17 / 76
16
しおりを挟む
王宮での舞踏会が開催されました。
最初のエスコートではエラルドは私の手を取ってくれたのですがその後のファーストダンスをロレッタ様と披露しそれからずっとお二人で寄り添われておりました。
わたくしのドレスはエラルドの緑色の瞳に合わせたドレスで、ロレッタ様とエラルドはお互いの髪の色を合わせた揃いの素敵な衣装を身に纏っておられました。
居た堪れないとはまさにこのことで、隣国などの主要なお客様も招いているこの場で同情の言葉を飲み込まれることほどつらいことはございませんでした。
「ザンガ外務大臣、ようこそおいで下さいました。」
「お招きいただき感謝いたします。ジュリア王妃陛下。しかしこれは、あんまりですな。」
「お恥ずかしいところをお見せしてしまいまして申し訳ございません。」
「いえ、私もこの国にしばらく駐在しておりましたので、大体は把握しておりましたが…ジュリア王妃陛下のご尽力があったからこそこの国はようやく落ち着きを取り戻し、むしろ以前よりも繁栄するようになったというのに。このロプノール王国陛下はあなたという唯一無二の屈指の存在に気が付いておられないのだろうか…申し訳ないですが私にはエラルド陛下の気持ちが理解しがたい…」
「ザンガ外務大臣…」
「おい、ザンガ卿よ。私のセリフを先取りしてしまうとは、困ったやつだな。」
「これは、アシュリーヌ皇帝陛下。この度はわざわざ我が国にご足労頂きまして感謝の使用もございません。」
「ジュリア王妃、頭を上げるんだ。たまには私がこっちにきて君の顔を見るのも悪くないと思ったんだ。それにしてもいつもの君らしくないな。」
「それは…」
「そういえば君に渡したいものがあったんだ。後で君の部屋に届けさせよう。いや、今でいいか、あいつは違う女ばかり見てるからな。よし。」
「ジュリア王妃、少し後ろを向いてくれないか?ちょっと失礼するよ。」
「アシュリーヌ皇帝陛下、いったい何を?」
「ほら、いいぞ。うん、よく似合ってる。これは私からの君が頑張ってきたご褒美だ。」
「まあ、よろしいのですか?」
「君がもらってくれなければ困るんだ。これは君のために作ったものだからな。誰か手鏡を。ああ、ありがとう。ほら、見てごらん。」
「まあ…素敵ですわ。七色の宝石が羽ばたく蝶の形をしておりますのね。」
「気に入ってもらえてよかったよ。しかし君と交渉するのは本当にいつも心が躍るよ。斬新なアイディアを持ってきては、私にひるむことなく意見を述べて来るなんて貴重な存在は他にはいない。どこからそんな力が湧いてくるのか興味がわいてたんだがな。ああ、こんなことになるなら早く君を攫っとけばよかったよ。」
最初のエスコートではエラルドは私の手を取ってくれたのですがその後のファーストダンスをロレッタ様と披露しそれからずっとお二人で寄り添われておりました。
わたくしのドレスはエラルドの緑色の瞳に合わせたドレスで、ロレッタ様とエラルドはお互いの髪の色を合わせた揃いの素敵な衣装を身に纏っておられました。
居た堪れないとはまさにこのことで、隣国などの主要なお客様も招いているこの場で同情の言葉を飲み込まれることほどつらいことはございませんでした。
「ザンガ外務大臣、ようこそおいで下さいました。」
「お招きいただき感謝いたします。ジュリア王妃陛下。しかしこれは、あんまりですな。」
「お恥ずかしいところをお見せしてしまいまして申し訳ございません。」
「いえ、私もこの国にしばらく駐在しておりましたので、大体は把握しておりましたが…ジュリア王妃陛下のご尽力があったからこそこの国はようやく落ち着きを取り戻し、むしろ以前よりも繁栄するようになったというのに。このロプノール王国陛下はあなたという唯一無二の屈指の存在に気が付いておられないのだろうか…申し訳ないですが私にはエラルド陛下の気持ちが理解しがたい…」
「ザンガ外務大臣…」
「おい、ザンガ卿よ。私のセリフを先取りしてしまうとは、困ったやつだな。」
「これは、アシュリーヌ皇帝陛下。この度はわざわざ我が国にご足労頂きまして感謝の使用もございません。」
「ジュリア王妃、頭を上げるんだ。たまには私がこっちにきて君の顔を見るのも悪くないと思ったんだ。それにしてもいつもの君らしくないな。」
「それは…」
「そういえば君に渡したいものがあったんだ。後で君の部屋に届けさせよう。いや、今でいいか、あいつは違う女ばかり見てるからな。よし。」
「ジュリア王妃、少し後ろを向いてくれないか?ちょっと失礼するよ。」
「アシュリーヌ皇帝陛下、いったい何を?」
「ほら、いいぞ。うん、よく似合ってる。これは私からの君が頑張ってきたご褒美だ。」
「まあ、よろしいのですか?」
「君がもらってくれなければ困るんだ。これは君のために作ったものだからな。誰か手鏡を。ああ、ありがとう。ほら、見てごらん。」
