出来損ないの王妃と成り損ないの悪魔

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今日も家族での催しごとにわたくしは当然のごとく含まれておりませんでした。

ジュリアを囲むように馬車に乗り込んでいかれたお父様たちを自室の窓から見送りながら、蓄積された疲れがこの時を待っていましたとばかりにずしりと体の芯まで襲って参ります。 

少しだけ…とソファに深く腰掛けて、行儀悪く体を丸めるようにうずくまります。 

周りに誰もいなくなるとこうしてしまうのが私の小さなころからの癖になっています。 

こうして目をつむっていると、だれかにこんなわたくしをそのまま受け入れてもらっているような気分になって安心してしまうのです。

でも現実で、このようなわたくしは受け入れてはもらえないでしょう。
私はこのままずっと両親をはじめ周囲の期待に背かないように寝る間も惜しんで励まなくてはならないのです。

公爵家の長女として生れただけで、知能、作法、美貌そのほか全てにおいて最高であるはずだと、誰と比べても絶対的に一番であるはずだと、それが当たり前だと決定づけられているかのように両親はもちろんすべての周囲の者たちに思われて育って参りました。

いくら成果を残しても褒められることも、気にかけてもらえることもありません。 

それがどれだけ幼かった私には酷であろうとも平凡なわたくしに文句を言えるはずがございませんでした。 


お兄様にしてみたら、私は王太子妃教育に加え父の手伝いさえ行い、母のすべき執務でさえ行っているのだから大したものだとおっしゃって下さいます。 
公爵家嫡男であるアデルモお兄様は両親の期待に応え、とても優秀で自慢の兄でございます。 

産まれてこの方、私のことを心配してくださるのはアデルモお兄様と執事のジョルジョだけでございます。 

二人だけは両親の目を気にしてくださっていつもこっそりと疲れている私に差し入れをしてくださったり、休憩しようと自らお茶を淹れてくださいました。 


妹のラウラように少し粗相をしても両親や使用人に友人らから心配され励まされる彼女が羨ましく思う気持ちを長年の間やり過ごしております。 

使用人の子供らが元気に裸足で広場を駆け回っているのを目にしたときに、それがとても羨ましかったのを覚えております。
太陽のように輝く笑顔で駆け回る同世代の子供たちが眩しくて夢のような光景で、思わず自ら靴を脱いでそこに入っていきそうになりましたのをぐっとこらえたものです。