今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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惨めな第二妃

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一方でプリシアの王太子妃教育は一向に進まず、教師たち一同も匙を投げるほどだった。

そしてエルザは第二妃という肩書で、先の見えない王太子妃の仕事を肩代わりするだけの存在になっていた。 

プリシアはルーカスの寵愛を独り占めしようと日々ルーカスを束縛し、王太子妃の仕事すべてをエルザに丸投げしたまま贅沢三昧で楽しい日々を謳歌していた。 

また、初夜どころか未だにルーカスの訪れのないエルザを嘲笑う者たちがあちらこちらで現れ、周囲からの心ない言葉は当然のごとくエルザの耳にも入っていった。 


エルザが第二妃として王宮にやって来て二か月が過ぎていた―――――。 


「かつてはあんなに理想的な婚約者としてルーカス殿下のお傍にいらっしゃった方が、まさか男爵令嬢の聖女様に負けて第二妃様だなんて…なんて惨めなんでしょう…」 

「初夜をルーカス殿下から放棄されて未だに閨を共にしていないらしいですわ…可哀そうな方…」 

「王太子妃様は本当に可憐でいつも素晴らしい衣装と宝石を身に纏ってらっしゃるのに、エルザ第二妃様ときたら…惨めだわ…。ルーカス殿下の寵愛がプリシア様にのみ向いているのがあからさまで、本当に可愛そう…」 

「王太子妃様の仕事を代行する為だけに嫁いだようなものですわね…本当に惨めだわ…」 

至る所から聞こえてくるこのような心ない声や同情の声が、次第にエルザの心を確実に蝕んでいったのだった。 

これまで王太子妃教育を頑張ってこれたのは、ひとえにルーカスの隣で王太子妃として支えていけるようにという一心からきたものだった。

第二妃にされた挙句、周囲から嘲笑われてまで、不貞を犯したあの二人を支え続けなければならないこの悲惨な状況からエルザは逃げ出したくてたまらなくなった。

次第にエルザの表情からは作ったような表情さえ失われて行き、かつてのエルザをよく知っている者達からはエルザを心配する声が後を絶たなかった。 
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