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アンネリーゼ
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「アンネリーゼ!なんてことをしてくれたんだ!!!」
「っ!お父様!だって、アレクと一緒になるには、どうしてもあの女が邪魔だったのです!!」
「彼とそんなに一緒になりたいんなら、もっと他にやり方があっただろう!シャルロッテ嬢がお前に何をしたっていうんだ!!?賊を使って襲うような真似をして!あの噂を放っておいた私にも責任はあるのかもしれん!しかし、お前に何の権限があってあの娘をどん底に落とすような真似をしたのだ!!?昨年の領地での河川の氾濫で、わが侯爵家が大変な時に、今度はシャルロッテ嬢へ莫大な慰謝料だ!しかも、お前の婚約破棄に対する慰謝料まで支払うことになったのだぞ!お前は我が家をつぶすつもりなのか?!」
そうまくし立てたアンネリーゼの父は両肘を膝の上についたまま深いため息を吐いた。
いつも毅然とした態度で、颯爽と仕事をこなしている父の、こんなやつれ果てた姿は初めて見る。
「お前の持っている資産、ドレスに宝石、売れるものは全て売ることにする。それをシャルロッテ嬢の慰謝料の一部に充てる。」
「そんな!お父様。そんなことをしたら私はお茶会にもどこにもいけなくなってしまうわ!」
「茶会だと?はっ、まだそんなことをいっているのか。そうか。私の育て方が間違えていたようだ。」
「そんな、そんな言い方酷いです、お父様!」
「話ももう通じなくなってしまったのか。じゃあお前は何の罪もない一人の令嬢を貶め殺そうとしたというのに、それでもまだ、学園に行き、そして茶会やらパーティやらに誘ってもらえるとでも思っているのか?」
「それは…、でも、私にはアレクがついているんです!彼が私を守ってくれるわ!」
「私は、アレクサンダー君と話してきたよ。あの噂と今回の襲撃の件についてもね。彼は今回の襲撃の件については全く知らなかった、関与していないと主張していたよ。私も調べたがそれは本当のようだな。まあ、せめてもの救いだろう。あちら側としては。」
「…。」
「あの噂に関しては、お前からの提案だったそうじゃないか。本当なのか?」
「それは…事実です。だって、アレクってばすごく令嬢たちに人気があって、婚約者が学園に通いだしたら嫉妬でいじめにあわないか心配だっていうから。だから…私が、恋人のふりをして、私達こそが真実に思いあう恋人ってことにしたらどうかって。そしたら、シャルロッテさんは、私たちを邪魔する愛されない婚約者ってことで、アレクを狙う令嬢の嫉妬やら嫌がらせを受けなくて済むんじゃないかって提案したの。」
「なんてことをやってくれたんだ。それで嫉妬やいじめから逃れたとしても、シャルロッテ嬢がどれだけ傷つくか、わからなかったのか?」
「それは…。最初の方は少しは罪悪感を感じたけど。でも、アレクが私を愛おしむように見つめてくれるし。恋人のように接してくれるうちに、本当に好きになってしまったの。」
「じゃあ、お前は最初からアレクサンダー君が好きだったわけはないのだな?」
「それは…」
「じゃあ、最初からアレクサンダー君とシャルロッテ嬢の関係を壊そうと思って計画をもちかけたんだな?だから、その計画をシャルロッテ嬢には伝えずに、彼女が悲しむ様子を高嶺の見物してたってわけか?アレキサンダー君が言ってたよ。その計画をシャルロッテ嬢に伝えてしまったら、それが計画だったと周りにばれたときに、学年の違うシャルロッテ嬢をアレキサンダー君が守れなくなる。だから、伝えるのはよした方がいいとお前が提案したってな。まあ、私にしたら、それを真に受けるようなアレクサンダー君にも非があると思うが。」
「アレクはただ私の計画に乗っただけよ!そして恋人になってからは、彼の気持ちは絶対に私に傾いていたわ!」
「恋人じゃない!恋人のふりをしただけだったとお前がいっていただろう?間違えるんじゃない!」
「そんなことはないわ!私はアレクの婚約者になるの!私こそが彼の隣にふさわしいのよ!私たちは真に愛し合ってるの!私こそがアレクにふさわしいのよ!あの女じゃない!アレクったら、恋人のふりはこれ以上必要ないっていったのよ!ふりじゃないなら、これからは本当の恋人同士になれるの!!アレクも私も本当に愛し合ってるのよ!」
「おい!誰か!アンネリーゼを部屋に閉じ込めておけ!!」
主に命じられた侯爵家の騎士数名が暴れるアンネリーゼを即座に担ぎ上げた。
「アンネリーゼ、我が家からお前を除籍することに決めた。戻ってくることも許さん。わかったな。」
「そんな!お父様!」
「連れていけ!!!」
「「「はっ」」」
数日後、侯爵家から除籍をされたアンネリーゼは、裁判にかけられた。
