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ジェイド視点

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クレイグと話している途中、急に、クレイグが外に駆けだしていった。
まさか妹に何かあったのかと思って窓の外に目を向けて、全身の血の気が一気に引いてしまった。

クレイグの後を追い僕も全力で妹のそばに駆けつけた。
お願いだ、間に合ってくれ…。

妹のそばに駆け寄ると、気を失った妹はクレイグの腕の中でぐったりしていた。

こんなに、妹が追い詰められていたなんて…。

クレイグの腕の中で意識を失った妹をそのまま、妹の寝室に連れて行った。
その後高熱が出て、妹はずっと苦しそうにうなされることとなった。
医者と看護師が妹の部屋の中に入ってからもうしばらくたつ。

いち早く異変に気付いたクレイグが一目散に妹の元へ駆けつけてくれたおかげで本当に助かった。
妹の熱が引いたら、せめて体力が元に戻るようにどんな手も尽くすつもりだ。

小さなころからキラキラとした笑顔を絶やさない、俺の大切な妹。
周りの人々を常に笑顔にして、いつもおせっかいを焼きたがる可愛い妹。

まさか、そんな妹が死のうとするほど追い詰められていたなんて。

父上はよほどショックだったのだろう。
医者がやんわりと止めるのも聞かずに妹のそばに今なお寄り添っている。

「あの、ジェイド様。お忙しいところ失礼いたします。また、例の方が面会に来ておりますがどのように致しましょうか。」
「またあいつか。金輪際、我が屋敷に足を踏み入れることは絶対に許さない。帰ってもらえ。」
「畏まりました。」

「おい、ジェイド。今のってもしかして。」
「ああ、あいつさ。あれから毎日のように押しかけてきやがる。こんな状況になってまで、シャルが許してくれるとでも思ってるんだったら、愚かとしか言いようがない。」

「なんて奴だ。こんなにシャルが傷つくまで放っておいて、何をいまさら面会することがあるっていうんだ。」

「シャルが襲撃された日に、学園が終わってから奴がシャルに会いに来たんだ。シャルが学園に通いだして初めてのことだった。だけど、シャルがなかなか帰ってこなくてな。情けない話、奴はシャルが学園が終わってから寄りそうなところなんて知らなかった。挙句の果てに、シャルが襲撃された現場のそばを通っていたんだぞ。なのに全く気が付かなかったんだ。もう、本当に今更なんだよ。」

そうだ。今更何を弁解しようとしているのか。
たくさんやらかしたうちの何に対して謝罪しようとしているのか。
今更面会を申し込んだところで何だというのだろう。

長年、あいつがシャルのことをそれは大事に慈しむように、共に時間を過ごしていたのを見てきている。
でも、あいつは学園に入学してから変わってしまった。


面会をする機会なら今までに幾度となくあったはずだ。
シャルからも我が家からもこれまで、面会を何度も申し込んだはずだ。
シャルに至っては、学園内でもどうにか奴と話し合いの場を設けようとしたんじゃなかったのか。
それを全て拒絶したのはあいつの方だ。

本当に今更だ――――。
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