51 / 100
50
しおりを挟む
「エラルド!何を言っているの?!王妃様はこんな淫乱…淫らなことをこんなたくさんの男たちとしているっていうのに!それに…王妃様のしていることはあなたへの裏切りよ?これで子供をもうけてしまえば…完璧に王家への謀反になるわ…あまり言いたくないけれど、国王として王妃様に厳しい処罰を下すべきだわ…」
「ジュリア…なぜなんだ…なぜっ……衛兵、王妃を王族牢へ連れて行け…ただし丁重に扱うように…」
「ジュリアを放せ!!」
アデルモお兄様が息を切らして駆けてきました。
「ジュリア!!一体どうしてこんなことに…陛下!妹に何をする!いったいジュリアが何をしたというんですか!!」
「ジュリアは…そこの男たちを脅迫していかがわしいことを強要していたんだ…」
「なんだと…?陛下はそんなことをジュリアが本当にするとお思いか??!!」
簡単にこの状況でロレッタのことを信じるエラルドとその隣でほくそ笑むロレッタの目の前で、私は容赦なく衛兵に捕らえられました。お兄様だけが私を擁護してくれております。
衣服も髪の毛も乱れておりますが、もう誰もそんな私を気にするものなどありません。この場で味方してくれるのはお兄様だけです。
もう自ら立ち上がる気力も残されておりませ。加えて毒を盛られた後に思うように動かなくなった左足に慣れていないため、うまく立ち上がることが出来ません。
そんな私を引きずるようにして衛兵たちがエラルドの前を引きずって進んでいきます。
「もういい。」
ふと頭上からセーレの声が聞こえてきました。ふわりと体の周囲に膜が出来たかのように感じます。私を連行していた衛兵達も気が付けば吹き飛ばされております。
「セーレ、でも私が苦しむ姿をもっと…」
「もういい。」
「でも…」
「もういいって言ってるだろ?!…なぜ助けを求めないんだ。魔獣だろうが魔族だろうがどんな奴でも結局自分らがあぶねー状況に陥ると、無様にも助けを乞うてたぞ。人間がおかしいのかそれともお前がおかしいのか混乱するじゃねえか。
なにそこの不細工でサイテーな側妃とかいう奴のやられるままにしてやがるんだ。わけわからねー男たちに襲われてるのにお前が男を誘ってるとか馬鹿みてーなことぬかしやがって、お前ら頭おかしいんじゃねえか?
どいつもこいつも欲にまみれて、欲の皮をかぶった怪物じゃねえか。欲のかたまりじゃねえか。
美味いものが食いてえ
しゃれた服を着てえ
女ならすこしでもきれいに見えるようにしてえ
金持ちになりてえ
でかい屋敷に住みてえ
贅沢な暮らししてえ
見栄えが良い奴をとっかえひっかえ侍らせてえ
周りに羨望されてえ
死にたくねえ
楽してえ
他人の不幸が楽しくて仕方ねえ
自分だけが得してえっっ!!!
