初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人

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ローズ

妻を尊重する夫

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しかしそんな甘い二人の空間は、護衛が止めるのも聞かず部屋に押し入って入ってきたブリアナによって破られてしまった。

「サミュエル陛下。お久しぶりです。少しお時間を宜しいでしょうか。」

そう言って執務室に割り込んできたブリアナから、射貫くような視線を贈られたローズはサミュエルのシャツを思わずキュッと握りしめた。

そんなローズの不安を感じ取ったのか、サミュエルはローズの頭にキスを贈り、視線をブリアナに戻した。

「ブリアナ義姉さん、ちょうどいまローズと休憩中だが...急ぎなら少し話を聞こう。」

「サミュエル陛下…。最近、サミュエル陛下が私に会いに来られなくて寂しくて…。

それに、食事の席だって…。
あの席は本来私の席だたはずなのに、いくらローズ様が今回の件で王妃になられたからって、あの席を使うことを禁ずるとはあんまりじゃありません?

ね?優しいローズ様もそう思うでしょ?しかも今更一人で食事をとるのはとても心細くて…。以前のようにサミュエル陛下とお食事だけでもご一緒したいわ。」

「ブリアナ義姉さん、急ぎの件であれば話を聞くといったのだが?申し訳ないが、私も国王の仕事をこなすので忙しいんだ。

それに兄さんが亡くなって既に数か月が経過した。私達もつらいが義姉さんも前を向いて生きていってほしいと願っている。もしも心細いなら、義姉さんの友人や家族を呼んでいつでも会ってくれたら良い。

それと、食事の際の席は、けじめをつけなければいけない。だからブリアナ義姉さんの気持ちも察するが、あの席は私の妻であり王妃であるローズだけの席で、他のものが使用するべきではなかった。

私もそんな簡単なことに随分長く気が付くことが出来なかったので、これは義姉さんだけの責任とは言えないのだが。」

「そんな…!」

いつも勝ち気であざ笑うかのような視線をローズに向けるブリアナが、怒りの表情でローズを睨みつけてきた。

サミュエルがブリアナに伝えたことに何一つとして間違えたことはない上に、一言も発言していない自分を睨みつけてくるブリアナにローズは不快感を覚えた。

そして、すかさずサミュエルに退出を促されたブリアナは、無言で部屋を去っていった。

「ローズ、大丈夫か?」

そう言って優しくサミュエルに抱きしめられたローズは、サミュエルが初めてブリアナから自分のことを庇い、そして尊重した言動をとってくれたことに、安堵と喜びを感じたのだった。
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