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夜会を終えて部屋に戻る際もエラルドがぴったりと私に張り付くように寄り添っております。 

「ジュリア、疲れただろう?今晩はもう仕事しないで早く休もう。」 


「エラルド待って!!」 

「ロレッタ、私のことを皆の前では陛下と呼ぶように。」 

「そんな…今までそんなこと一言も言わなかったのにっ…王妃陛下…エラルドに何をしたのですか??!!エラルドを返してくださいっ!!」 

大きな瞳から涙がぽろぽろとながれてと流れて庇護欲をそそっております。エラルドもロレッタ様を慰めるために、ここで私とお別れするだろうと静かに成り行きを見守っておりました。 

 

「陛下、だ、ロレッタ。なぜそのような簡単なことも出来ない?」 

「ひどいっ!やっぱり王妃陛下がっ…」 

「ジュリアは関係ない。むしろジュリアが無理してでも仕事をしているからこそ君は毎日好きなことばかりしていられるんだ。感謝しても非難するいわれはないはずだが?ジュリア…すまない…側妃を勘違いさせてしまったようだ。」 

「陛下、私はここまでで結構ですので」 

「いや、君を部屋まで送り届けるよ。さあ行こう。」 

呆然とエラルドを見つめるロレッタ様を置いて、エラルドは私を部屋まで連れて行くのでした。 

 

ーーーーーーーー 

 

「王妃陛下おはようございます…またこちらで執務をなさっておられたのですか?」 

「ええ、眠れなくて…もう朝になってしまったのね…」 

「お休みになられてないのでは?」 

「仕方ないわよね。こうでもしないと政が溜まって困るのは国民なのだもの。申し訳ないのだけれど水を一杯頂けるかしら。」

「 もちろんでございますとも王妃陛下。さあどうぞ。」

「ありがとう。…ぐっ…」

「王妃陛下!!」 

「ぐっ……」 

体中の力が抜けて行きます。 

口から流れ出る血がやりかけの書類を汚していきます。出来上がった書類はすべて付け足したサイドテーブルの上に…まだ手付かずの書類は反対側のサイドテーブルの上に…良かった…そう思った時には目の前がぷつんと真っ黒に塗り替えられておりました。 

 

◇◇ 

 毒に倒れて十日目で目が醒めた私は左足の感覚がなくなっておりました。 

用意されていた飲み水から毒がみつかり、私に使えてくれていたジョルジョの娘ローラとエミリアが連行されたと聞いて、すぐに彼女らを解放するように働きかけねばなりませんでした。 

「脇の甘いあなたたちがいるとまたすぐに私の命が狙われてしまうのよ。早く元の場所にお戻りなさい。」 

私がわざと冷たく彼女らを突き放すことで、今度こそお守りいたしますのでずっと使えさせてくださいと乞う二人をこの王宮から逃がすことにしました。 

おそらく私の近くに使えているとまた今回のような事が起きて、次こそは巻き込まれただけの彼女たちを庇うのが難しくなるでしょう。 

彼女たちは私のような者のために不幸になるのではなく、ジョルジョの近くで優しい家族と幸せに過ごせばいいのです。 
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