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「陛下っ陛下っ!!!大変です!!!」
「なんだ近衛隊長、何をそんなに慌てている?」
「はっそれが…王妃様がっ…王妃様が突如王宮の屋上にお戻りになられました!忽然と姿を現されたもので、城の見張りでそこにいた者たちも騒然とっ…陛下!!!」
ーーー
一瞬で無人島から城に戻って参りました。
「ジュリアっ!!!!」
私の名前を叫びながらエラルドが駆けつけてきたと思ったらすぐに抱きしめられておりました。
ぎゅうぎゅうと抱きしめられてもエラルドが本当に私が戻って来て喜んでいるのか、皆の手前こうしているのか分かりません。
「色々聞きたいこともあるが、とにかく部屋に戻ってゆっくりすると言い。」
そう言ってエラルドは私を部屋までエスコートします。
「また来る」
そう何度も言い残したエラルドが去って行って入れ替わりに侍女が入ってきました。
私の王妃の部屋は先日最後に使ったままにされておりました。ベッドシーツもそのままにされ、部屋に持ち込んでいたやりかけの書類はそのまま机の上に無造作に置かれておりす。
私が何も言わないと、侍女は壁際で無言で控えているだけです。
コンコンッ
「失礼いたします、王妃陛下。」
「どうかしたのかしら?」
許可を与える前に部屋に入ってきた宰相は頭を下げてからまっすぐに私を見やります。
「無事のお戻り心より歓迎いたします。王妃陛下、戻って来て早々申し訳ないのですが執務が滞っております。お疲れとは存じますがもしも余裕がございましたら急ぎ執務室にたまっている書類に目を通して頂けないでしょうか。」
「あら、私がいない間ロレッタ様がしていたのではなくて?」
「いえ、娘は…コホンッ失礼いたしました。
こちらにきてからずっとロレッタ側妃様はエラルド陛下の寵愛を受け止めるのに忙しくしておいででしたのに、特に昨日は王妃陛下があの羽の生えたいかがわしい男に攫われるようにいなくなってから、健気に陛下をお慰めしておりましたので。はははっ
こほんっ。
それと、王妃陛下。あの男に辱めを受けておられるのではと陛下も心を痛めておいでの御様子。
ここに王宮医をよんでおります。このような時に、いえ、入浴でもして証拠を消されても困りますからな。このようなことをお願いして申し訳ございませんが、診断を今からさせて頂きます。」
下卑た笑いをした宰相の背後から老齢の王宮いが入ってきました。
「失礼いたします王妃陛下。王妃陛下、寝台で診させていただきますのでそちらへどうぞ。」
「…私は何もいかがわしいことはされておりません。」
「…寝台へ、王妃陛下。」
眉を少し下げつつも、やがり私の身の潔白を証明する必要があるのでしょう。王宮医師の診断が終わるのを黙ってまちました。
身の潔白がここで明らかになろうとも、攫われて一日とは言え消えてしまった私のことを人々はこれ以上にないほど面白おかしく言うのでしょう。
「なんだ近衛隊長、何をそんなに慌てている?」
「はっそれが…王妃様がっ…王妃様が突如王宮の屋上にお戻りになられました!忽然と姿を現されたもので、城の見張りでそこにいた者たちも騒然とっ…陛下!!!」
ーーー
一瞬で無人島から城に戻って参りました。
「ジュリアっ!!!!」
私の名前を叫びながらエラルドが駆けつけてきたと思ったらすぐに抱きしめられておりました。
ぎゅうぎゅうと抱きしめられてもエラルドが本当に私が戻って来て喜んでいるのか、皆の手前こうしているのか分かりません。
「色々聞きたいこともあるが、とにかく部屋に戻ってゆっくりすると言い。」
そう言ってエラルドは私を部屋までエスコートします。
「また来る」
そう何度も言い残したエラルドが去って行って入れ替わりに侍女が入ってきました。
私の王妃の部屋は先日最後に使ったままにされておりました。ベッドシーツもそのままにされ、部屋に持ち込んでいたやりかけの書類はそのまま机の上に無造作に置かれておりす。
私が何も言わないと、侍女は壁際で無言で控えているだけです。
コンコンッ
「失礼いたします、王妃陛下。」
「どうかしたのかしら?」
許可を与える前に部屋に入ってきた宰相は頭を下げてからまっすぐに私を見やります。
「無事のお戻り心より歓迎いたします。王妃陛下、戻って来て早々申し訳ないのですが執務が滞っております。お疲れとは存じますがもしも余裕がございましたら急ぎ執務室にたまっている書類に目を通して頂けないでしょうか。」
「あら、私がいない間ロレッタ様がしていたのではなくて?」
「いえ、娘は…コホンッ失礼いたしました。
こちらにきてからずっとロレッタ側妃様はエラルド陛下の寵愛を受け止めるのに忙しくしておいででしたのに、特に昨日は王妃陛下があの羽の生えたいかがわしい男に攫われるようにいなくなってから、健気に陛下をお慰めしておりましたので。はははっ
こほんっ。
それと、王妃陛下。あの男に辱めを受けておられるのではと陛下も心を痛めておいでの御様子。
ここに王宮医をよんでおります。このような時に、いえ、入浴でもして証拠を消されても困りますからな。このようなことをお願いして申し訳ございませんが、診断を今からさせて頂きます。」
下卑た笑いをした宰相の背後から老齢の王宮いが入ってきました。
「失礼いたします王妃陛下。王妃陛下、寝台で診させていただきますのでそちらへどうぞ。」
「…私は何もいかがわしいことはされておりません。」
「…寝台へ、王妃陛下。」
眉を少し下げつつも、やがり私の身の潔白を証明する必要があるのでしょう。王宮医師の診断が終わるのを黙ってまちました。
身の潔白がここで明らかになろうとも、攫われて一日とは言え消えてしまった私のことを人々はこれ以上にないほど面白おかしく言うのでしょう。
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