今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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君は誰よりも素敵な女性だ

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最悪なタイミングでエルザにあの二人の会話を立ち聞きさせてしまったダニエルは苛立っていた。


『……ルーカスがあの女に王太子妃の仕事を少しでもするように話していたのは意外だったな。 

しかし、あの女狐め。 

自分のせいで、エルザがつらい境遇に晒されているのを分かってて、よくあんなことが言えたものだ。

あんな女に愛を語っていたルーカスもどうかしてるとしか言いようがない。あいつは変わってしまった。

あんなに大切にしていたエルザをここまで蔑ろにして傷つけるとは…。くそっ!』


ようやくエルザの執務室に辿り着いたことに気が付いたダグラスは、はっと我に返りエルザの表情を窺った。


「エルザ様…エル…。大丈夫か?今はただの友人として君に接することを許してくれるだろうか?」 

「ええもちろん、ダグ…。」 

「ありがとう、エル。

僕はいつか君の心が壊れてしまうんじゃないかと不安になるんだ。エル…こんなことを僕が聞くのもどうかとおもうが、君は…まだルーカス殿下のことが好きなのか…?」 

「好き…ね…。ふふふっ。私が第二妃として嫁ぐ前に、殿下が私のところにやって来たの。 

そして私のことだけを愛していると告げてきたのよ。意味が分からなかったわ。しかもとても素敵なイヤリングを贈られたわ。殿下からの私への気持ちだと思って受け取ってほしいなんて言われて。 

プリシア様と一夜を共にされたと聞かされた時点で、殿下の心は私には残されていないことはもうわかっていたはずなのに…ね、ほんの少しだけ期待した自分がいたの。馬鹿ね、私。 

先ほどの殿下とプリシア様の会話で目が覚めた思いがするわ。愛してる…ね。殿下が言うと、軽いのか重いのかわからなくなるわね。ふふっ。ほんのわずかに残ってた私の殿下への想いなんて、お蔭様できれいさっぱりなくなってしまったわ。 

結局私は、ただプリシア様の代わりに王太子妃の仕事をこなすためだけに、ここに閉じ込められてしまった愚かな女なのね。もう、早くここから解放されたいって言ったらみんなに軽蔑されるかしら?」 

「軽蔑するわけないだろ、エル…。君がそう望むのなら僕はいつだって君の味方だ。僕は喜んで君に協力させてもらうよ。そして何より君に知っていてほしい。君は誰よりも素敵な女性だということを。」
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