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振り返るとそこにはロレッタ様の腰に腕を回されて寄り添うエラルドがこちらを見ておりました。
「…陛下、ロレッタ様」
「私がいない間ご苦労だった。今日から執務に戻る。君には苦労をかけて申し訳なかった。」
「いえ、恐れ多いことでございます。」
「ではロレッタ、私は執務に向かう。君は…」
「ええ、エラルド様、私は部屋に戻って少し横にならせて頂きますわ。それからデザイナーを呼んでいますのでまた後程お会いいたしましょう。おそろいの衣装をエラルド様と作れるだなんて夢のようだわ。」
「お揃い…でございますか?」
「ええ、ジュリア様。今度の王宮舞踏会ではエラルド様が私とおそろいの衣装を作ってくださるそうですの。楽しみですわ。」
「おい、ロレッタ…」
「あっ、申し訳ございません。正妃様を差し置いてこのような…」
「いえ、よろしいのですよ。それも陛下の決められたことなのですから。」
「しかしジュリア…」
「では、失礼いたします」
正妃の私を差し置いて側妃のロレッタ様とおそろいの衣装を纏い舞踏会に参加する意味をエラルドもロレッタ様も理解しているはずです。
ロレッタ様とおそろいの衣装を纏うエラルドを想像するだけで胸が抉られるようです。
魔の前で私をじっと見つめるエラルドは私を心配する言葉をならべております。なぜでしょう。エラルド自身が決められたことですのに、何をいまさら私に申し訳なさそうにする必要があるのでしょうか。
私の最愛の夫がもうほかのだれかの者になったのだと、いなくなってしまったのだと、そう実感したのでした。
愛していたのは私だけで、エラルドはわたくしを愛していたわけではなかった。
ロレッタ様はエラルドから愛されてエラルドの妻となった。
私の心だけが取り残されて、愛していたエラルドの心はロレッタ様のもとに行ったと思うと、この気持ちをどうしていいのかわかりません。
まるで迷子にでもなったかのように不安に押しつぶされてしまいそうです。
何もしていないとこの現実が頭の中を侵食しておかしくなりそうです。
居たたまれずにその場を後にした私には執務室しか逃げる場所がありません。
部屋に入れば積み上げられた書類と埋もれるようにちょこんと存在する執務机。
お兄様は今日は登城することがかなわず、側近たちはいつものように姿を現すことがありませんでした。
「…陛下、ロレッタ様」
「私がいない間ご苦労だった。今日から執務に戻る。君には苦労をかけて申し訳なかった。」
「いえ、恐れ多いことでございます。」
「ではロレッタ、私は執務に向かう。君は…」
「ええ、エラルド様、私は部屋に戻って少し横にならせて頂きますわ。それからデザイナーを呼んでいますのでまた後程お会いいたしましょう。おそろいの衣装をエラルド様と作れるだなんて夢のようだわ。」
「お揃い…でございますか?」
「ええ、ジュリア様。今度の王宮舞踏会ではエラルド様が私とおそろいの衣装を作ってくださるそうですの。楽しみですわ。」
「おい、ロレッタ…」
「あっ、申し訳ございません。正妃様を差し置いてこのような…」
「いえ、よろしいのですよ。それも陛下の決められたことなのですから。」
「しかしジュリア…」
「では、失礼いたします」
正妃の私を差し置いて側妃のロレッタ様とおそろいの衣装を纏い舞踏会に参加する意味をエラルドもロレッタ様も理解しているはずです。
ロレッタ様とおそろいの衣装を纏うエラルドを想像するだけで胸が抉られるようです。
魔の前で私をじっと見つめるエラルドは私を心配する言葉をならべております。なぜでしょう。エラルド自身が決められたことですのに、何をいまさら私に申し訳なさそうにする必要があるのでしょうか。
私の最愛の夫がもうほかのだれかの者になったのだと、いなくなってしまったのだと、そう実感したのでした。
愛していたのは私だけで、エラルドはわたくしを愛していたわけではなかった。
ロレッタ様はエラルドから愛されてエラルドの妻となった。
私の心だけが取り残されて、愛していたエラルドの心はロレッタ様のもとに行ったと思うと、この気持ちをどうしていいのかわかりません。
まるで迷子にでもなったかのように不安に押しつぶされてしまいそうです。
何もしていないとこの現実が頭の中を侵食しておかしくなりそうです。
居たたまれずにその場を後にした私には執務室しか逃げる場所がありません。
部屋に入れば積み上げられた書類と埋もれるようにちょこんと存在する執務机。
お兄様は今日は登城することがかなわず、側近たちはいつものように姿を現すことがありませんでした。
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