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第53話 謎の手に招かれた地下
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謎の手に引っ張られるまま、俺とガラライは地下へと連れてこられた。
今いる場所は日の光がほとんど届かない暗がりだ。そのせいでよく見えない。
どうくつのようだが、ここはなんのための場所なんだ。
一応遠くも見えているのは、おそらく神の力のおかげだろうか。
さて。
「おい。どうして俺についてきた」
案内役としての役割を押しつけられていたガラライが、びくりとして俺の方を見た。
しかし、俺を探すようにキョロキョロと近くを見回しているのを見ると、俺よりも周りが見えていないのだろう。
「え、えーと……どうしようなんて言おう」
どういうわけか答えに困っている様子だ。
考えがあってきたんじゃないのか?
ここについては知っているとか。
「……そ、そうだ。こほん! へっ! そりゃ、ここで共倒れになりゃ倒された仲間に顔向けできるからな!」
なるほどそういう腹づもりか。
「ということは俺にやられる覚悟で来たのか。それで人目につかないところに来るとはなかなか肝が据わってるな」
「あ、ち、違います。ちょ、ちょっと待ってください。止まって! 止まって!」
ガラライは本気で焦った様子で、ぶんぶんと振っている。
少しずれた方向だが俺に止まるように言っているんだよな。
「違うのか?」
「じょ、冗談ですよ。あはは。場を和ませようとしたんです」
「ならもうちょっと内容を考えてくれよ」
「すみません」
がっくりとへこんでいるところを見ると、どうやら本当に気を紛らわせようとしてくれたみたいだ。
「私だって勝てないことくらいわかってます。共倒れすら無理だってことも……。ただ、男として、このまま任された役割すら果たせないのは嫌なんすよ。それこそ仲間の元へはもう戻れない私のやれることだと思うんです」
「ふーん。その見た目で?」
「ら、ラウルさんに言われたくないです!」
気を紛らわせようとしてくれるだけはあり、多少は俺に対しても恐怖はなくなったらしい。
「あっ」
「大丈夫だ。うっせぇって思ったけど、それくらいでいい。ラーブがスキルを使った相手ってのは大体そんな感じだ」
「ありがとうございます」
俺としてもここに一人で来るよりは気持ち的に楽だ。
他にも幸いなことに、サキュバスから与えられたスカート状の防具も気にせず使ってくれているし。
不安なことがあるとすれば戦闘力ぐらいだ。
その辺にほっぽり出すこともできないし。
「だが、ゆっくり話している時間はなさそうだな」
地面についた時は離れていた手が再び近づいてきた。
「ぶん!」
と空気を震わせて俺の目の前を引き裂いた。
「ほぼ素手とはいえ結構な勢いなんだな」
間一髪、ガラライを抱えて後ろに下がったからよかったものの、当たっていたら俺は無事でもガラライが危なかったかもしれない。
「ぺしぺしって叩いても直接なら弱いな。攻撃特化か」
一本一本は造作もないが集まってくると厄介だ。量によっては身動きが取れなくなるとわかっている。
ヨーリンの力で弱点を作り出しても、結局一本ずつ相手にしているのと同じだし。
そもそも奥から伸びている様子で実際の総数も把握できていない。
「くっ! はっ! くそ。キリがないな」
仕方なく伸びてくる手をはたき落とすが次々と手はせまってくる。
このまま相手していたらいつまで経っても脱出できない。
それに、なんだか変なところを狙ってきている気がする。
「どうする? 何か対策はないか?」
「このまま持久戦をすればいいんじゃないか?」
「そんなのラウル様には似合いません。パーっとやりましょうパーっと」
「俺には派手な技ってのもない気がするんだが。本体みたいなのがあれば話は別だが」
「あの。今のってどなたと話してるんですか?」
「その話は後だ」
さっきよりも手の数が多くなっている気がする。
続々とやって来る手に押されているのか、量もスピードも増している様子だ。
段々とはたくコツを掴んできたが、それでもこのままの調子では手が俺たちを囲む方が先な気がする。
「ガラライ。しゃがんでろ」
「は、はい!」
俺はガラライがしゃがんだのを見て、拳を突き上げた。
「ふん!」
少し手を吹き飛ばすことには成功したが、荒くれたちより頑丈らしく、これだけでくたばるような手はない。
スピードアップして俺に近づいてくるだけだ。
気持ち悪いが、神とヨーリンの力を借りて戦うしかないのか?
そう思っていると突如としてガラライが手の群れに向かって走り出した。
「お前、何やってる!」
今までは俺の後ろで守られていたが、急にどうしたんだ。
「まさかこの手に何かスキルが?」
「いや、こいつらは量にモノを言わせるタイプのモンスターだ」
「じゃあ、一体」
「こ、ここは私がなんとかしますから。ラウルさんは先に行っていてください!」
ガラライは威勢よく言った。だがその体は震えている。
案の定微妙に手の方向からもずれていたが、どういうわけか手はわざわざガラライの方向に進行方向を変更し集中し出した。
なるほど。バラバラにくるなら相手するのは手間だが、これなら……。
ああ、いける。
俺は考えをまとめガラライの頭に手を乗せた。
「え?」
「下がってな。ここは俺に任せろ」
「でも」
「心を入れ替えたってんなら、お前はもう仲間だ」
驚いたように俺のことを見上げてくるガラライ。
「はい!」
その返事とともに手はスピードを上げ一直線で俺に対して、いや、ガラライに対して突っ込んできた。
今いる場所は日の光がほとんど届かない暗がりだ。そのせいでよく見えない。
どうくつのようだが、ここはなんのための場所なんだ。
一応遠くも見えているのは、おそらく神の力のおかげだろうか。
さて。
「おい。どうして俺についてきた」
案内役としての役割を押しつけられていたガラライが、びくりとして俺の方を見た。
しかし、俺を探すようにキョロキョロと近くを見回しているのを見ると、俺よりも周りが見えていないのだろう。
「え、えーと……どうしようなんて言おう」
どういうわけか答えに困っている様子だ。
考えがあってきたんじゃないのか?
ここについては知っているとか。
「……そ、そうだ。こほん! へっ! そりゃ、ここで共倒れになりゃ倒された仲間に顔向けできるからな!」
なるほどそういう腹づもりか。
「ということは俺にやられる覚悟で来たのか。それで人目につかないところに来るとはなかなか肝が据わってるな」
「あ、ち、違います。ちょ、ちょっと待ってください。止まって! 止まって!」
ガラライは本気で焦った様子で、ぶんぶんと振っている。
少しずれた方向だが俺に止まるように言っているんだよな。
「違うのか?」
「じょ、冗談ですよ。あはは。場を和ませようとしたんです」
「ならもうちょっと内容を考えてくれよ」
「すみません」
がっくりとへこんでいるところを見ると、どうやら本当に気を紛らわせようとしてくれたみたいだ。
「私だって勝てないことくらいわかってます。共倒れすら無理だってことも……。ただ、男として、このまま任された役割すら果たせないのは嫌なんすよ。それこそ仲間の元へはもう戻れない私のやれることだと思うんです」
「ふーん。その見た目で?」
「ら、ラウルさんに言われたくないです!」
気を紛らわせようとしてくれるだけはあり、多少は俺に対しても恐怖はなくなったらしい。
「あっ」
「大丈夫だ。うっせぇって思ったけど、それくらいでいい。ラーブがスキルを使った相手ってのは大体そんな感じだ」
「ありがとうございます」
俺としてもここに一人で来るよりは気持ち的に楽だ。
他にも幸いなことに、サキュバスから与えられたスカート状の防具も気にせず使ってくれているし。
不安なことがあるとすれば戦闘力ぐらいだ。
その辺にほっぽり出すこともできないし。
「だが、ゆっくり話している時間はなさそうだな」
地面についた時は離れていた手が再び近づいてきた。
「ぶん!」
と空気を震わせて俺の目の前を引き裂いた。
「ほぼ素手とはいえ結構な勢いなんだな」
間一髪、ガラライを抱えて後ろに下がったからよかったものの、当たっていたら俺は無事でもガラライが危なかったかもしれない。
「ぺしぺしって叩いても直接なら弱いな。攻撃特化か」
一本一本は造作もないが集まってくると厄介だ。量によっては身動きが取れなくなるとわかっている。
ヨーリンの力で弱点を作り出しても、結局一本ずつ相手にしているのと同じだし。
そもそも奥から伸びている様子で実際の総数も把握できていない。
「くっ! はっ! くそ。キリがないな」
仕方なく伸びてくる手をはたき落とすが次々と手はせまってくる。
このまま相手していたらいつまで経っても脱出できない。
それに、なんだか変なところを狙ってきている気がする。
「どうする? 何か対策はないか?」
「このまま持久戦をすればいいんじゃないか?」
「そんなのラウル様には似合いません。パーっとやりましょうパーっと」
「俺には派手な技ってのもない気がするんだが。本体みたいなのがあれば話は別だが」
「あの。今のってどなたと話してるんですか?」
「その話は後だ」
さっきよりも手の数が多くなっている気がする。
続々とやって来る手に押されているのか、量もスピードも増している様子だ。
段々とはたくコツを掴んできたが、それでもこのままの調子では手が俺たちを囲む方が先な気がする。
「ガラライ。しゃがんでろ」
「は、はい!」
俺はガラライがしゃがんだのを見て、拳を突き上げた。
「ふん!」
少し手を吹き飛ばすことには成功したが、荒くれたちより頑丈らしく、これだけでくたばるような手はない。
スピードアップして俺に近づいてくるだけだ。
気持ち悪いが、神とヨーリンの力を借りて戦うしかないのか?
そう思っていると突如としてガラライが手の群れに向かって走り出した。
「お前、何やってる!」
今までは俺の後ろで守られていたが、急にどうしたんだ。
「まさかこの手に何かスキルが?」
「いや、こいつらは量にモノを言わせるタイプのモンスターだ」
「じゃあ、一体」
「こ、ここは私がなんとかしますから。ラウルさんは先に行っていてください!」
ガラライは威勢よく言った。だがその体は震えている。
案の定微妙に手の方向からもずれていたが、どういうわけか手はわざわざガラライの方向に進行方向を変更し集中し出した。
なるほど。バラバラにくるなら相手するのは手間だが、これなら……。
ああ、いける。
俺は考えをまとめガラライの頭に手を乗せた。
「え?」
「下がってな。ここは俺に任せろ」
「でも」
「心を入れ替えたってんなら、お前はもう仲間だ」
驚いたように俺のことを見上げてくるガラライ。
「はい!」
その返事とともに手はスピードを上げ一直線で俺に対して、いや、ガラライに対して突っ込んできた。
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