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ローズ
寂しさを耐えて
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突然のウィリアム毒殺という知らせに衝撃を受けた二人は、すぐに王宮に駆けつけた。
「ルイス!」
「サミュエル兄さん!」
「ああ…なんてことだ…。」
「サミュ…」
「ああ…ローズ。ローズ、大丈夫か?」
自分の兄が毒殺された衝撃もあるというのに、こんな時でも自分を気に掛けてくれるサミュエルをローズは頼もしく感じた。
「サミュエル兄さん、分かってると思うけど、兄さんが次の王座に就くことになるのは間違いない。そして、ローズ義姉さんは王妃になる。ローズ義姉さん、大変だと思うけど僕も出来るだけローズ義姉さんを支えるから。」
「ありがとうございます。ルイス様…。」
「ローズ、こんなことになってしまって申し訳ないが、私は君を必ず守って見せる。だから私と一緒にこの国を導いて行ってくれ。」
「ええ、サミュ。あなたと一緒なら頑張れそうです。それにウィリアム陛下の為にも。」
サミュエルの婚約者だった時、ブリアナとサミュエルの言動に心が折れかけていたローズにふと、未だに大事に取ってあるピンクの薔薇をくれたウィリアムを思い出した。
優しくて、暖かく自分を救ってくれていたウィリアムのその早すぎる死に、ローズも悲しみでいっぱいになった。
そして、サミュエルの国葬が行われ国民が悲しみに包まれる中、速やかに新国王としてサミュエルの戴冠式が行われたのだった。
「サミュエル様、いえ、サミュエル陛下。」
「ブリアナ義姉さん。ウィリアム兄さんがいなくなって辛いと思うが、私たちをいつでも頼ってくれ。」
「ブリアナお義姉様サミュエル様のおっしゃるとおりですよ。ぜひ私達を頼ってくださいませ…。」
ウィリアムが亡くなって城に戻ってきたサミュエルとローズは、ブリアナの心境を慮り寄り添おうとしたが、しかし、ブリアナがいつも必要としてくるのはサミュエルだけであった。
そして、いつしかサミュエルも時間があればブリアナに寄り添うようになり、城に戻るまでの甘い夫婦の時間は無くなってしまった。
サミュエルが急に遠くに行ってしまったような気分になったローズは寂しさを覚えるものの、夫を亡くして辛いだろうブリアナを想いぐっとその寂しさを耐えた。
戴冠式後の夜会では、サミュエルとブリアナのローズを軽んじるあり得ない行いに深く傷つけられたローズだった。
しかし、それからも無神経な二人の行動は日々悪化していった。
ローズは慣れない王妃の仕事を何とかこなしていくなかで、サミュエルがブリアナに寄り添う寂しさを紛らわすかのように、双子の世話と仕事に没頭するようになったのだった。
ルイスはそんなローズになんとか寄り添い、最大限の力を貸した。
そして、城に後一年留まることになったブリアナにルイスは鋭い視線を送ったのだった。
「ルイス!」
「サミュエル兄さん!」
「ああ…なんてことだ…。」
「サミュ…」
「ああ…ローズ。ローズ、大丈夫か?」
自分の兄が毒殺された衝撃もあるというのに、こんな時でも自分を気に掛けてくれるサミュエルをローズは頼もしく感じた。
「サミュエル兄さん、分かってると思うけど、兄さんが次の王座に就くことになるのは間違いない。そして、ローズ義姉さんは王妃になる。ローズ義姉さん、大変だと思うけど僕も出来るだけローズ義姉さんを支えるから。」
「ありがとうございます。ルイス様…。」
「ローズ、こんなことになってしまって申し訳ないが、私は君を必ず守って見せる。だから私と一緒にこの国を導いて行ってくれ。」
「ええ、サミュ。あなたと一緒なら頑張れそうです。それにウィリアム陛下の為にも。」
サミュエルの婚約者だった時、ブリアナとサミュエルの言動に心が折れかけていたローズにふと、未だに大事に取ってあるピンクの薔薇をくれたウィリアムを思い出した。
優しくて、暖かく自分を救ってくれていたウィリアムのその早すぎる死に、ローズも悲しみでいっぱいになった。
そして、サミュエルの国葬が行われ国民が悲しみに包まれる中、速やかに新国王としてサミュエルの戴冠式が行われたのだった。
「サミュエル様、いえ、サミュエル陛下。」
「ブリアナ義姉さん。ウィリアム兄さんがいなくなって辛いと思うが、私たちをいつでも頼ってくれ。」
「ブリアナお義姉様サミュエル様のおっしゃるとおりですよ。ぜひ私達を頼ってくださいませ…。」
ウィリアムが亡くなって城に戻ってきたサミュエルとローズは、ブリアナの心境を慮り寄り添おうとしたが、しかし、ブリアナがいつも必要としてくるのはサミュエルだけであった。
そして、いつしかサミュエルも時間があればブリアナに寄り添うようになり、城に戻るまでの甘い夫婦の時間は無くなってしまった。
サミュエルが急に遠くに行ってしまったような気分になったローズは寂しさを覚えるものの、夫を亡くして辛いだろうブリアナを想いぐっとその寂しさを耐えた。
戴冠式後の夜会では、サミュエルとブリアナのローズを軽んじるあり得ない行いに深く傷つけられたローズだった。
しかし、それからも無神経な二人の行動は日々悪化していった。
ローズは慣れない王妃の仕事を何とかこなしていくなかで、サミュエルがブリアナに寄り添う寂しさを紛らわすかのように、双子の世話と仕事に没頭するようになったのだった。
ルイスはそんなローズになんとか寄り添い、最大限の力を貸した。
そして、城に後一年留まることになったブリアナにルイスは鋭い視線を送ったのだった。
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