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すみません、予約日時を間違えており公開されていませんでした。
45話です。少し前の話にさかのぼっています。よろしければご覧ください。
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まだ静養するようにとお兄様にも王宮医に言われておりますがそうもいきませんので、ローラとエミリアに頼んで、私室に執務室の書類を移動してもらいました。
「ジュリア、君がこうするだろうと思っていたよ。」
深夜ローラとエミリアを休ませた後も一人黙々と寝台の上で執務を行っているとエラルドが現れました。
何も言わずに寝台に乗り上げてきたエラルドが私の隣に胡坐をかいて座り込んでおります。
「手伝うよ」
「陛下、お心だけで結構ですので。どうぞロレッタ様の元へお戻りください。」
かすれ声で何とか声を絞り出してそれだけ言うと再びすまない、とエラルドが謝ってきます。
「もう何も言わなくていいから。」
そう告げたエラルドは無言で書類を次々にさばいていきます。
「…こうして寝台に二人並ぶのも、君の部屋で時間を過ごすのも、…並んで書類を裁くのも……」
本当に久しぶりだ、といった時にはエラルドの声が震えておりましたが、私は書類から目を離すことはありませんでした。
ずっと横になって眠っていたせいか眠気も訪れない私は、気が付けば朝になってもまだ書類を裁いており、それは隣にいるエラルドも同じことでした。
朝の支度をしにやってきたローラとエミリアはエラルドがいることに驚いておりましたが、すぐに表情をたてなおし、仕事に取り掛かってくれました。
さすがはジョルジョの娘たちです。
「朝食をここで一緒に食べようジュリア。君たち、ここに私たちの朝食を運んでくれ。」
エラルドの一声でどんどん豪華な朝食が運ばれてきます。
食事を持ってきた侍女らはエラルドが私の部屋にいるのを目にして大層驚いているようで、エラルドはそんな彼らを見て私に再びすまないと謝っておりました。
「そうか、ジュリアは病み上がりだもんな。果物の方が食べやすいか…」
小さく切って私の口に果物を持ってくるエラルドにされるがままになっていると廊下が騒がしくなりました。
「お待ちくださいロレッタ様!」
「エラルド!!」
「ロレッタ何をしている。ここは王妃の部屋だ。お前が勝手に入ってきていい場所ではない。」
「でもっ…なんでっ…エラルドが王妃様と一緒に!!!」
「衛兵、側妃を連れて行くんだ。部屋に閉じ込めておけ。」
「しかし陛下、ロレッタ様がお可哀そうでは…?」
「なんだと?」
「いえ、失礼いたしました、さあ、ロレッタ様こちらへ…」
嵐のようにやってきて嵐のように去っていったロレッタ様がいなくなってからエラルドが大きなため息を吐いておりますが私は何といっていいのかわからないのです。
「すまなかったジュリア」
いつも誤ってばかりですね…という気さくな会話を思わず飲み込みました。
思いあがってはいけない、エラルドの気持ちはロレッタ様にあるのですから。
45話です。少し前の話にさかのぼっています。よろしければご覧ください。
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まだ静養するようにとお兄様にも王宮医に言われておりますがそうもいきませんので、ローラとエミリアに頼んで、私室に執務室の書類を移動してもらいました。
「ジュリア、君がこうするだろうと思っていたよ。」
深夜ローラとエミリアを休ませた後も一人黙々と寝台の上で執務を行っているとエラルドが現れました。
何も言わずに寝台に乗り上げてきたエラルドが私の隣に胡坐をかいて座り込んでおります。
「手伝うよ」
「陛下、お心だけで結構ですので。どうぞロレッタ様の元へお戻りください。」
かすれ声で何とか声を絞り出してそれだけ言うと再びすまない、とエラルドが謝ってきます。
「もう何も言わなくていいから。」
そう告げたエラルドは無言で書類を次々にさばいていきます。
「…こうして寝台に二人並ぶのも、君の部屋で時間を過ごすのも、…並んで書類を裁くのも……」
本当に久しぶりだ、といった時にはエラルドの声が震えておりましたが、私は書類から目を離すことはありませんでした。
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朝の支度をしにやってきたローラとエミリアはエラルドがいることに驚いておりましたが、すぐに表情をたてなおし、仕事に取り掛かってくれました。
さすがはジョルジョの娘たちです。
「朝食をここで一緒に食べようジュリア。君たち、ここに私たちの朝食を運んでくれ。」
エラルドの一声でどんどん豪華な朝食が運ばれてきます。
食事を持ってきた侍女らはエラルドが私の部屋にいるのを目にして大層驚いているようで、エラルドはそんな彼らを見て私に再びすまないと謝っておりました。
「そうか、ジュリアは病み上がりだもんな。果物の方が食べやすいか…」
小さく切って私の口に果物を持ってくるエラルドにされるがままになっていると廊下が騒がしくなりました。
「お待ちくださいロレッタ様!」
「エラルド!!」
「ロレッタ何をしている。ここは王妃の部屋だ。お前が勝手に入ってきていい場所ではない。」
「でもっ…なんでっ…エラルドが王妃様と一緒に!!!」
「衛兵、側妃を連れて行くんだ。部屋に閉じ込めておけ。」
「しかし陛下、ロレッタ様がお可哀そうでは…?」
「なんだと?」
「いえ、失礼いたしました、さあ、ロレッタ様こちらへ…」
嵐のようにやってきて嵐のように去っていったロレッタ様がいなくなってからエラルドが大きなため息を吐いておりますが私は何といっていいのかわからないのです。
「すまなかったジュリア」
いつも誤ってばかりですね…という気さくな会話を思わず飲み込みました。
思いあがってはいけない、エラルドの気持ちはロレッタ様にあるのですから。
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