえていると報告があったが、絶対に扉を開けようとしない宰相がかたくなに大丈夫だと言っているのでどうすることも出来ない。
そういえばしばらく宰相の顔を見ていない気がする。
加えて、急遽行われているロレッタの妃教育は一向に進まず、本当にあの腹黒いが頭の切れる宰相の娘なのかと疑うしかなかった。
ロレッタが口を開くたびになんとも耐えられない匂いが襲ってくるようになったがなぜか本人は気が付いていない。ロレッタが近づくだけで皆が一様に蜘蛛の子を散らすように逃げて行くようになった。
ジュリアがいなくなってからロレッタはあからさまに態度を豹変させた。脳が足りないのも女の武器だと言わんばかりに吹っ切れて、茶会に夜会にと明け暮れている。
これでもかというほどドレスに装飾品や絵画を買いあさり、大口を開けて笑い、怒りに任せて使用人らを罵るような品のない女に変貌した。
以前は慎ましやかで、甘え上手で私に静かに寄り添うような娘だったというのにすごい変わりようだ。
これならどこかの金持ちの平民か、あまりしきたりや格式ばったことを重要視しない下位貴族の嫁だったらもしかしたらどうになったのではないかというレベルだ。
そんな女が私の選んだ側妃で、もしかしたら近い将来、国王の私と並んで王妃と成る可能性が万が一にもあることを考えるだけで胃がキリキリしてこみ上げてくるものを感じるようになった。
ジュリアと死ぬ物狂いで長い時間をかけてやっとの思いで築き上げた大切ななにかが、ガラガラと崩れ落ちて行くのを感じ絶望感に苛まれる。私はいつからか日に日にすべてから逃げるように執務に没頭するようになっていた。
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