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王宮での舞踏会が開催されました。

最初のエスコートではエラルドは私の手を取ってくれたのですがその後のファーストダンスをロレッタ様と披露しそれからずっとお二人で寄り添われておりました。 

わたくしのドレスはエラルドの緑色の瞳に合わせたドレスで、ロレッタ様とエラルドはお互いの髪の色を合わせた揃いの素敵な衣装を身に纏っておられました。 

居た堪れないとはまさにこのことで、隣国などの主要なお客様も招いているこの場で同情の言葉を飲み込まれることほどつらいことはございませんでした。 


「ザンガ外務大臣、ようこそおいで下さいました。」 

「お招きいただき感謝いたします。ジュリア王妃陛下。しかしこれは、あんまりですな。」 

「お恥ずかしいところをお見せしてしまいまして申し訳ございません。」 

「いえ、私もこの国にしばらく駐在しておりましたので、大体は把握しておりましたが…ジュリア王妃陛下のご尽力があったからこそこの国はようやく落ち着きを取り戻し、むしろ以前よりも繁栄するようになったというのに。このロプノール王国陛下はあなたという唯一無二の屈指の存在に気が付いておられないのだろうか…申し訳ないですが私にはエラルド陛下の気持ちが理解しがたい…」 

「ザンガ外務大臣…」 

「おい、ザンガ卿よ。私のセリフを先取りしてしまうとは、困ったやつだな。」 

「これは、アシュリーヌ皇帝陛下。この度はわざわざ我が国にご足労頂きまして感謝の使用もございません。」 

「ジュリア王妃、頭を上げるんだ。たまには私がこっちにきて君の顔を見るのも悪くないと思ったんだ。それにしてもいつもの君らしくないな。」 

「それは…」 

「そういえば君に渡したいものがあったんだ。後で君の部屋に届けさせよう。いや、今でいいか、あいつは違う女ばかり見てるからな。よし。」 

「ジュリア王妃、少し後ろを向いてくれないか?ちょっと失礼するよ。」 

「アシュリーヌ皇帝陛下、いったい何を?」 

「ほら、いいぞ。うん、よく似合ってる。これは私からの君が頑張ってきたご褒美だ。」 

「まあ、よろしいのですか?」 

「君がもらってくれなければ困るんだ。これは君のために作ったものだからな。誰か手鏡を。ああ、ありがとう。ほら、見てごらん。」 

「まあ…素敵ですわ。七色の宝石が羽ばたく蝶の形をしておりますのね。」 

「気に入ってもらえてよかったよ。しかし君と交渉するのは本当にいつも心が躍るよ。斬新なアイディアを持ってきては、私にひるむことなく意見を述べて来るなんて貴重な存在は他にはいない。どこからそんな力が湧いてくるのか興味がわいてたんだがな。ああ、こんなことになるなら早く君を攫っとけばよかったよ。」 
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