はぁっはぁっ…他にはなんだ…」
「セーレ…」
「ジュリア、もういい。もういいんだよ。ほら、俺の手を取れよ。ほらはやく。」
大きな手が私の方に伸びてきました。
「それでセーレは嬉しいですか?幸せになれますか?」
私の問いかけにセーレは大きく笑った後に私をじっと見つめてきました。
「ジュリア…なぜなんだ…なぜっ……衛兵、王妃を王族牢へ連れて行け…ただし丁重に扱うように…」
「ジュリアを放せ!!」
アデルモお兄様が息を切らして駆けてきました。
「ジュリア!!一体どうしてこんなことに…陛下!妹に何をする!いったいジュリアが何をしたというんですか!!」
「ジュリアは…そこの男たちを脅迫していかがわしいことを強要していたんだ…」
「なんだと…?陛下はそんなことをジュリアが本当にするとお思いか??!!」
簡単にこの状況でロレッタのことを信じるエラルドとその隣でほくそ笑むロレッタの目の前で、私は容赦なく衛兵に捕らえられました。お兄様だけが私を擁護してくれております。
衣服も髪の毛も乱れておりますが、もう誰もそんな私を気にするものなどありません。この場で味方してくれるのはお兄様だけです。
もう自ら立ち上がる気力も残されておりませ。加えて毒を盛られた後に思うように動かなくなった左足に慣れていないため、うまく立ち上がることが出来ません。
そんな私を引きずるようにして衛兵たちがエラルドの前を引きずって進んでいきます。
「もういい。」
ふと頭上からセーレの声が聞こえてきました。ふわりと体の周囲に膜が出来たかのように感じます。私を連行していた衛兵達も気が付けば吹き飛ばされております。
「セーレ、でも私が苦しむ姿をもっと…」
「もういい。」
「でも…」
「もういいって言ってるだろ?!…なぜ助けを求めないんだ。魔獣だろうが魔族だろうがどんな奴でも結局自分らがあぶねー状況に陥ると、無様にも助けを乞うてたぞ。人間がおかしいのかそれともお前がおかしいのか混乱するじゃねえか。
なにそこの不細工でサイテーな側妃とかいう奴のやられるままにしてやがるんだ。わけわからねー男たちに襲われてるのにお前が男を誘ってるとか馬鹿みてーなことぬかしやがって、お前ら頭おかしいんじゃねえか?
どいつもこいつも欲にまみれて、欲の皮をかぶった怪物じゃねえか。欲のかたまりじゃねえか。
美味いものが食いてえ
しゃれた服を着てえ
女ならすこしでもきれいに見えるようにしてえ
金持ちになりてえ
でかい屋敷に住みてえ
贅沢な暮らししてえ
見栄えが良い奴をとっかえひっかえ侍らせてえ
周りに羨望されてえ
死にたくねえ
楽してえ
他人の不幸が楽しくて仕方ねえ
自分だけが得してえっっ!!!
はぁっはぁっ…他にはなんだ…」
「セーレ…」
「ジュリア、もういい。もういいんだよ。ほら、俺の手を取れよ。ほらはやく。」
大きな手が私の方に伸びてきました。
「それでセーレは嬉しいですか?幸せになれますか?」
私の問いかけにセーレは大きく笑った後に私をじっと見つめてきました。
183
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
くたばれ番
あいうえお
恋愛
17歳の少女「あかり」は突然異世界に召喚された上に、竜帝陛下の番認定されてしまう。
「元の世界に返して……!」あかりの悲痛な叫びは周りには届かない。
これはあかりが元の世界に帰ろうと精一杯頑張るお話。
────────────────────────
主人公は精神的に少し幼いところがございますが成長を楽しんでいただきたいです
不定期更新
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
友人は自力で選びますので
mios
恋愛
子爵令嬢ミシェルは、婚約者のダリルから、友人がいないと嘆く男爵令嬢の友人になってほしい、とお願いされる。
男爵令嬢は、ミシェルの知る限り、良い噂を聞かない相手であったため、丁重にお断りする。
ダリルはミシェルを冷たいと詰るが。
【完結】旦那に愛人がいると知ってから
よどら文鳥
恋愛
私(ジュリアーナ)は旦那のことをヒーローだと思っている。だからこそどんなに性格が変わってしまっても、いつの日か優しかった旦那に戻ることを願って今もなお愛している。
だが、私の気持ちなどお構いなく、旦那からの容赦ない暴言は絶えない。当然だが、私のことを愛してはくれていないのだろう。
それでも好きでいられる思い出があったから耐えてきた。
だが、偶然にも旦那が他の女と腕を組んでいる姿を目撃してしまった。
「……あの女、誰……!?」
この事件がきっかけで、私の大事にしていた思い出までもが崩れていく。
だが、今までの苦しい日々から解放される試練でもあった。
※前半が暗すぎるので、明るくなってくるところまで一気に更新しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる