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体の軸が全くぶれずに絶秒なタイミングで私を支えて下さるアシュリーヌ皇帝陛下とのダンスはとても踊りやすく、たまに冗談を言いあっては笑いを零しているうちに終盤を迎えていました。

「うまいな。さすがだ。よし、じゃあ私の必殺技を見せてやろう。準備は良いかジュリア王妃?」 

ふわりとアシュリーヌ皇帝陛下がわたくしを持ち上げました。

アシュリーヌ皇帝陛下の頭上で回転するわたくしのドレスの袖が、アシュリーヌ皇帝陛下を祝福するようにひらひらと舞っているのはとても幻想的です。 

着地してそれから今度は後ろに向けてステップを軽快に踏みます。
それから逞しいアシュリーヌ皇帝陛下の腕に体を預けるようにして後ろに優雅に反り返ります。 

再びふわっと抱き上げられて軽快に二人でステップを踏み、アシュリーヌ皇帝陛下にくるくると体を回転させられて最後にピタッとポーズを決めほっとしたところでダンスが終わりました。 

 

わあっ!!! 

私たちを囲むように見ていた人々から、大歓声が巻き上がりました。 

「はははっ久々に楽しいダンスだった。ありがとうジュリア王妃。」 

「こちらこそ、お相手していただきましてありがとうございました、アシュリーヌ皇帝陛下。」




「エラルド、なぜ王妃様があんな大国の皇帝陛下と仲良くしているの…?…ねえ、聞いてるの?エラルド?エラルド?」 

「……」 

 

 

「なんだ踊りまでうまいとは君の欠点を見つけるのが難しいのだが?」 

「お褒め頂けて光栄ですわ。それにしても絶対に踊りを披露されないと有名なアシュリーヌ皇帝陛下がどういう風の吹き回しですの?」 

「これでも私は君をかっているんだ。大胆なくらい豪傑で優秀な女性は私の知っている限り君位だからな。私に対して物怖じしないところもいい。良いか、ジュリア殿。物事はいつもうまくいくわけではない。しかしだからと言って諦めたらお終いだ。だから皆、うまく行くことに賭けながら努力するしかないんだよ。

頑張ったっていつもうまく行くわけでもないが、それでもうまく行く時だってあるだろ?

だけど私は、国のために国民のためにと頑張り絶対にかなうとは言い切れない中それを実現し国民に安堵をもたらした君の実力と幸運に拍手を送るよ。頑張っていたらいつか叶うかもしれないと、そう多くの者たちに希望を与えたことで、豊かさとともに大切なものを与えたのではないだろうか。だから君を応援している者がいるということも覚えておいてくれ。」 

「…了解いたしました。陛下のお言葉がとても胸に染みております。ありがとうございます。」 

舞踏会の翌日、アシュリーヌ皇帝陛下は颯爽と帰国の途について行かれました。 
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