初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人

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ローズ

脆い自分

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「ローズ、どこか具合でも悪いのかい?」

食後しばらくして部屋に戻ってきたサミュエルは、無神経にもそんなことをローズに聞いてきた。

ローズはブリアナばかり気に掛けるサミュエルに対して、夫婦になって培ってきた愛情が脆く崩れていく恐怖を感じた。

しかし、城に戻ってからのサミュエルはローズの気持ちにあまりにも無頓着になっており、ローズの悲しみに全く気が付かないサミュエルは当たり前のように妻の席にブリアナを座らせ、ローズとも食事時間を共にした。

サミュエルの死と、育児、王妃としての仕事に加えて、無神経なサミュエルとブリアナの言動に既に心が折れかけていたローズは何とか理由をつけては食事の時間をずらそうと試みた。

それでもローズと顔を合わせられるようにとサミュエルの方で時間を調整するので、ローズは彼等との食事の時間をさけることが出来なかった。

サミュエルとブリアナが幸せそうに食事を共にするのをただ悲しい気持ちで見つめるのであった。

城に戻って二か月が経過した。

優秀な乳母や気の利く侍女らに囲まれた双子はすくすくと成長をしており、ローズは可愛い子供たちを腕に抱え母乳を飲ませ、そのぬくもりに癒される時間を大事にした。

相変わらずサミュエルは仕事とブリアナの傍に寄り添うことで忙しいらしく、食事の席でブリアナとの仲を見せつけられるか、自分が寝たふりをしているのに気が付かないままそっとベッドに入ってくるか、それくらいしかローズの近くにサミュエルがいることはなくなってしまった。

サミュエルの寝息が聞こえた後で、ローズは寂しさのあまり息をかみ殺して涙を流したのだった。

王妃として強くあらねばと思うのに、一人の女として脆い自分がいるのだと実感した。

そんな妻を気遣ってかどうか定かではないが、サミュエルからは度々プレゼントを贈られた。
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