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 「なんだお前、羽より軽いじゃねえか!ちゃんと食ってんのか。しっかしどこにいきゃあいいんだ。わっかんねえなあ。おい、お前、お前はどこか行きたいとこはないのかよ。」 

「わたくしですか?」 

「わたくしだって ?なんだそりゃ。何のんきに上品ぶってんだ。もっと慌てるなり怯えるなりするとこじゃねえのかよ?お前この状況がわかってんのか?もしかしたら俺がこの手を放すかもしれないぜ?こんなふうによ…って、おい、落ちてるんだぞっ!少しは表情変えろよな、あっぶねえじゃねえか!」 

上空から体を放されてそのまま落下していると、急に再びがっしりとつかまれてしまいました。

「申し訳ございません…?」 

「は…?なんなんだお前は…調子狂うじゃねえか。」 

突然魔空間から現れたこの男性は背中から大きな羽をはやしておられます。見た目は私たち人間と何ら変わりございませんのに、わたくしはこの方に連れられて空を飛んでいます。 

「それで、わたくしの行きたかったところですよね?」 

「ああっ?なんだお前聞いてたのかよ。ちっ、調子狂うな…で?どこだよ?」 

「折角だからどこかあの人たちからずっと遠くに離れたところがいいですね。誰もいない静かなところなどあるのでしょうか。以前他国の要人方との会談中に、無人島で美しい島々がこの世界にはたくさんあるのだと伺いました。砂浜がずっと続いていてとても気持ちいいらしいです。」 

「へえ、まあ仕方ねえがそこに行ってみるとするか。行ってみてお前が気に入らなくても知らねーからなぁ?」 

「え?きゃあ!」 

急に速度が上がって、かろうじて開いていた目をもはや開けていることが出来なくなってしまいました。 

何かに引き込まれるようなそんな衝撃を体に感じ、そっと目を開けるとそこには青い海と白い砂浜が広がっておりました。 

「こんなもんか?大体お前の言ってたような場所ってこういうところか?想像してたのと違って逃げ出したくなったんじゃねえか?」 

「ええ、とても素敵…」 

「はははっ!そうだろ、逃げたくなる…え?素敵?」 

「ええ、とても気に入りました。ありがとうございました。それでは私はこれで…」 

「おい!どこに行くんだよ!」 

「私はここに置き去りにされるのではないのですか?」 

「置き去りにされたいのか?お前がそうされたいならそうしてやるが、…別にお前なんか野垂れ死にしたって俺には関係ない…のか…?」 

ぶつぶつと小言をつぶやいておられるようでしたが、突然指を鳴らしたと同時に草や木のつる、鳥の羽で覆われたいびつな屋敷が現れました。 
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