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第56話 天罰:神ノルキー視点
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~神ノルキー視点~
「そりゃ自分でもなんとかできるわよ。でも、いったた……。本当に役立たず。これじゃ何もかも台無しじゃない」
怒り、荒ぶった様子の女性。
あれがリストーマの母らしい。
「ごきげんよう。今のが母親のすることなのか?」
「誰よ! 母親じゃないわ。あんたなんて知らないわ、よ。え……」
「ワタシは人間の生活に詳しくなくてな。よければ教えてはくれないか?」
事の成り行きは見ていたが、兄弟喧嘩だけでなく、親子喧嘩もしている。そんな様子ではなさそうだ。
手合わせの中で相手をケガさせてしまうということならまだわかる。
だが、意図して相手をケガさせる。そのうえどこかへ閉じ込めるというのは、ケンカや手合わせという範疇を超えていると言えないだろうか。
「して、どうなのだ?」
「まさか、話には聞いていたけど……。神、様……?」
「そこからか……。しかし、わかるのならなおのこと残念だ」
「残念、ですか?」
どうやら自らのあやまちを理解していないようだ。
ただ、今回の出来事はワタシとしても感化できるものではなかった。
予想外のことが起こっていれば、リストーマの命が失われていたかもしれない。
そんな、多大なる損失を出しかねない行動をされては困る。
「さて」
「ま、待ってください。なにが残念かなんて、そんなことはどうでもいいんです。どうか、どうか神様。私たちを助けてください。今のこの状況だけでなく、今置かれている暮らしや何もかも解決してください。私たちの受けている扱いは不当なんです。神様ならなんとかしてくださいますよね!」
「……」
「な、なんとか言ってくださいよ。助けてくださるんでしょう? だから私の前に現れてくださったのではないのですか?」
「……。この状況でも願うのは自分たちのことだけか」
「はい……?」
やはり、自分たちの行動がどんなものだったのか客観的に見れていないらしい。
だからこそ、いつまで経っても、どうして自分たちに罰が与えられたのか理解できないのだろう。
「貴様を助けるようなことはない。いつだってそうしてきたのだろう? 自業自得というものだ」
「は、はあ? 何よ。なにそれ。神様まで私が悪いとおっしゃられるんですか?」
「そう言ったが、理解できなかったか?」
「……」
「ある男に対して、貴様らは執拗に攻撃していただろう。言い訳を重ね、親でありながら守ることもせず。助ける力がありながら助けなかっただろう」
「……。ええ。ええそうよ。だってあの子は、私の子どもじゃないんですもの。実の子じゃないのにどうして優しくする必要があるの? それに、実の子よりも優しく接する理由なんてどこにもないじゃない。私を悪いように言っているけど、私が悪いっていうの? 神様なのに奇跡も起こせないからって、人間に当たり散らそうっていうの? 人の家庭のことに口出ししないで」
先ほどは、ワタシに対して助けを求めていたはずだが、気づけばワタシへの攻撃へと変わっている。
「はあ……」
「なによ。バカにしてるの? 神様だからって、バカにしてるんでしょう。いいわよね。神様は呑気に生活できて。人間のことなんて知らないでしょう。私たちがどれだけ苦しんでいるかなんて興味ないんでしょう。だから、私たちを苦しめる悪の権化に肩入れして、かわいそうな私たちを攻撃するんだわ」
「これをわざわざ放置したということは、人間にとって死とは、ワタシが思う以上に重いものということなのだろうな」
「なに言ってるの? 話聞いてるわけ?」
「聞いている。自分のことしか考えていない、聞くに堪えない話だがな。耳から入ってきてしまう」
「やっぱりバカにしてるんでしょ!」
ピーピーピーピーうるさい。
だが、リストーマの意向を汲まない行動というのは、ワタシとしても望ましくない。
「ややこしいな……」
「ならさっさと私を助けなさいよ!」
「そうだ。ワタシに言わせれば、統治者が甘すぎるのだ。なあ?」
「ひっ……」
少し力を解放すると、ようやく自分の置かれた状況を認識できたらしい。
威勢のよかった態度は鳴りを潜め、青ざめてビクビク震え出した。
「……え? な、なによその顔。じょ、冗談よ。ちょっとした冗談。ね? 神様なんでしょ? もっと広い心を持つべきだわ」
「貴様に言われたくないな」
「う、うるさいわね! 戦闘になりたくなかったけど、もうダンジョンなんて知らない。治して直して巻き込まれなさい」
「……遅い」
ケガが治り、ダンジョンも元に戻る。
事故などなかったかのように元通り。
だが、岩石はキレイにダンジョンの一部となっただけだった。
「はて、巻き込まれるとは何のことだ?」
「……っ! どうして? 足元にあったんだもの、巻き込まれるはずだったでしょう?」
「遅すぎるんだ。いや、説明しても仕方がない。より、厳命された言葉にそった形で罰を受け、罪を悔い改めるといい。今から地の果てまで送ってやろう」
さて、どこにしようか。
「ま、待って。なにこの光。お、おかしいわ。この力。本当に神様なの? ね、やめて? お願い。なんでもするから。許してください。わ、私が悪かったので許していただけないでしょうか!」
「謝る相手が違う」
「今回は任せてって言うから見てたけど、ノルキーちゃんの方がよっぽど悪魔だよね」
「黙れ」
「じゃあねー! 本物のおばさん。いや、ババア」
「いやあああ! 行きたくない。飛ばされるんでしょう? 嫌だ。嫌嫌っ! やめ」
何かを言おうとしていた気がするが興味ないな。
