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「エラルド!何を言っているの?!王妃様はこんな淫乱…淫らなことをこんなたくさんの男たちとしているっていうのに!それに…王妃様のしていることはあなたへの裏切りよ?これで子供をもうけてしまえば…完璧に王家への謀反になるわ…あまり言いたくないけれど、国王として王妃様に厳しい処罰を下すべきだわ…」 

「ジュリア…なぜなんだ…なぜっ……衛兵、王妃を王族牢へ連れて行け…ただし丁重に扱うように…」 

 

「ジュリアを放せ!!」 

アデルモお兄様が息を切らして駆けてきました。 

 

「ジュリア!!一体どうしてこんなことに…陛下!妹に何をする!いったいジュリアが何をしたというんですか!!」 

「ジュリアは…そこの男たちを脅迫していかがわしいことを強要していたんだ…」 

「なんだと…?陛下はそんなことをジュリアが本当にするとお思いか??!!」 

簡単にこの状況でロレッタのことを信じるエラルドとその隣でほくそ笑むロレッタの目の前で、私は容赦なく衛兵に捕らえられました。お兄様だけが私を擁護してくれております。 

衣服も髪の毛も乱れておりますが、もう誰もそんな私を気にするものなどありません。この場で味方してくれるのはお兄様だけです。

もう自ら立ち上がる気力も残されておりませ。加えて毒を盛られた後に思うように動かなくなった左足に慣れていないため、うまく立ち上がることが出来ません。

そんな私を引きずるようにして衛兵たちがエラルドの前を引きずって進んでいきます。 




「もういい。」 

ふと頭上からセーレの声が聞こえてきました。ふわりと体の周囲に膜が出来たかのように感じます。私を連行していた衛兵達も気が付けば吹き飛ばされております。 

「セーレ、でも私が苦しむ姿をもっと…」 

「もういい。」 

「でも…」 

「もういいって言ってるだろ?!…なぜ助けを求めないんだ。魔獣だろうが魔族だろうがどんな奴でも結局自分らがあぶねー状況に陥ると、無様にも助けを乞うてたぞ。人間がおかしいのかそれともお前がおかしいのか混乱するじゃねえか。

なにそこの不細工でサイテーな側妃とかいう奴のやられるままにしてやがるんだ。わけわからねー男たちに襲われてるのにお前が男を誘ってるとか馬鹿みてーなことぬかしやがって、お前ら頭おかしいんじゃねえか? 

どいつもこいつも欲にまみれて、欲の皮をかぶった怪物じゃねえか。欲のかたまりじゃねえか。 

美味いものが食いてえ 

しゃれた服を着てえ 

女ならすこしでもきれいに見えるようにしてえ 

金持ちになりてえ 

でかい屋敷に住みてえ 

贅沢な暮らししてえ 

見栄えが良い奴をとっかえひっかえ侍らせてえ 

周りに羨望されてえ 

死にたくねえ 

楽してえ 

他人の不幸が楽しくて仕方ねえ 

自分だけが得してえっっ!!! 

はぁっはぁっ…他にはなんだ…」 

「セーレ…」 

「ジュリア、もういい。もういいんだよ。ほら、俺の手を取れよ。ほらはやく。」 

大きな手が私の方に伸びてきました。

「それでセーレは嬉しいですか?幸せになれますか?」

私の問いかけにセーレは大きく笑った後に私をじっと見つめてきました。
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