19 / 51
第19話 ゲームは持ったか!
しおりを挟む
幸い、妹以外の家族はまだ帰宅していなかったようで、僕はひとまず自分の部屋に入ることができた。
「しっかし、見た目や雰囲気しか誤魔化せないとはなぁ……」
相手が家族であり、同じ歳の妹だからという、特殊な状況のせいかもしれないが、師匠からもらったアイテムがあまり効果を発揮していないように感じてしまった。
一応は僕のことを遠谷メイトだと認識していたようなので、全く効果が無いわけじゃなさそうだが、それでも家に頻繁に帰ってくるのには不安を感じてしまう結果である。
と言うわけで、ここで必要そうなものは持てる限り持っていこうという作戦だった。
「どうせ、教科書とかはこのキセキが終わるまで必要になるんだろうしな」
と思って、ひとまず部屋にあるものを手当たり次第に自分のカバンに詰め込んでみたが、持ち上げられなかった。
「こ、この程度も持てないのか?」
いや多分、自分の腕力がないのでも、タレカの腕力がないのでもなく、あまりにもカバンに色々と入れすぎたんだと思う。
そもそも全部は入らなかった。
現に、持ち上げようとしたカバンの持ち手部分からミシミシと、聞こえてはいけない類いの音が聞こえてきていた。
「ひとまずゲームのことを考えようかな?」
現実逃避をするように、部屋の隅のほうに置かれたゲームソフトたちへと目をやった。
タレカのあの言いようだと、おそらくゲーム機本体も持っていないのだろう。実際に見た限り、それらしいものもなかった。ソフトだけ持っていけばいいということではないはずだ。これは推測だが、モニターとかに映し出せるやつをご所望なのだと思う。
現代ではスマホでも様々なゲームを遊ぶことができる。それらではなくゲーム機のゲームという要望だったと思うので、となるとテレビとかでも遊べるやつがいいはずだ。
「人に持って来させておいて近くで待機もしてないからな……」
タレカは姉の特権とでも言うように、持ち物を運ぶ手伝いをするつもりはないようだった。
もっとも、手伝える状態ではなかったから、仕方ないとは思う。家には帰れると言っていたし、今頃タレカは家に帰っていることだろう。
さて、そんな状態のタレカにできるゲームなんてあるだろうか? 当然、パニックホラー系のゲームをさせよう日には、一生タレカの妹として生活する未来が見えそうである。
それもそれで悪くないとか妄想しながら、僕はまた別のゲームへと手を伸ばした。
手に取ったのは複数人でできるタイプのゲーム類。当然、テレビに映し出してできるやつだ。それ以外を取れないのは、持ち物の場所を取るから。物理的な容量の問題だ。
「こんな時、ソフトをパッケージで管理してるのが悔やまれるな」
僕はどちらかと言えばパッケージ派だった。それも、パッケージにそのまま入れて管理しているので、他のケースにまとめて管理しているわけでもない。そのせいで、多くのソフトを持っていきその中から良さそうなものを選んでもらうという作戦は難しそうだった。
ただ、一つだけしか持っていかないとなると、ギャンブル性が高すぎるので、二、三カバンに入れておく。
「荷物としては、これでもうかなりの量なんだよな」
ゲームソフトだけでなく、ゲーム機本体も必要なので、カバンの容量のうち、そこそこの場所とそこそこの重さをゲームだけで占めていた。
元から持っている荷物としてのカバンもあるし、欲張っていろいろ持とうとした結果、全然家にたどり着けないという結果になりそうだ。
「かといって、妹の手は借りたくないしな……」
正直なところ、八方塞がりだった。
もういっそのこと全部投げ出してしまい、一人でゲームを始めちゃおうか、なんて悪魔の思考が頭をもたげてくる。
「いかんいかん」
頭を振って、そんな思考を追い出してから、僕はまた作業に戻る。
これはそう、限られたリソースの中で、それらのリソースをどのように配分していくのかという問題なのだ。
ゲームでもよくあるだろう。どこに対してリソースを注ぎ込むのが最適解となるのか。そうやって考えるのは嫌いでもないはずだ。
僕はそう考えてから、収納術についての話をぼんやりと思い出しつつ、必要そうな道具類をカバンの中へと詰め込んだ。
最初にどばっと入れた時は、いらないものも入れていたのか、なんだか色々あふれていた気がするが、改めて詰め込んでみると、最低限で済むように選んだからか、すんなりカバンの中に入った。
「両手にカバンを持って、そのうえリュックだから、家出みたいになるけど、ないよりはマシだろう」
しかし、わざわざゲームをやろうとしなくても、配信者ならゲームもやっていたのではないだろうか。
実際、弟はよくゲームを持って行ってたとかタレカも話していたじゃないか。
なぜわざわざゲームなんだ?