粗末な服を着せられ、王都から片道2週間ほどかかる国内で最北に位置する、修道院に送られる彼女を見送るものは誰もいなかった。
「っ!お父様!だって、アレクと一緒になるには、どうしてもあの女が邪魔だったのです!!」
「彼とそんなに一緒になりたいんなら、もっと他にやり方があっただろう!シャルロッテ嬢がお前に何をしたっていうんだ!!?賊を使って襲うような真似をして!あの噂を放っておいた私にも責任はあるのかもしれん!しかし、お前に何の権限があってあの娘をどん底に落とすような真似をしたのだ!!?昨年の領地での河川の氾濫で、わが侯爵家が大変な時に、今度はシャルロッテ嬢へ莫大な慰謝料だ!しかも、お前の婚約破棄に対する慰謝料まで支払うことになったのだぞ!お前は我が家をつぶすつもりなのか?!」
そうまくし立てたアンネリーゼの父は両肘を膝の上についたまま深いため息を吐いた。
いつも毅然とした態度で、颯爽と仕事をこなしている父の、こんなやつれ果てた姿は初めて見る。
「お前の持っている資産、ドレスに宝石、売れるものは全て売ることにする。それをシャルロッテ嬢の慰謝料の一部に充てる。」
「そんな!お父様。そんなことをしたら私はお茶会にもどこにもいけなくなってしまうわ!」
「茶会だと?はっ、まだそんなことをいっているのか。そうか。私の育て方が間違えていたようだ。」
「そんな、そんな言い方酷いです、お父様!」
「話ももう通じなくなってしまったのか。じゃあお前は何の罪もない一人の令嬢を貶め殺そうとしたというのに、それでもまだ、学園に行き、そして茶会やらパーティやらに誘ってもらえるとでも思っているのか?」
「それは…、でも、私にはアレクがついているんです!彼が私を守ってくれるわ!」
「私は、アレクサンダー君と話してきたよ。あの噂と今回の襲撃の件についてもね。彼は今回の襲撃の件については全く知らなかった、関与していないと主張していたよ。私も調べたがそれは本当のようだな。まあ、せめてもの救いだろう。あちら側としては。」
「…。」
「あの噂に関しては、お前からの提案だったそうじゃないか。本当なのか?」
「それは…事実です。だって、アレクってばすごく令嬢たちに人気があって、婚約者が学園に通いだしたら嫉妬でいじめにあわないか心配だっていうから。だから…私が、恋人のふりをして、私達こそが真実に思いあう恋人ってことにしたらどうかって。そしたら、シャルロッテさんは、私たちを邪魔する愛されない婚約者ってことで、アレクを狙う令嬢の嫉妬やら嫌がらせを受けなくて済むんじゃないかって提案したの。」
「なんてことをやってくれたんだ。それで嫉妬やいじめから逃れたとしても、シャルロッテ嬢がどれだけ傷つくか、わからなかったのか?」
「それは…。最初の方は少しは罪悪感を感じたけど。でも、アレクが私を愛おしむように見つめてくれるし。恋人のように接してくれるうちに、本当に好きになってしまったの。」
「じゃあ、お前は最初からアレクサンダー君が好きだったわけはないのだな?」
「それは…」
「じゃあ、最初からアレクサンダー君とシャルロッテ嬢の関係を壊そうと思って計画をもちかけたんだな?だから、その計画をシャルロッテ嬢には伝えずに、彼女が悲しむ様子を高嶺の見物してたってわけか?アレキサンダー君が言ってたよ。その計画をシャルロッテ嬢に伝えてしまったら、それが計画だったと周りにばれたときに、学年の違うシャルロッテ嬢をアレキサンダー君が守れなくなる。だから、伝えるのはよした方がいいとお前が提案したってな。まあ、私にしたら、それを真に受けるようなアレクサンダー君にも非があると思うが。」
「アレクはただ私の計画に乗っただけよ!そして恋人になってからは、彼の気持ちは絶対に私に傾いていたわ!」
「恋人じゃない!恋人のふりをしただけだったとお前がいっていただろう?間違えるんじゃない!」
「そんなことはないわ!私はアレクの婚約者になるの!私こそが彼の隣にふさわしいのよ!私たちは真に愛し合ってるの!私こそがアレクにふさわしいのよ!あの女じゃない!アレクったら、恋人のふりはこれ以上必要ないっていったのよ!ふりじゃないなら、これからは本当の恋人同士になれるの!!アレクも私も本当に愛し合ってるのよ!」
「おい!誰か!アンネリーゼを部屋に閉じ込めておけ!!」
主に命じられた侯爵家の騎士数名が暴れるアンネリーゼを即座に担ぎ上げた。
「アンネリーゼ、我が家からお前を除籍することに決めた。戻ってくることも許さん。わかったな。」
「そんな!お父様!」
「連れていけ!!!」
「「「はっ」」」
数日後、侯爵家から除籍をされたアンネリーゼは、裁判にかけられた。
粗末な服を着せられ、王都から片道2週間ほどかかる国内で最北に位置する、修道院に送られる彼女を見送るものは誰もいなかった。
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