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ローズ
この薔薇を君に1
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サミュエルと14歳で婚約し四年が過ぎた。
その日、予定されていた通りに王太子ウィリアムとブリアナの婚姻式が執り行われた。
「兄上、ブリアナ嬢。おめでとうございます。お二人がこれからも幸せであることを心よりお祈り申し上げます。」
「ありがとう、サミュエル。ローズ嬢も。」
当然、サミュエルとローズも式に出席し二人に祝いの言葉を贈ることになった。
ブリアナに未だ強く惹かれているサミュエルの心境を思うといささか可哀そうな気もしたが、今までの二人からの仕打ちを思うとブリアナが自分たちからこれで一線を引いて離れてくれるのではと期待した。
しかし蓋を開けてみると、これまでとほぼ変わりのない日常が繰り返されるだけでローズは大いに落胆したのだった。‘
「義姉上!」
「サミュエル様!」
婚約者のサミュエルがブリアナのことを義姉上と嬉しそうに呼び、以前と変わらぬ仲を相変わらずローズの目の前で見せつけるようにしているのを、ローズは冷めた気持ちで見ていた。
こんなにも思いあっている二人を夫婦に出来なかったものかと思う。
そうしたら、自分だってサミュエルと無理やり婚約させられずにせめて互いを尊重し大切にできるような相手と一緒になることが出来たかもしれないのに、と。
「やあ、ローズ。」
「ごきげんよう、ウィリアム殿下」
ローズがサミュエルとブリアナに気を取られていたのでウィリアムがすぐ隣に来ていることに気が付かなかったローズはウィリアムにすかさずカーテシーをし非礼を詫びた。
「この薔薇を君に。ここに来る途中で見事に咲いているこのピンクの薔薇を見つけてね。ああ、やっぱりローズによく似合う。」
そう言って、ローズの編み込まれている髪に優しく差し込んだピンクの薔薇を、ウィリアムは他人が見ても気が付かないほど僅かに、熱の籠った目で見つめた。
その日、予定されていた通りに王太子ウィリアムとブリアナの婚姻式が執り行われた。
「兄上、ブリアナ嬢。おめでとうございます。お二人がこれからも幸せであることを心よりお祈り申し上げます。」
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当然、サミュエルとローズも式に出席し二人に祝いの言葉を贈ることになった。
ブリアナに未だ強く惹かれているサミュエルの心境を思うといささか可哀そうな気もしたが、今までの二人からの仕打ちを思うとブリアナが自分たちからこれで一線を引いて離れてくれるのではと期待した。
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「この薔薇を君に。ここに来る途中で見事に咲いているこのピンクの薔薇を見つけてね。ああ、やっぱりローズによく似合う。」
そう言って、ローズの編み込まれている髪に優しく差し込んだピンクの薔薇を、ウィリアムは他人が見ても気が付かないほど僅かに、熱の籠った目で見つめた。
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