もうあなたを離さない

梅雨の人

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巻き戻り前

お茶会1

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お茶会

「ジョージアナ様、今日はお招きいただきありがとうございます。」

そう言って義弟の逞しい腕にエスコートされてやって来たリズリーは、レオナルドの義姉のジョージアナに笑顔を向けてきた。

「義姉上、リズリーを招待してくださってありがとうございます。」

「ええ、いいのよ、レオナルド。ここは女同士楽しみたいのだからあなたはお義父様とジャックのところに行ってなさいな。」
「大丈夫か、リズリー?」
「ええ、もちろん。お義姉様に会えるのを本当に楽しみにしていたの。心配しないでくださいませ。」
「ああ。では、またあとで迎えに来る。」

そう言ってリズリーの頬にキスをしてその場を去るレオナルドを、ジョージアナは嫌悪の気持ちを表には見せずに見送った。

お茶会はジョージアナの得意とする相手のかゆいところに手の届くような話術で、リズリーに安心感を与え気持ちよく相手がしゃべりだすのをうまく相槌を打ちながら進めていた。

目の前に綺麗に並べられた茶菓子を皿にとってリズリーに渡してやると機嫌を皿に浴したのを見逃さなかったジョージアナは、レオナルドのどこに惹かれたのかと尋ねた。
これまで謎であった、リズリーについてそれからどうにかレオナルドの急変について手掛かりを聞き出したかったのだ。
レオナルドのどこに惹かれたのか聞かれたリズリーは、目を輝かせ何かにとりつかれたかのようにその良さについてかたりはじめた。

会話の中でレズリーが嬉しそうに「レオナルドったら、私に一目で落ちたんですよ!」と繰り返される言葉に引っかかりを覚えつつ、淑女の仮面をひたすらかぶり続けたジョージアナはレズリーの言葉に耳を傾けた。
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