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エラルド

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ジュリアと心を通わせていたはずなのに、いや通わせていたからこそ、忙しすぎる私とジュリアの都合をなかなか合わせることが出来ず寂しかった。そして王となりやっと少し落ち着いてきたことで慢心していたのだろう。

その心の隙間をまんまと宰相とロレッタに狙われ、私は容易く飛びついてしまったというわけだ。 

ジュリアが連れ去られたあの日、今更かと飽きられると分かっていても私は深く絶望した。 

ジュリアがいなくなってしまった―――そう思うだけで足元がおぼつかなくなり呼吸が苦しくなった。 

ロレッタが私に寄り添っているも不快に感じ、すぐに踵を返して自室に逃げ込みその後は無我夢中で執務に没頭した。 

取り返しのつかない判断をしてしまった――― 

過ぎてしまったことをどうしようもないと分かっているのに。 

徹夜で執務を続けていた翌日、夕暮れ前の王宮の屋上にジュリアが戻ってきた。 
 


 

『---------------- なぜ助けを求めないんだ。』 

ジュリアを再び攫って行ったあの男がジュリアに問うていた言葉が頭にこだまする。 

ジュリアがロレッタに嵌められて男に襲われていたというのに、ロレッタの言うことを真に受けてジュリアが男遊びをしていると馬鹿な誤解した私は事実確認もせずにジュリアを衛兵に捕らえさせて王族牢に入れようとしてしまった。 

あの男が言っていたことと、ロレッタの表情で私はすべてを察してしまった。 


「この男たちを捕らえよ」 

ジュリアを襲っていた男たちを捕らえさせるとロレッタは手のひらを返したように、その男らを糾弾していた。 

王妃を襲うなど死刑に値するとかわめいていたが、主犯はロレッタで間違いないだろうとその場にいた誰もが感じたのではないか。 

しかし男たちは牢に入れられ一刻も経たずに皆殺しにされていた。そのため、残念だが何の証拠も見つけることはできなかった。 

ジュリアが毒を盛られたときも結局犯人に見当はついていたが証拠を見つけられなかった。 



「陛下、今度こそ王妃陛下もいなくなってしまったことですので、私は今後、登城を控えさせていただきます。」 

ジュリアの兄、アデルモが今後登城をしないと言った先から宰相が待ったをかけた。 

「リベラート小公爵、それは困まる。王妃陛下が再び攫われた今、ほかに王妃の執務をこなせるものが「本来いるはずの側近たちはどこに隠れているのですか?それに、そこの側妃様にして頂けばよいではないですか。側妃様にとって王妃陛下をお支えすることも大切な役目では?側妃となってしばらくたちますが今まで教育はもちろん行っていたのでしょう?こう言ってはなんだが、宰相の、しかも侯爵家の娘だ。いい機会ではないですか。これから教育をして王妃になられたら。お望みだったのでしょう?」 

「そ…そんなっ!王妃陛下は幼少の頃から教育を受けていたとお伺いいたしました。それなのに同じことをいきなりするように言われても「同じこととは言っていない、教育を受けつつ執務を始めるべきだと申し上げているのですよ。」」 

「そんなことをしていたらお茶会やお買い物の時間が…」 

私はロレッタの言葉に耳を疑ってしまった。こんな女のために私はジュリアを手放してしまったのかと思ったら感情がぐちゃぐちゃになりそうだった。
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