今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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おやすみ

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「エルザ。達者でな。ウィリアムソン侯爵ルーカスがすまなかったな。エルザを頼むぞ。」 

「陛下も、お元気で…。」

「行くな!エルザ!エルザ!待ってくれ!エルザ!!!」


国王に別れを告げられたエルザとエルザの父は、まだ喚くルーカスに背を向け立ち去ったのだった。 


国王と謁見した直後、エルザの父はそのまますぐにエルザを馬車に乗せ、馬車を急がせウィリアムソン侯爵邸に戻った。 

突然戻ってきた娘にエルザの母もエルザの兄も歓喜し涙した。 

すぐに知らせが送られ屋敷を訪れたダグラスも加わり、久々に大勢での夕餉を楽しんでいたエルザの様子をダグラスは嬉しそうに見つめていた。 

そして夕餉を終えたエルザはこれまでの気苦労が一気に出たのか、暖炉を囲んで皆でお茶を楽しんでいるうちにいつの間にかうたた寝をしていたのだった。 

「エルザ…可哀そうに。幼いころからこの子には苦労ばかり掛けてしまったわ…。今度こそ私達でこの子を守ってあげましょう。」 

エルザの母の言葉に、エルザの父と兄そしてダグラスも強くうなずいたのだった。 


「私がエルザを運びましょう。」 

エルザの寝顔を初めて目の当たりにしたダグラスは頬を緩めた。
そしてエルザを軽々と抱き上げゆっくりとエルザの部屋へ足を運んだのだった。 

腕の中で眠るエルザの寝顔はあどけなく、いつも淑女然としているのに今のエルザのあどけない表情とのギャップにダグラスは内心激しく悶えていた。

周囲に控えている侍女らに動揺を悟られないようにするのに苦労しながら、エルザをベッドに寝かせたダグラスは額に軽く口づけを送った。 

「おやすみ、エル。良い夢を。」 

そんなこととはつゆ知らず、エルザは久しぶりに穏やかな深い眠りについたのだった。 
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