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応接室に入ると両親と兄、妹が既にそこに座って待っておりました。執事のジョルジョも後ろに控えております。
扉を閉めて家族に向かい合う形で座ります。
「ジュリア…よく無事で…良かった…」
「お嬢様…」
お兄様とジョルジョが声を合わせるように私の帰還を喜んでくださいました。
「なんで戻ってきたんだこの役立たずめっ!!!国を救うために犠牲になって少しは我が家に有益になるべきだろ?!なのに、犠牲にならず攫われた挙句、魔空間は勝手に消滅してしまうだなんて…なんてお前は役立たずなんだ…」
「そうよ!!なんて出来損ないの娘なの?!出来損ないの娘で出来損ないの王妃だなんて!!あんな側妃に陛下の寵愛まですべて奪われて笑われ者じゃない!!何のとりえもないあんたなんかが娘で恥ずかしいわ!!しかも今度は変な男に攫われて傷物王妃に死に損ない王妃ですって!!??どれだけ我が家の顔に泥を塗れば気が済むのよ!!!」
「お姉さま、何を黙り込んでいるのですか?一国の王妃陛下ともあろう方が。ふふふっやっぱり王妃になってもお姉さまは変わらないのね。先ほどの顔見世でも陛下はお姉さまの色を一つも纏ってなかったわ。側妃様のお色だけだなんて…ふははははっ!!国民に慕われても夫に慕われないだなんて…本当に惨めですね。お・ね・え・さ・ま!」
「なんて陰気な娘なの!!何か言いなさいよ!!」
「申し訳…「ジュリア、お帰り。」」
「何を言ってるんだアデルモ!!」
「そうよアデルモお兄様」
「父上母上、ラウラ。ジュリアの苦労を知ろうともせずよくもそこまで言いたい放題出来ますね。なにが出来損ないだ。そんなわけないだろう。もう充分でしょう。失礼しました、王妃陛下。我々はこれで失礼させて頂きます。」
「何を言っているのアデルモ!まだまだジュリアには言い足りないことが!!」
「今この場を去らなければ私がリベラート公爵家を継がないと言っても?」
「何を言ってるんだアデルモ!…仕方ない、帰るぞ。」
嵐のように去っていった家族を応接室で見送りました。
「これから城に戻って来て新たな側近として私の手伝いをしてくれる予定になっているからまた後でな。無理するなよジュリア。」
去り際にそうおっしゃったお兄様が私の頭をそっと撫でてくださいました。
ジョルジョも去り際に、本当にお戻りになられてよかったと涙ぐんでおりました。
兄やジョルジョはこんな情けない私にどうしていつも優しく接してくれるのでしょうか。
こんなに役立たずの出来損ない王妃の私に…そう考えだすとまた振出しに戻ったように心の中が急速に凪いでしまうのでした。
扉を閉めて家族に向かい合う形で座ります。
「ジュリア…よく無事で…良かった…」
「お嬢様…」
お兄様とジョルジョが声を合わせるように私の帰還を喜んでくださいました。
「なんで戻ってきたんだこの役立たずめっ!!!国を救うために犠牲になって少しは我が家に有益になるべきだろ?!なのに、犠牲にならず攫われた挙句、魔空間は勝手に消滅してしまうだなんて…なんてお前は役立たずなんだ…」
「そうよ!!なんて出来損ないの娘なの?!出来損ないの娘で出来損ないの王妃だなんて!!あんな側妃に陛下の寵愛まですべて奪われて笑われ者じゃない!!何のとりえもないあんたなんかが娘で恥ずかしいわ!!しかも今度は変な男に攫われて傷物王妃に死に損ない王妃ですって!!??どれだけ我が家の顔に泥を塗れば気が済むのよ!!!」
「お姉さま、何を黙り込んでいるのですか?一国の王妃陛下ともあろう方が。ふふふっやっぱり王妃になってもお姉さまは変わらないのね。先ほどの顔見世でも陛下はお姉さまの色を一つも纏ってなかったわ。側妃様のお色だけだなんて…ふははははっ!!国民に慕われても夫に慕われないだなんて…本当に惨めですね。お・ね・え・さ・ま!」
「なんて陰気な娘なの!!何か言いなさいよ!!」
「申し訳…「ジュリア、お帰り。」」
「何を言ってるんだアデルモ!!」
「そうよアデルモお兄様」
「父上母上、ラウラ。ジュリアの苦労を知ろうともせずよくもそこまで言いたい放題出来ますね。なにが出来損ないだ。そんなわけないだろう。もう充分でしょう。失礼しました、王妃陛下。我々はこれで失礼させて頂きます。」
「何を言っているのアデルモ!まだまだジュリアには言い足りないことが!!」
「今この場を去らなければ私がリベラート公爵家を継がないと言っても?」
「何を言ってるんだアデルモ!…仕方ない、帰るぞ。」
嵐のように去っていった家族を応接室で見送りました。
「これから城に戻って来て新たな側近として私の手伝いをしてくれる予定になっているからまた後でな。無理するなよジュリア。」
去り際にそうおっしゃったお兄様が私の頭をそっと撫でてくださいました。
ジョルジョも去り際に、本当にお戻りになられてよかったと涙ぐんでおりました。
兄やジョルジョはこんな情けない私にどうしていつも優しく接してくれるのでしょうか。
こんなに役立たずの出来損ない王妃の私に…そう考えだすとまた振出しに戻ったように心の中が急速に凪いでしまうのでした。
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