「まあ…素敵ですわ。七色の宝石が羽ばたく蝶の形をしておりますのね。」
「気に入ってもらえてよかったよ。しかし君と交渉するのは本当にいつも心が躍るよ。斬新なアイディアを持ってきては、私にひるむことなく意見を述べて来るなんて貴重な存在は他にはいない。どこからそんな力が湧いてくるのか興味がわいてたんだがな。ああ、こんなことになるなら早く君を攫っとけばよかったよ。」
123
お気に入りに追加
244
あなたにおすすめの小説
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
バイバイ、旦那様。【本編完結済】
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
妻シャノンが屋敷を出て行ったお話。
この作品はフィクションです。
作者独自の世界観です。ご了承ください。
7/31 お話の至らぬところを少し訂正させていただきました。
申し訳ありません。大筋に変更はありません。
8/1 追加話を公開させていただきます。
リクエストしてくださった皆様、ありがとうございます。
調子に乗って書いてしまいました。
この後もちょこちょこ追加話を公開予定です。
甘いです(個人比)。嫌いな方はお避け下さい。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
「だから結婚は君としただろう?」
イチイ アキラ
恋愛
ホンス伯爵家にはプリシラとリリアラという二人の娘がいた。
黒髪に茶色の瞳の地味なプリシラと、金髪で明るい色彩なリリアラ。両親は妹のリリアラを贔屓していた。
救いは、祖父母伯爵は孫をどちらも愛していたこと。大事にしていた…のに。
プリシラは幼い頃より互いに慕い合うアンドリューと結婚し、ホンス伯爵家を継ぐことになっていた。
それを。
あと一ヶ月後には結婚式を行うことになっていたある夜。
アンドリューの寝台に一糸まとわぬリリアラの姿があった。リリアラは、彼女も慕っていたアンドリューとプリシラが結婚するのが気に入らなかったのだ。自分は格下の子爵家に嫁がねばならないのに、姉は美しいアンドリューと結婚して伯爵家も手に入れるだなんて。
…そうして。リリアラは見事に伯爵家もアンドリューも手に入れた。
けれどアンドリューは改めての初夜の夜に告げる。
「君を愛することはない」
と。
わがまま妹に寝取られた物語ですが、寝取られた男性がそのまま流されないお話。そんなことしたら幸せになれるはずがないお話。
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
「君を愛することはない」の言葉通り、王子は生涯妻だけを愛し抜く。
長岡更紗
恋愛
子どもができない王子と王子妃に、側室が迎えられた話。
*1話目王子妃視点、2話目王子視点、3話目側室視点、4話王視点です。
*不妊の表現があります。許容できない方はブラウザバックをお願いします。
*他サイトにも投稿していまし。
【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた--
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は--
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。
王太子の望む妃
りりん
恋愛
ルーファット王国の王太子リンゼイには、侯爵家の次女であるマリアンヌという婚約者がいる。勢力を考慮した政略であり、可愛らしく華やかでありながらも儚げなマリアンヌとの婚約には不満はなかったが、婚儀が迫る中、中々進まない妃教育やマリアンヌの家庭環境などが気になり始めたリンゼイは·····。
【完結】彼と私と幼なじみ
Ringo
恋愛
私には婚約者がいて、十八歳を迎えたら結婚する。
ある意味で政略ともとれる婚約者とはうまくやっているし、夫婦として始まる生活も楽しみ…なのだが、周囲はそう思っていない。
私を憐れむか馬鹿にする。
愛されていないお飾りなのだと言って。
その理由は私にも分かっていた。
だって彼には大切な幼なじみがいて、その子を屋敷に住まわせているんだもの。
そんなの、誰が見たってそう思うわよね。
※本編三話+番外編四話
(執筆&公開予約設定済みです)
※シリアスも好物ですが、たまには頭を空っぽにしたくなる。
※タグで大筋のネタバレ三昧。
※R18命の作者にしては珍しく抑え気味♡
※念のためにR15はしておきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる