34 / 68
第34話 魔王を倒した報酬
しおりを挟む
俺は剣についた血を振り落とし、頬についた血を拭う。
ボトッと大きな音を立て魔王の首が地面に転がった。
魔王の手には勇者の剣が握られている。もう原型をとどめていない勇者の剣が。
きっと元に戻らないのだろう。だが、これでベルトレットの無念も報われたはずだ。
「俺の勝ちだ」
「……」
返事はない。
だが安らかな笑顔を浮かべている。
俺にやられて驚いたというよりも、安心したような顔をしている。
「なんでこんな顔してるんだよ」
「魔王の方も貴様を認めたんじゃないか」
「魔王に認められてもな」
俺は一応王様への報告も考え、魔王の亡骸を持って壁を降りた。
地形はボコボコにされてしまったが、この国には優秀な人材が山ほどいる。修復にそう時間はかからないだろう。
そう言えば、魔王の方もって他に誰が認めたんだ。まあいいか。
「お」
「まあ待て」
「なんだよ」
今も警戒しているタマミやラーブに声をかけようとすると神が俺を止めてきた。
俺は仕方なく黙って待機することにした。
もしかしたら魔王が復活してるかもしれないわけだし。
「まず我から言葉を送らせてくれ。魔王討伐ご苦労だった」
「……」
俺は思わずまばたきを繰り返してしまった。
魔王討伐。
そうだ。俺が魔王を倒したのか。さっき確認していたが現実感がなかった。
改めて神から言われるとやっと魔王を倒せたことが現実なんだと思えてきた。
「お、おお! あいかわらず姿は見えないが倒したぜ」
「貴様との約束だ。願いを叶える。初めの願いから変わりないか?」
そうか。ここで叶えるのか。
「ああ。俺の妹、アルカを生き返らせてくれ」
「わかった」
俺からは見えないが、なんだか神がうなずいた気がした。
神が何かしたのか、どこからともなく光の粒がそこら中に現れた。
それらは不思議と温かく懐かしい感じのする粒だった。
バラバラだった光の粒は一箇所へ集まるとすぐに人の形へと姿を変える。
「あ、あぁ」
見間違うはずもない俺の妹アルカの姿だ。
光の粒は俺の見慣れたアルカの肉体へと変わった。
なんだか違和感があるが、違和感なんて後だ後。アルカの復活が大事だ。
俺は前から倒れてくるアルカを優しく受け止めた。
「アルカ。よかった。アルカ」
実際に触れると、思わず涙が込み上げてくる。グッと我慢しようとするが、今さら止められない。泣き顔をさらすなんて兄失格だな。
でも、アルカが生き返ってくれてよかった。
長いようで短かった魔王討伐までの道のり、それを達成できたのもアルカを生き返らせたい思いがあったからだ。
話をしよう。ここまでの話を。
やはり、家族は俺にとって何より大切なものだったんだから。
「アルカ。俺な」
「ちょ、ちょっと何するの!」
「……え?」
意識が戻ったのか、アルカは俺を突き放した。
突然のことに理解が追いつかない。
どうしてだろう。それに目線の高さが全く同じような。
「誰? わたし? どうして。まさかそういうモンスター?」
「ま、待て待て! 待ってくれ!」
構えようとするアルカを止め、俺は頭を押さえた。ショックのせいか、視界がおぼろげになる。
全身から急に力が抜け、膝からその場に崩れ落ちる。
「……お、おい神。話と違うぞ」
そう言おうとしたが、震えでまともに声が出せない。体にうまく力が入らない。
頭が真っ白になる。なんだ。何も考えられない。
「モンスターじゃないの? じゃあ、そっくりさんってこと? というか、わたしなんで生きてるんだろ。確かおにいを生き返らせるために……」
「……記憶喪失じゃないのか?」
「うん。わたしは自分を犠牲にして神様におにいを復活させてもらった」
「そうか! やっぱりアルカなのか! じゃあ、俺が誰かわかるんじゃないか?」
「もしかしておにい?」
「そうだ。ラウルだよ!」
立てない俺にアルカは抱きついてきた。
だんだんと意識が戻ってくる。
よかった。アルカが生き返った。
魔王も倒せた。
これで俺はようやくゆっくり暮らせるんだ。
「でも、おにい。わたしになってるよ? これはどういうこと?」
「えーと」
アルカに指摘されて俺は自分の体を確かめる。
そして、目の前のアルカと見比べる。
「ある。な、いった!」
「何してんの!」
「いや、だって俺の体に戻ってないから」
声もそういえば高いままだ。
体が戻ってないなら、そりゃ目線がアルカと同じ高さなわけだ。
「俺の見た目アルカのままじゃねぇかあああああ! おい! 神これはどういうことだ」
「神様いるの?」
「ああ。俺の首から生えてくるらしい」
「もっと言い方を選べ」
「俺には見えないんだから仕方ないだろ」
驚く様子のアルカを見れば、神が現れているんだろうとわかる。
だが、俺には見えないから本当に説明する気があるのかはわからない。
「我は」
「お前の紹介はいいんだよ。先にこの俺の見た目の方について言うことがあるだろ」
「誰が魔王を倒したら貴様の見た目を戻すと言った?」
「はあ?」
俺はてっきりただの脅しとして俺をアルカの見た目にしたんだと思っていた。
だから、魔王を倒せば同時に戻ると思っていた。
だが、このクソ神。アルカを生き返らせることだけを魔王討伐の報酬にしていたらしい。
「おい。人のことだまして神なのってんじゃねぇよ」
「だましたかどうかは人間の間での話だろう。我は約束通り貴様の妹を生き返らせたぞ」
「神は魔王を倒すシステムじゃなかったのかよ。ちゃんと願いを叶えろよ」
「一応確認はしたぞ。それに、魔王だけを倒すシステムでもない。貴様のような使えるやつはそうそういないからな。まあ、次の目的を達成すれば考えてやらんでもないが」
つまり、俺はまた魔王級の敵を倒さないと男に戻れないってわけか?
「えーと。よろしくね。お姉ちゃん」
「アルカまで……」
「よかったじゃないかお姉ちゃん」
「神ィ!」
どうやら男に戻りたければ旅を続けろと言うことらしい。
ボトッと大きな音を立て魔王の首が地面に転がった。
魔王の手には勇者の剣が握られている。もう原型をとどめていない勇者の剣が。
きっと元に戻らないのだろう。だが、これでベルトレットの無念も報われたはずだ。
「俺の勝ちだ」
「……」
返事はない。
だが安らかな笑顔を浮かべている。
俺にやられて驚いたというよりも、安心したような顔をしている。
「なんでこんな顔してるんだよ」
「魔王の方も貴様を認めたんじゃないか」
「魔王に認められてもな」
俺は一応王様への報告も考え、魔王の亡骸を持って壁を降りた。
地形はボコボコにされてしまったが、この国には優秀な人材が山ほどいる。修復にそう時間はかからないだろう。
そう言えば、魔王の方もって他に誰が認めたんだ。まあいいか。
「お」
「まあ待て」
「なんだよ」
今も警戒しているタマミやラーブに声をかけようとすると神が俺を止めてきた。
俺は仕方なく黙って待機することにした。
もしかしたら魔王が復活してるかもしれないわけだし。
「まず我から言葉を送らせてくれ。魔王討伐ご苦労だった」
「……」
俺は思わずまばたきを繰り返してしまった。
魔王討伐。
そうだ。俺が魔王を倒したのか。さっき確認していたが現実感がなかった。
改めて神から言われるとやっと魔王を倒せたことが現実なんだと思えてきた。
「お、おお! あいかわらず姿は見えないが倒したぜ」
「貴様との約束だ。願いを叶える。初めの願いから変わりないか?」
そうか。ここで叶えるのか。
「ああ。俺の妹、アルカを生き返らせてくれ」
「わかった」
俺からは見えないが、なんだか神がうなずいた気がした。
神が何かしたのか、どこからともなく光の粒がそこら中に現れた。
それらは不思議と温かく懐かしい感じのする粒だった。
バラバラだった光の粒は一箇所へ集まるとすぐに人の形へと姿を変える。
「あ、あぁ」
見間違うはずもない俺の妹アルカの姿だ。
光の粒は俺の見慣れたアルカの肉体へと変わった。
なんだか違和感があるが、違和感なんて後だ後。アルカの復活が大事だ。
俺は前から倒れてくるアルカを優しく受け止めた。
「アルカ。よかった。アルカ」
実際に触れると、思わず涙が込み上げてくる。グッと我慢しようとするが、今さら止められない。泣き顔をさらすなんて兄失格だな。
でも、アルカが生き返ってくれてよかった。
長いようで短かった魔王討伐までの道のり、それを達成できたのもアルカを生き返らせたい思いがあったからだ。
話をしよう。ここまでの話を。
やはり、家族は俺にとって何より大切なものだったんだから。
「アルカ。俺な」
「ちょ、ちょっと何するの!」
「……え?」
意識が戻ったのか、アルカは俺を突き放した。
突然のことに理解が追いつかない。
どうしてだろう。それに目線の高さが全く同じような。
「誰? わたし? どうして。まさかそういうモンスター?」
「ま、待て待て! 待ってくれ!」
構えようとするアルカを止め、俺は頭を押さえた。ショックのせいか、視界がおぼろげになる。
全身から急に力が抜け、膝からその場に崩れ落ちる。
「……お、おい神。話と違うぞ」
そう言おうとしたが、震えでまともに声が出せない。体にうまく力が入らない。
頭が真っ白になる。なんだ。何も考えられない。
「モンスターじゃないの? じゃあ、そっくりさんってこと? というか、わたしなんで生きてるんだろ。確かおにいを生き返らせるために……」
「……記憶喪失じゃないのか?」
「うん。わたしは自分を犠牲にして神様におにいを復活させてもらった」
「そうか! やっぱりアルカなのか! じゃあ、俺が誰かわかるんじゃないか?」
「もしかしておにい?」
「そうだ。ラウルだよ!」
立てない俺にアルカは抱きついてきた。
だんだんと意識が戻ってくる。
よかった。アルカが生き返った。
魔王も倒せた。
これで俺はようやくゆっくり暮らせるんだ。
「でも、おにい。わたしになってるよ? これはどういうこと?」
「えーと」
アルカに指摘されて俺は自分の体を確かめる。
そして、目の前のアルカと見比べる。
「ある。な、いった!」
「何してんの!」
「いや、だって俺の体に戻ってないから」
声もそういえば高いままだ。
体が戻ってないなら、そりゃ目線がアルカと同じ高さなわけだ。
「俺の見た目アルカのままじゃねぇかあああああ! おい! 神これはどういうことだ」
「神様いるの?」
「ああ。俺の首から生えてくるらしい」
「もっと言い方を選べ」
「俺には見えないんだから仕方ないだろ」
驚く様子のアルカを見れば、神が現れているんだろうとわかる。
だが、俺には見えないから本当に説明する気があるのかはわからない。
「我は」
「お前の紹介はいいんだよ。先にこの俺の見た目の方について言うことがあるだろ」
「誰が魔王を倒したら貴様の見た目を戻すと言った?」
「はあ?」
俺はてっきりただの脅しとして俺をアルカの見た目にしたんだと思っていた。
だから、魔王を倒せば同時に戻ると思っていた。
だが、このクソ神。アルカを生き返らせることだけを魔王討伐の報酬にしていたらしい。
「おい。人のことだまして神なのってんじゃねぇよ」
「だましたかどうかは人間の間での話だろう。我は約束通り貴様の妹を生き返らせたぞ」
「神は魔王を倒すシステムじゃなかったのかよ。ちゃんと願いを叶えろよ」
「一応確認はしたぞ。それに、魔王だけを倒すシステムでもない。貴様のような使えるやつはそうそういないからな。まあ、次の目的を達成すれば考えてやらんでもないが」
つまり、俺はまた魔王級の敵を倒さないと男に戻れないってわけか?
「えーと。よろしくね。お姉ちゃん」
「アルカまで……」
「よかったじゃないかお姉ちゃん」
「神ィ!」
どうやら男に戻りたければ旅を続けろと言うことらしい。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる