今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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面白い冗談

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「このような言い方を殿下にしては失礼だと重々承知しておりますが…。私は、この国の民の為に第二妃として王太子妃様の業務を肩代わりしているだけで、別にプリシア様と殿下に感謝されるいわれは全くございません。

それに私はダグラス様と適切な距離を保っておりますし、これまでダグラス様以外、私に手を差し伸べてくださる方がおりませんでしたので。幸せとは無縁のこの状況で、ずっと一人で耐えてきましたのよ。

長年婚約者として時間を共にしてきた殿下が、結果二人妻を娶られたとうのに。たかだか第二妃の私などに側近としてダグラス様がついてくださったからといってまさか嫉妬したなんて…。殿下も本当に面白いご冗談をおっしゃいますわね。」 

ふふふっと笑みを溢したエルザの瞳は凍ったように冷ややかだった。

「そっ...それは.....しっ、しかし...エルザは私と夫婦になって幸せではないというのか…?

…そうか...エルザ…。....私と夫婦になってつらい思いをさせていたのか...そうか。

私のつまらない嫉妬で君の気分を害してしまった。…すまなかった。...ダグラス......エルザを頼んだ…。」 

 幼いころからの婚約者は、エルザをねぎらうどころかダグラスが自分の傍にいることが気に入らなかったという理由で久々に会いに来た。

そんなことで簡単に自分に会いにこれるのなら、なぜ今まで、時折こうして自分に会いに来てくれなかったのかと思う。

まだ第二妃となって数か月だが、今回のルーカスのこの的外れな言動は、これまで負の感情を抑え込んでいたエルザの怒りの琴線にたやすく触れてしまった。

浮気した挙句二人も妻を娶った事を棚に上げて、放置している妻に異性の側近がついたから嫉妬したなど愚かにも程がある。

去り際にエルザを頼むと言いながらも、ダグラスを睨みつけるようにして出ていったルーカスに、さらなる落胆と嫌悪の気持ちが沸き起こったエルザであった。 

思わず大きなため息を吐いたエルザと、面白いものを見たような顔をしたダニエルは、互いに目を合わせた途端、同時に噴き出したのだった。

それ以降、ダグラスが常にエルザと行動を共にするようになった影響で、周囲の心ない声や視線が以前のようにエルザまで頻繁に届くことがなくなった。 

そしてダグラスは城下の人気店のデザートを頻繁にエルザに差し入れするようになった。

ダグラスのおどけた会話を交え、二人でダグラスの差し入れのデザートでお茶の時間を共にするようにもなり、徐々にエルザは笑顔を取り戻していったのだった。 
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