初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人

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ローズ

誕生

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そして季節は巡り、花々が咲き誇るうららかな春の昼過ぎ、それはそれはかわいらしい双子の男女が誕生した。

サミュエルは男の子にロックリン、女の子にキャサリンという名前を付けた。

二人共王家の持つ独特なスカイブルーの瞳を持ち、キャサリンはローズに目鼻立ちなどそっくりで、ロックリンは叔父のウィリアムにうりふたつだった。

「私に似てほしかったのに、なぜウィリアム兄上に似てしまったのだ、ロックリンよ!」
と悔しがっていたサミュエルだったが、
「では、今度こそサミュに似た子を産ませてもらいますね。」
とローズが宥めるように言うと、すぐに気分を良くしてしまうサミュエルであった。

双子の誕生の知らせを受けたウィリアムとルイスは、子供用品を馬車一杯に詰めて祝いにやって来た。

そこにブリアナがいないことを誰も口にするものはなく、双子に初対面した叔父二人はその可愛らしさに一瞬で骨抜きになった。

赤子と接する機会などなかったウィリアムとルイスが双子を恐る恐る落とさぬように抱きかかえてる様を、ローズもサミュエルも温かく見守った。

時間ですと側近に急き立てられるも、双子の可愛さにもうこの屋敷に居を移してしまいたいと若干本気で愚痴をこぼす二人に、サミュエルとローズはいつでも来て双子の成長を一緒に見守ってほしいと告げると、二人共すぐにまた来ると約束して去っていった。

ローズは、双子を乳母に任せっぱなしにせず、出来る限り自分で育てたいとサミュエルに相談することにした。

案の定ローズに甘いサミュエルは無理はしないようにと釘は刺したものの快諾してくれたのだった。

産後数か月で、再びサミュエルと夫婦の営みを再開させたローズは、サミュエルにこれでもかというほど愛を囁かれた。

優しい夫に、可愛い子供たち、大切な家族に囲まれ幸せな日々を送っていたローズとサミュエルのところに、ウィリアム毒殺の知らせが入ったのは双子が生まれて半年後のことだった。
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