「おい。おいおいおいおいおい!」
どうやら、ちょうどいいタイミングで見てしまったらしいな。
「そりゃ自分でもなんとかできるわよ。でも、いったた……。本当に役立たず。これじゃ何もかも台無しじゃない」
怒り、荒ぶった様子の女性。
あれがリストーマの母らしい。
「ごきげんよう。今のが母親のすることなのか?」
「誰よ! 母親じゃないわ。あんたなんて知らないわ、よ。え……」
「ワタシは人間の生活に詳しくなくてな。よければ教えてはくれないか?」
事の成り行きは見ていたが、兄弟喧嘩だけでなく、親子喧嘩もしている。そんな様子ではなさそうだ。
手合わせの中で相手をケガさせてしまうということならまだわかる。
だが、意図して相手をケガさせる。そのうえどこかへ閉じ込めるというのは、ケンカや手合わせという範疇を超えていると言えないだろうか。
「して、どうなのだ?」
「まさか、話には聞いていたけど……。神、様……?」
「そこからか……。しかし、わかるのならなおのこと残念だ」
「残念、ですか?」
どうやら自らのあやまちを理解していないようだ。
ただ、今回の出来事はワタシとしても感化できるものではなかった。
予想外のことが起こっていれば、リストーマの命が失われていたかもしれない。
そんな、多大なる損失を出しかねない行動をされては困る。
「さて」
「ま、待ってください。なにが残念かなんて、そんなことはどうでもいいんです。どうか、どうか神様。私たちを助けてください。今のこの状況だけでなく、今置かれている暮らしや何もかも解決してください。私たちの受けている扱いは不当なんです。神様ならなんとかしてくださいますよね!」
「……」
「な、なんとか言ってくださいよ。助けてくださるんでしょう? だから私の前に現れてくださったのではないのですか?」
「……。この状況でも願うのは自分たちのことだけか」
「はい……?」
やはり、自分たちの行動がどんなものだったのか客観的に見れていないらしい。
だからこそ、いつまで経っても、どうして自分たちに罰が与えられたのか理解できないのだろう。
「貴様を助けるようなことはない。いつだってそうしてきたのだろう? 自業自得というものだ」
「は、はあ? 何よ。なにそれ。神様まで私が悪いとおっしゃられるんですか?」
「そう言ったが、理解できなかったか?」
「……」
「ある男に対して、貴様らは執拗に攻撃していただろう。言い訳を重ね、親でありながら守ることもせず。助ける力がありながら助けなかっただろう」
「……。ええ。ええそうよ。だってあの子は、私の子どもじゃないんですもの。実の子じゃないのにどうして優しくする必要があるの? それに、実の子よりも優しく接する理由なんてどこにもないじゃない。私を悪いように言っているけど、私が悪いっていうの? 神様なのに奇跡も起こせないからって、人間に当たり散らそうっていうの? 人の家庭のことに口出ししないで」
先ほどは、ワタシに対して助けを求めていたはずだが、気づけばワタシへの攻撃へと変わっている。
「はあ……」
「なによ。バカにしてるの? 神様だからって、バカにしてるんでしょう。いいわよね。神様は呑気に生活できて。人間のことなんて知らないでしょう。私たちがどれだけ苦しんでいるかなんて興味ないんでしょう。だから、私たちを苦しめる悪の権化に肩入れして、かわいそうな私たちを攻撃するんだわ」
「これをわざわざ放置したということは、人間にとって死とは、ワタシが思う以上に重いものということなのだろうな」
「なに言ってるの? 話聞いてるわけ?」
「聞いている。自分のことしか考えていない、聞くに堪えない話だがな。耳から入ってきてしまう」
「やっぱりバカにしてるんでしょ!」
ピーピーピーピーうるさい。
だが、リストーマの意向を汲まない行動というのは、ワタシとしても望ましくない。
「ややこしいな……」
「ならさっさと私を助けなさいよ!」
「そうだ。ワタシに言わせれば、統治者が甘すぎるのだ。なあ?」
「ひっ……」
少し力を解放すると、ようやく自分の置かれた状況を認識できたらしい。
威勢のよかった態度は鳴りを潜め、青ざめてビクビク震え出した。
「……え? な、なによその顔。じょ、冗談よ。ちょっとした冗談。ね? 神様なんでしょ? もっと広い心を持つべきだわ」
「貴様に言われたくないな」
「う、うるさいわね! 戦闘になりたくなかったけど、もうダンジョンなんて知らない。治して直して巻き込まれなさい」
「……遅い」
ケガが治り、ダンジョンも元に戻る。
事故などなかったかのように元通り。
だが、岩石はキレイにダンジョンの一部となっただけだった。
「はて、巻き込まれるとは何のことだ?」
「……っ! どうして? 足元にあったんだもの、巻き込まれるはずだったでしょう?」
「遅すぎるんだ。いや、説明しても仕方がない。より、厳命された言葉にそった形で罰を受け、罪を悔い改めるといい。今から地の果てまで送ってやろう」
さて、どこにしようか。
「ま、待って。なにこの光。お、おかしいわ。この力。本当に神様なの? ね、やめて? お願い。なんでもするから。許してください。わ、私が悪かったので許していただけないでしょうか!」
「謝る相手が違う」
「今回は任せてって言うから見てたけど、ノルキーちゃんの方がよっぽど悪魔だよね」
「黙れ」
「じゃあねー! 本物のおばさん。いや、ババア」
「いやあああ! 行きたくない。飛ばされるんでしょう? 嫌だ。嫌嫌っ! やめ」
何かを言おうとしていた気がするが興味ないな。
「おい。おいおいおいおいおい!」
どうやら、ちょうどいいタイミングで見てしまったらしいな。
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