「いや、今はそんなこといいか」
とにかくタレカのところまで帰ることだ。
あんまり長居していたら、変なことしてたとかありもしない出来事の言い訳をしなくてはいけなくなる。
そっと自室の扉を開けて廊下を確認し、妹がいないことを確かめてから、僕はそそくさと玄関へ向かい、家を出た。
「しっかし、見た目や雰囲気しか誤魔化せないとはなぁ……」
相手が家族であり、同じ歳の妹だからという、特殊な状況のせいかもしれないが、師匠からもらったアイテムがあまり効果を発揮していないように感じてしまった。
一応は僕のことを遠谷メイトだと認識していたようなので、全く効果が無いわけじゃなさそうだが、それでも家に頻繁に帰ってくるのには不安を感じてしまう結果である。
と言うわけで、ここで必要そうなものは持てる限り持っていこうという作戦だった。
「どうせ、教科書とかはこのキセキが終わるまで必要になるんだろうしな」
と思って、ひとまず部屋にあるものを手当たり次第に自分のカバンに詰め込んでみたが、持ち上げられなかった。
「こ、この程度も持てないのか?」
いや多分、自分の腕力がないのでも、タレカの腕力がないのでもなく、あまりにもカバンに色々と入れすぎたんだと思う。
そもそも全部は入らなかった。
現に、持ち上げようとしたカバンの持ち手部分からミシミシと、聞こえてはいけない類いの音が聞こえてきていた。
「ひとまずゲームのことを考えようかな?」
現実逃避をするように、部屋の隅のほうに置かれたゲームソフトたちへと目をやった。
タレカのあの言いようだと、おそらくゲーム機本体も持っていないのだろう。実際に見た限り、それらしいものもなかった。ソフトだけ持っていけばいいということではないはずだ。これは推測だが、モニターとかに映し出せるやつをご所望なのだと思う。
現代ではスマホでも様々なゲームを遊ぶことができる。それらではなくゲーム機のゲームという要望だったと思うので、となるとテレビとかでも遊べるやつがいいはずだ。
「人に持って来させておいて近くで待機もしてないからな……」
タレカは姉の特権とでも言うように、持ち物を運ぶ手伝いをするつもりはないようだった。
もっとも、手伝える状態ではなかったから、仕方ないとは思う。家には帰れると言っていたし、今頃タレカは家に帰っていることだろう。
さて、そんな状態のタレカにできるゲームなんてあるだろうか? 当然、パニックホラー系のゲームをさせよう日には、一生タレカの妹として生活する未来が見えそうである。
それもそれで悪くないとか妄想しながら、僕はまた別のゲームへと手を伸ばした。
手に取ったのは複数人でできるタイプのゲーム類。当然、テレビに映し出してできるやつだ。それ以外を取れないのは、持ち物の場所を取るから。物理的な容量の問題だ。
「こんな時、ソフトをパッケージで管理してるのが悔やまれるな」
僕はどちらかと言えばパッケージ派だった。それも、パッケージにそのまま入れて管理しているので、他のケースにまとめて管理しているわけでもない。そのせいで、多くのソフトを持っていきその中から良さそうなものを選んでもらうという作戦は難しそうだった。
ただ、一つだけしか持っていかないとなると、ギャンブル性が高すぎるので、二、三カバンに入れておく。
「荷物としては、これでもうかなりの量なんだよな」
ゲームソフトだけでなく、ゲーム機本体も必要なので、カバンの容量のうち、そこそこの場所とそこそこの重さをゲームだけで占めていた。
元から持っている荷物としてのカバンもあるし、欲張っていろいろ持とうとした結果、全然家にたどり着けないという結果になりそうだ。
「かといって、妹の手は借りたくないしな……」
正直なところ、八方塞がりだった。
もういっそのこと全部投げ出してしまい、一人でゲームを始めちゃおうか、なんて悪魔の思考が頭をもたげてくる。
「いかんいかん」
頭を振って、そんな思考を追い出してから、僕はまた作業に戻る。
これはそう、限られたリソースの中で、それらのリソースをどのように配分していくのかという問題なのだ。
ゲームでもよくあるだろう。どこに対してリソースを注ぎ込むのが最適解となるのか。そうやって考えるのは嫌いでもないはずだ。
