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「ジュリア少しいいだろうか。」
「…どうぞ、陛下。お茶は…」
「いや、いすぐに出て行くからいい。ところで君はあんなにアシュリーヌ皇帝陛下と仲が良かったのか?」
「アシュリーヌ皇帝陛下ですか?仲が良いというよりは、以前から微力ながら輸入販路の拡大と災害復興の援助などのことで皇帝陛下とお会いする機会が度々ございましたので。その際に大変恐縮ですがお声はよくかけて頂いておりました。…それが何か?」
「いや、君があんな風に笑っているのを最後に見たのはいつだったかと思ってな。それにあの髪飾りは…」
「ああ、この髪飾りですね?素敵ですよね。光に当たってきらきらと輝くのですよ。最近すっかりみすぼらしくなっておりましたので、毎日この髪留めをつけさせて頂こうと思いまして。…似合っていなかったでしょうか?」
「いや、そんなことはないが…まて、なぜそのように大量の書類が積みあがっているんだ? 」
「…どうしてでしょう。わたくしにはわかりかねますわ。」
「陛下、宰相がお呼びでございます。」
「何?今ジュリアと話しているというのに…」
「しかし…」
「…わかった。ではまた、ジュリア。」
◇◇
「お兄様、お忙しいでしょうに私のようなもののためにお手をいつも煩わせてしまって本当に申し訳ございません。いくら感謝しても足りません。このこのお礼はいつか必ずさせて下さいませ。」
「ジュリア、いいんだ。お前がずっと私たちの両親からも王族からもいいように使われ続けているのを助けることが出来なかった罪滅ぼしだと思ってくれよ。っ危ないジュリア!」
ガタガタガタッ!!!!ドドドドドッ!!!ドドドドドッ!!!!
「……なんだ突然っ大丈夫かジュリアっ…?」
「ええ、お兄様…一体何が…」
「わからない…ジュリア、少し見て来る。部屋から出るなよ?」
近衛兵に私を任せたお兄様は部屋を出ていかれました。
ものすごい揺れと衝撃で、棚の書物も机の上の書類も花の飾られていない壺も床に散乱しております。
黙々と散らばってしまったものを元に戻していますとエラルドの側近が訪ねて参りました。
「王妃陛下。国王陛下がお呼びでございます。謁見の間に今からわたくしと共に参りましょう。」
「陛下が?ええ。わかりました、行きましょう。」
エラルドがわざわざ謁見の間に私を呼び寄せるのは初めてのことです。
先程の揺れと関係があるのか心配になりますが、とにかく急いで謁見の間に足を進めて行きました。
「…どうぞ、陛下。お茶は…」
「いや、いすぐに出て行くからいい。ところで君はあんなにアシュリーヌ皇帝陛下と仲が良かったのか?」
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「いや、君があんな風に笑っているのを最後に見たのはいつだったかと思ってな。それにあの髪飾りは…」
「ああ、この髪飾りですね?素敵ですよね。光に当たってきらきらと輝くのですよ。最近すっかりみすぼらしくなっておりましたので、毎日この髪留めをつけさせて頂こうと思いまして。…似合っていなかったでしょうか?」
「いや、そんなことはないが…まて、なぜそのように大量の書類が積みあがっているんだ? 」
「…どうしてでしょう。わたくしにはわかりかねますわ。」
「陛下、宰相がお呼びでございます。」
「何?今ジュリアと話しているというのに…」
「しかし…」
「…わかった。ではまた、ジュリア。」
◇◇
「お兄様、お忙しいでしょうに私のようなもののためにお手をいつも煩わせてしまって本当に申し訳ございません。いくら感謝しても足りません。このこのお礼はいつか必ずさせて下さいませ。」
「ジュリア、いいんだ。お前がずっと私たちの両親からも王族からもいいように使われ続けているのを助けることが出来なかった罪滅ぼしだと思ってくれよ。っ危ないジュリア!」
ガタガタガタッ!!!!ドドドドドッ!!!ドドドドドッ!!!!
「……なんだ突然っ大丈夫かジュリアっ…?」
「ええ、お兄様…一体何が…」
「わからない…ジュリア、少し見て来る。部屋から出るなよ?」
近衛兵に私を任せたお兄様は部屋を出ていかれました。
ものすごい揺れと衝撃で、棚の書物も机の上の書類も花の飾られていない壺も床に散乱しております。
黙々と散らばってしまったものを元に戻していますとエラルドの側近が訪ねて参りました。
「王妃陛下。国王陛下がお呼びでございます。謁見の間に今からわたくしと共に参りましょう。」
「陛下が?ええ。わかりました、行きましょう。」
エラルドがわざわざ謁見の間に私を呼び寄せるのは初めてのことです。
先程の揺れと関係があるのか心配になりますが、とにかく急いで謁見の間に足を進めて行きました。
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