僕はそう考えてから、収納術についての話をぼんやりと思い出しつつ、必要そうな道具類をカバンの中へと詰め込んだ。
最初にどばっと入れた時は、いらないものも入れていたのか、なんだか色々あふれていた気がするが、改めて詰め込んでみると、最低限で済むように選んだからか、すんなりカバンの中に入った。
「両手にカバンを持って、そのうえリュックだから、家出みたいになるけど、ないよりはマシだろう」
しかし、わざわざゲームをやろうとしなくても、配信者ならゲームもやっていたのではないだろうか。
実際、弟はよくゲームを持って行ってたとかタレカも話していたじゃないか。
なぜわざわざゲームなんだ?
「いや、今はそんなこといいか」
とにかくタレカのところまで帰ることだ。
あんまり長居していたら、変なことしてたとかありもしない出来事の言い訳をしなくてはいけなくなる。
そっと自室の扉を開けて廊下を確認し、妹がいないことを確かめてから、僕はそそくさと玄関へ向かい、家を出た。
10
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
寝たふりして机に突っ伏していると近くから僕の配信について感想を言い合う美少女たちの声が聞こえてくるんだが!?
マグローK
青春
木高影斗(きだかかげと)はいじめられっ子である。
学校に居場所はなく、友人などいるわけがなく、親しい人すらいなかった。
いや、正確には一人だけ、幼なじみの入間日向(いるまひなた)だけは、影斗唯一の信頼できる人間だった。
しかしそんな日向に対しても、迷惑をかけないため、高校に入ってからは校内では他人のフリをしてもらっていた。
つまり、学校で影斗と親しくしている人物はゼロだった。
そのため、大神ヒロタカといういじめっ子とその取り巻きにいいようにされる日々が続いていた。
だが、彼は家に帰ってから本領を発揮する。
ひとたび雲母坂キララ(きららざかきらら)というバーチャル美少女の皮を被るなり、影斗はVTuberへと姿を変える。
思いつきで始めた配信者生活だったが、気づけば大人気VTuberと言われるまでになっていた。
「ここでなら僕は本当の自分でいられる」
そんな確信と心の支えがあることで、影斗は学校でもなんとか平静を保って生きていられた。
今までは。
「ねえ、キララちゃんの配信見た?」
「昨日もかわいかったよねー!」
なんと、学級委員、庄司怜(しょうじれい)の所属するグループが雲母坂キララの配信について話をしていたのだ。
思わず美少女グループの話に耳を傾けていたところ、影斗は怜に目をつけられてしまう。
不意打ちのように質問をぶつけられ、周囲の注意を集めることに。
その場ではなんとか答え、胸をなで下ろし油断していた矢先。
「あなたが雲母坂キララってこと?」
怜から確信的な質問をされる。
慌てふためく影斗だったが、その目は失望よりも期待に満ちていて?
影斗の日常はこの日を境に狂い出す。
一方、影斗をいじめていた大神はその地位を失っていく。
いじめられっ子バーチャル美少女の僕が配信している内容をクラスの美少女たちが話してるんだが!?
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
この小説は他サイトでも投稿しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
何故か超絶美少女に嫌われる日常
やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。
しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。
貧乳姉と巨乳な妹
加山大静
青春
気さくな性格で誰からも好かれるが、貧乳の姉
引っ込み思案で内気だが、巨乳な妹
そして一般的(?)な男子高校生な主人公とその周りの人々とおりなすラブ15%コメディー80%その他5%のラブコメもどき・・・
この作品は小説家になろうにも掲載しています。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる